第6話〜僕を襲いに来た衛兵共を最強能力でぶっ倒します〜
貧民街までは乗馬しているためか思っていたよりすぐに着いた。
「これが貧民街か… なかなかに酷い惨状だな 王都との格差が酷い」
するとメイもその惨状を見て視線を膝の上に落とした。
「えぇ この辺りは虐げられた者達が多く居住している きっと魔法の研究等でこの辺りの自然が壊され煽りを受けているのでしょう 欧斗くんは何故この地域に?」
「僕は王都に来た旅人で今の惨状についての記述をしようと思っているんです 王都の外の人達が今の惨状を知る機会にもなり得ると思ったんで
メイさんはこの後どうするおつもりなんですか?」
「私はこの辺りに人を脅かす魔獣が出ているという話を聞いて」
それは聞いて欧斗は行き道に見た恐ろしい魔獣の群れを思い出した。
「僕もこの辺りで魔獣を1度見たことがあるのですが危険だ… まさかお独りで行かれるつもりなんですか?」
「あぁ 私はこれでも戦いには自信がある方だ とにかく今は1日でも放っておけないでしょう? 人助けをしている君を見てつい私もその気になってしまいましてね」
そう言うとメイはどんどん奥の深い霧のかかった森林の方向へと進んでいく。欧斗の見立てではあのレベルのバケモノを粉砕できるのはリューガぐらいの物だ。彼はつい声をかける。
「ま 待ってください いくらなんでも」
「私は大丈夫です ここまでありがとうございます 欧斗くん 馬は門番に預かってもらっていてください」
振り返り彼女はそう声をかける。するとリエルがまた声をかけてきた。
「まぁ放っておいて大丈夫でしょう あくまで国の騎士 きっと何か勝算があるんです それにあの女が死んだ所で大した支障も無い」
すると欧斗は答える。
「まぁ待て あいつを放っておいて死んだとなれば真っ先に僕に容疑がかかるだろ ここは返って行かない方がリスクだ」
「…わかりました」
リエルがため息混じりでそう答えた所で2人は彼女の後を追う。進む事に霧が濃くなってゆく。
「あなたも来たのですか この先は危ないので私の後ろにいてください そろそろ来ます」
メイがそう言った所で2人は広けた湖に出た。欧斗も真剣な顔つきになる。すると湖の中から何かが陸に上がってくる。 間違いない 魔獣だ。大きなタコのような姿をしている。
「かなりでかいですね 危険だ 下がってください」
欧斗はその魔獣の姿を見てゴクリと唾を飲み込み応戦する為、 糸を発現させる。
瞬間襲いかかってくるタコをに対し剣を抜き抑える。
「僕が抑えます」
欧斗がタコを糸で包囲し締め付ける。
「助かります では」
するとメイが剣が光出した。それを振るうとタコは真っ二つに切れ更に湖を両断するかのような勢いで水しぶきが上がった。
「な… まさかここまでとは」
欧斗が驚いた表情で二つに分かれたタコを見た。
そこであっさりと戦いは終わる。
「こいつが本当にこの辺りを騒がしている魔獣か… にしては」
メイアは少し疑問を残しながら一件落着したようで2人は折り返し森の中へ元来た道を戻る。しばらく経っただろうか、そこで正面から何人かのフードを被った連中がこちらへ向かってくるのを感じた。
「なんですか お前たち」
メイがそう言うとその連中の1人は笑いながら答える。
「おう これはこれは メイア様ではございませんか 少しそこの男に用がありましてね いえ決して大したものでは無いのですが」
「そのローブ 衛兵の者ですか? まずは私に要件を伝えなさい」
欧斗はその男たちを見て衛兵が自分を殺す為にに襲ってきたのだと瞬時に見抜く。 彼の見立てでは騎士である彼女といれば追手はやってこないと見ていたが 甘かった。
「うるせぇな… リューガに比べて大した権力もねぇ王女様が騎士気取りかぁ?笑わせるねぇ」
な…王女…? 欧斗は頭で思考を巡らせる。 まさか自分と一緒にいたのがアンデルセンの王女だっとは、リエルが声をかける。
「困りましたね 王女様ですって ここで彼女を危険に晒すようなことがあれば」
