第10話〜どうやら刺客が現れたそうです〜

「来たか… 未だに付け狙われているとはね、全く」




老婆が落ち着いた顔をして現れた野蛮そうな男の顔を見た。




「おいおい てめぇを殺しに来たんだぜ俺はよォ 何落ち着いてんだ? 見ねぇ顔もいるが」




男がそう言うとアルトが前に出る。




「おばあ! 下がってて 大丈夫 アルトが何とかするよ」




アルトは術式のようなものを唱え始めた。すると彼の周りに空気中から光が集約する。




「バインド!」




アルトがそう言うと男が光の縄で縛られる。




「ちっ てめぇ…」




アルトは一安心した様子をしたのも束の間、 男はその拘束をいとも簡単に破る。すると男は余裕そうな笑みを浮かべる。




「おいおい そんなもんか? 」




アルトはその光景を見て焦っている。




「なんで… 今までのヤツなら…」




それを見ていた欧斗も臨戦態勢に入る。




「ちっ 結局また面倒事に巻き込まれた リエル行くぞ」




欧斗が糸を出した瞬間リエルが魔法をすごい勢いで溜める。それを見て老婆は残念そうな顔をした。




「面倒事はごめんだ、さっさと終わらせるぞ」




欧斗はそう言いつつ男に向かって飛び出して行った。男は堪らず糸を体の横にある鞘から刃物を取り出し切りつける。 だが糸の量が無数で対応が追いつかないという様子だ。




「なんだこれ… 貧弱だな てめぇらどっちも」




男は体に魔力を集約して解き放つ。 その勢いで糸が全て散り散りになった。




「リエル まだいけるか」




「わかりました、全力を放ちます」




リエルが答えた瞬間老婆がリエルの肩に手を置いた。




「待て、そのまま行ってもあいつには勝てんだろう 今から少し時間はかかるだろうがお前の力の漏れをセーブできるように術をかける それまでアルトリアと奴に時間を稼いでもらおう」




「ですが、欧斗が」




リエルがそう言いかけた所で欧斗は口角を上げ、リエルの肩を持ち答える。




「リエル 最初にあった時 僕のことを信用するって言ったのを忘れたのか? 君が言ったんだぜ それにこいつを倒さないと次へは進めないだろ」




そう言い残し欧斗はアルト共に応戦する。




「おいおい 2人でもそんなもんか よえぇよえぇ!!」




欧斗とアルトは2人共互い走り回りながら男を拘束しようとする。だがそれを全て切り割き、男は立ち回っている。




「ちっ アルト! 君の能力って他にはないのか!」




「あるにはある! でもこれは使えない もし暴発すればここの全ての魔力を吸い上げることになるからみんな死ぬかもしれない…!! この森から出れば結界があるからその影響を受けなくなるかも!」




欧斗はそれを聞いて答える。




「僕に任せろ!!」




そう言いながら男を糸で上手く男を誘導しながら走り回りグルグル旋回しながら森林を抜けていく。 アルトもそれを見て追いつく為に全力で追いかける。




「ちぃ!! てめぇ うろちょろしやがって!」




欧斗は男に追いつかれ少し頬にナイフを掠める。




「向いてないな…! こういうの!」




欧斗がそう言いながら更に距離をとって糸で上手く応戦する。 だが欧斗の魔力も限界を迎えようとしていた。ようやく森を抜ける。




「やれ! アルト!!」




そう言うとアルトも森から抜けて能力を発動した。その瞬間すごい勢いで男の魔力を吸い上げる。




「うん! まだまだ行くよ!!」




更に森の外の草原にも影響が出ることによって草木も枯れる。そうしている内に男は力尽き倒れる。




「あ…!! お兄さん!? 大丈夫」




そう言うと欧斗も力を吸われ横たわっている。




「やばい…!! 魔力の供給がないとこのまま…!?」




民家の前にいるリエルの調整も終わる。




「これで漏れがなく魔力をあいつに伝えることができる。さぁ行け」




「…欧斗に魔力の供給ができない!!」




「な… あいつまさか無理して結界の外へ…」

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