第18話〜決戦前夜〜

王選前日、王宮では四人の戦士達がお茶をしていた。どうやら稽古終わりでくたびれていると言った様子だ。


「リューガ様も慎重だな、俺達がいれば大した驚異はねぇだろ。 なんてったってこの国の五英傑全員が一同に警備に着く。大したことは起きねぇよ絶対」


そう言った男の体は大きく赤髪で五人の中で一番存在感を示していた。


「ああ、だが逃げたのはレドラと国王の息子と聞いている。念には念をだ。何なら今すぐにでも襲ってきてもおかしくはない」


そして紫色の髪をした角帽を被った眼鏡の男が受け答える。冷製な面持ちのようだ。


「まぁあんた達が居なくても私が居れば特に問題も無いんだけどね。逆にあんたらみたいな個性豊かの連中がいると面倒くさそうだし」


女が答える。払ったウェーブしたロングの紫色の髪が美しく反射する。


「あはは、まぁ僕達もリューガ様に信用されてるってことなんだろうね。元々僕達そんなに信用されてる訳じゃなかったし良かったよね」


背が低く黄色の髪をした少年が答える。体の周りには暗器やら物騒な武器を大量に装備している。

するとコツコツと足音を立てて一人の男が近づいてくるのを一同は感じ、思わず冷汗が流れる。


「既に集まっていたか、無駄話が過ぎるぞみんな」


その男は黒髪に格好は白い襟の立った制服を着ており、存在感は一段と際立っていた。


「あ、あぁ、クロさん。あんたも来ていたのか・・・ 今回の獲物はやれそうか?」


そう言ったのは全員の中で一番ガタイのいい男だった。クロと呼ばれている男は冷静に答える。


「相手はレドラの息子。即ちこの国の不安の種だ。やれるかやれないかではない。一刻も早く捕縛せねばならん。リューガ様の望む世界の為にもな」


左から大男、眼鏡の男、女、少年と並んでいるそれぞれの戦士にクロは声をかける。


「ゾルド、アシュ、ネル、ポーラ。お前たちは誇り高きこの国の五英傑だ。今回の件は私達五人揃っての初任務だ。しっかりと頼むぞ。まずは王選時の警備の配置について伝える」


そう言うとクロは四人に説明をする。それを全員が真面目に聞いている面持ちだった。 


そして夜が明ける。王選当日、いよいよその防衛戦は始まろうとしていた。

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