「く…! そんなことはわかっている…!! この国の王族は市民に偽名を名乗る文化でもあるのか…!」
欧斗とリエルは小声で話を終えた。
「メイさん 逃げてください ここは僕が何とかします」
欧斗がそうメイに伝える。
「しかし君が狙われているのでしょう 私にできる範囲でなんとか…!!」
「はい彼らは僕に用事があるようなので それにあなたは加減の出来ない 人にその力を向けることはできない筈だ」
「だが…!」
「行ってください お願いします」
欧斗がそう言うとメイはこちらを少し心配そうに見つめ馬で立ち去っていく。すると集団の中から1人が前に出てくる。
「おいおい 舐められたもんだなぁ 俺たちゃ国の衛兵だぜぇ!?」
「あぁ だと思ったよ 見ている者もいない これでようやく存分にやれる」
ナイフを取り出し斬りかかってきた刹那、相手を糸で捕縛する。瞬間リエルも実体化した。
「来るなら全員まとめてこい」
欧斗がそう言うとリエルが一気に魔力を高める。 それを全て欧斗に集約させる。そして目にも止まらぬ早さで無数の糸がローブの男たちを1人残らず全員木の上に吊り上げる。
「こいつ… めちゃくちゃつええじゃねぇか…」
「目的を話せ こうまでして何故僕を付け狙う さもなければ」
「お 俺たちは王に命令されたんだよ… 何も知らねぇ」
やはりハズレか… とにかく僕は王族にとって相当不都合なのだろう だがここまで秘密裏に付け狙うということはリエルの言っている僕が王族の血筋だということは完全に正しい情報とまでは言えないにしてもここまでの材料からはやはり信じるべきだ。
欧斗がそう考えを巡らしている所でさっきの魔物より更に大きなうねり声が聞こえる。
振り向くと突然木々を飲み込みながらかなりのスピードでこちらへ襲ってくる巨大なスライム状の魔獣が現れる。 すると吊るされている衛兵達を次々と触手を出し呑み込んでいった。
「…王女様が言っていた魔獣っていうのは本当はこいつなのでは とりあえず欧斗 逃げますか」
「あ ああ… これはさすがに手に負えないだろ 僕の能力とも相性が悪そうだ」
2人はそのまま真っ直ぐと走りながら逃げていく。 巨大なスライムは木々を飲み込みながら凄い速さて近づいてくる。
「お おいおい 追いついてきてないか これ」
「そうですね かなり追いついてきてます やむを得ない 私の力でなんとかしましょう」
そう言うとリエルは魔力を一気に集約した。 その瞬間閃光と共にスライムの中心にかなり大きい穴が開いた。
「や やったのか」
「ようやくそこそこの威力が出るようになりましたね」
だがスライムはみるみるうちに再生していく。
「すみません 想定外です これはちょっと私にはどうしようも無いかもしれません…今のうちに逃げましょう」
そう言うとリエルはまた欧斗の胸の中に戻っていく。
「く… まぁ足止めできただけいいか」
欧斗は糸を使い木々を倒しながらスライムの行方を阻むが速度が遅くなる気配がない。 ちょうど森を抜けたところで追いつかれる。
「ち 絶体絶命じゃないか…」
触手が欧斗の体に向かい襲いかかる、その時だった。
欧斗はふと思い出しポケットのクリスタルに自分の魔力をありったけ込め、スライムの体に投げ込んだ。
「一か八かだったが魔力さえ込めればまた機能してくれるか… こいつが魔力のみで構成された生き物だとすれば体を壊すことができる…」
欧斗は朦朧とする意識の中少しずつ足を進め前に進もうとするが体が言うことを聞かず倒れる。
「かかれ!」
そう言うと後ろからかなりの人数の騎士が魔法能力を使い静止したスライムを襲う。
「欧斗くん! 無事でしたか!?」
そう言いながらメイが欧斗に近寄ったところで欧斗は気絶する。その体を部下の騎士に預け、彼女は剣を鞘から抜いた。
メイは魔力を全身に巡らせその圧で騎士達の攻撃を制止させる。
「一撃で終わらせます」
そう言うとメイはスライムを大剣の一振りで森ごと吹き飛ばし、 勝負を決した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます