第12話〜大罪人が出現したようです〜
二人はまた徒歩で街に向かって帰っていた。
「行きはワープしてきたが帰りは徒歩になるなんてな… これどれぐらい距離があるんだ」
「かなり歩きましたね きっと疲れていると思うので魔力供給しますね」
そう言うとリエルが魔力を供給する。
「これでもう少し行けそうだな、改めて魔法で体を強化できるなんて便利なもんだ」
そう言いつつある程度歩いてきた所で本格的に肉体に限界が来る。
「また野宿することになるが、まぁいい リエルは俺の中に戻ってろ」
「はい、どうかお気をつけて」
欧斗は生えている木々に魔法の糸を貼り付けハンモックにする。
「ほんとこの能力にもお世話になってるな 最初に引いた能力がこれで良かったよ 衛兵共の誰が持っていたのかはわからないけど」
そう言いながら欧斗はハンモックに乗り眠った。
そうして眠り夜が明け朝日が昇る。
「うぅ…良く寝た、ん…?」
欧斗は周りを見渡すと幾人もの兵が欧斗を囲っている。すかさずリエルが実体化をした。
「欧斗、こいつらは」
「あぁ、衛兵なのか騎士なのかがわからない、とりあえずは…」
欧斗が一瞬考えを巡らせ案を思い付いた。すると一枚の紙切れを見せつける。
「これはリューガ・アンデルセンのサインだ、少なくとも僕が怪しいものでは無いということはわかってもらおうか」
そう言うと兵達は気を弛め、欧斗に語りかける。
「あぁ、すみませんそうでしたか、実はこの辺りで移動魔法を使える者に大罪人が現れたとの報告を受けましてね 急いで駆けつけましたが後の祭りと言った様子でして、今はその者がどこにいるか調査していまして」
欧斗がそれを聞くと顔が青ざめた。大罪人という言葉はちょうど昨日老婆が口に出した言葉だった。
「急いで戻るぞリエル」
欧斗が小声で冷たく真剣な声でそう言うと急いで老婆のいた所まで走る。その道中馬に乗った鎧を着た集団が目に入った。それを見た瞬間リエルも実体化を解いて欧斗の中に戻った。その中にコートを羽織った見覚えのある顔も目に入る。
「メイアさん…!!」
欧斗がそう言うとメイアもそれに気づいた様子だ。
「欧斗くん…!! こんな所で何を…!」
「丁度良かった! メイアさん、僕の言う方向に飛ばしてください」
そう言うとメイアはコクリと頷き自分の後ろに乗るようにと頷く。
「この馬は二人乗っても平気なほど丈夫です 早く案内を あなたのことだ、何か知っているのでしょう」
欧斗とメイアは集団の中から飛び出しその方向へ向かった。
老婆の舘があった森に入っていく。
「これは… 凄い荒地になっている、何が…」
メイアはその荒地に気を取られるが昨日の事の顛末を知っている欧斗はそれよりも老婆とアルトの方を気にしていた。
老婆の館の前には既に何人かの兵士達がそこで立っていた。
「また偶然だな…欧斗くん」
「リューガ… これは一体…?」
その先にはリューガまでもが立っていた。よく見るとアルトもそこに含まれていた。
「おばあ…なんで…」
アルトが下を俯き膝を掴みながら蹲っていた。するとリューガは欧斗に話しかけた。
「どうやら王都アンデルセン最大の大罪人 魔王教徒レドラの仕業だと彼の証言では言っている、…可哀想だが一緒に住んでいた女性が連れ去られたらしい、まさか彼女が現れるなんてね…」
「魔王教徒レドラ…?」
欧斗は段々勘づき始めていた。何かを
「一応聞いていいかリューガ… そのレドラっていうのは妖精術士ってことでいいんだよな」
「あぁ、そうだ」
欧斗はゴクリと唾を飲み込み更に続けた。
「レドラって言うのはこの国にどんな関係を持っているんだ…?」
「あぁ、レドラは王の側室だった、今は迫害されてこの国にはいないけどね、それは多分…十年以上も前の話になるがね」
欧斗は一つの推測に辿り着き、動揺をして見せた。
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