第17話〜緊迫の夜〜

それから丸一日が経った。もう2日とない王選にそれぞれの緊迫が走る。その中でメイアはある作戦を騎士達に説明するのだった。


「王選当日、ここを狙って私が民衆に説明をします。この現状を変える手立てを。私はリューガよりも人望はありませんが腐っても王女です。これまでの一切合切の説明をし、何とか今の政治形態を変えるのです。では、皆さん明後日はよろしくお願いします。あくまで言論での変革を私は望んでいます」


王都アンデルセンではその日に向けて着々と準備が行われていく。


***


その頃、村では一人の少女が村を出る検定を受けていた。その少女は数日でその検定の対策をし、村一番の男を容易に降すほどの才能を持ち合わせていた。


「麗奈ちゃん・・・まさか数日でここまでなんて・・・強くなったね」


そう言いながら大男は尻もちを着いた。 相当完膚なきまでに押さえつけたのだろう。


「すみません、無理言ってわざわざ戦ってもらって」


麗奈はそう言いながら大男に手を伸ばす。


「あぁ、それはそうと。やっぱり欧斗くんの為かい?」


「はい、欧斗がどこに行ったのか、検討は着きますか」


そう言うと村長がゆっくりとその場に姿を現す。


「彼なら恐らく王都アンデルセンの方へ向かった。 この辺りの馬車の主に聞いてみたんだ。何を考えているのかはわからんが彼なりに何か決心した目をしておった」


それを聞き、麗奈は歯をぐっと噛み締めて拳を少し強く握る。


「待っててね欧斗。直ぐに行くから」


そう言うと麗奈は身支度を済ませ、村を出ていった。


***

すっかり夜になっていた。欧斗達は作戦の準備を着々と進めている。


「お兄さん、とりあえず作戦の準備は明日までには完了するっておばあが。今日はアルトがそこら辺の食べられそうな動物を狩ってくるよ」


そう言うとアルトは森へ繰り出して行った。


「今日はアルトのおかげで食は凌げそうだな。とりあえずメイアに連絡を取れればいいがそれも難しいか。そもそもあいつが僕の作戦の賛同するのだろうか・・・どう思うリエル」


欧斗がそう独り言の様に零すとリエルはそれに応じる。


「仮にも一国の王女という立場です。いくら国に不服があろうと国王暗殺の手助けまでしてくれるとは少し考えにくいのでは」


欧斗は指で顎をさすりながら自分の計画に対する不備を考えるのだった。


「ふぅ、準備できたよ。ったく」


そう言う老婆の声が聞こえる。 どうやら作戦の為の準備を今しがた終えたと言った所だろう。


「シイナ、良くやってくれた。 明日は調整に幾らか時間を使って本番当日を迎えるとしよう」


残り一日、王選当日へと時は刻み続ける。

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