第3話 〜最高峰の能力を持った僕は王都を目指します〜
どれだけ歩いただろうか 。 ひたすらに歩く欧斗を他所に日はどんどん沈んでいく。
「ぼ 僕たち本当に王都に着くことができるのか?」
欧斗が立ち止まりそう言うと飛んでいるリエルが心の中で答える。
「とりあえず 今日の所は休みましょう お疲れ様です この辺りは私が見張ります」
そう彼女が言うと彼が辺りを見渡す、 どうやら欧斗達はすっかり森の中らしい。
木にもたれ、休もうとしている矢先人影が近づいてくるのを感じた。
「欧斗 何か近づいてきます 下がってください」
そう言うとリエルが実体化した。場面は緊迫しその人影が顕になる。
「いやぁ そんな驚かないでくれ 僕は騎士だ」
そう言うと同年代ぐらいの年齢の金髪の鎧を着た青年が姿を表した。
欧斗は少し緊張した顔をしながら金髪の男を見る。
「な なんだって騎士がこんな所に?」
そう欧斗が言うと彼は答える。
「実は少しこの辺りで気になることがあって着ていてね この辺りの小さな村に用があるんだ」
「用って…?」
欧斗がそう言うと彼は急に真面目な顔をして答える。
「王都の衛兵が何者かによって殺されたという報告を受けたんだ」
そう言うと欧斗は凍りついたような顔になったがすぐにその顔を元に戻す。
「へ へぇ そんなことが」
「君 妖精を従えているのかい 珍しいね うん すごく珍しい…」
そう騎士が言うと欧斗に冷や汗が零れる。 そう、 王都の衛兵とはまさに先日リエルが殺した一味のことである。
まさかそんなに早く伝わっているだなんて…
欧斗がそう思ったのもつかの間、 妖精がすぐに返事をする。
「 あなたは村を目指している なら方向は反対です」
「いや 気が変わった」
そう騎士は言い欧斗達に語りかける。
「僕は騎士マグネット 一緒に王都まで着いていくよ 君たち 名前は?」
「あ ああ 僕の名前は欧斗 こっちがリエル でも本当にいいのかな 着いてきてもらって」
「きっと王都までの道のりがわからないんだろう?困っている人を放っておけない質でね よろしく頼むよ」
見透かしたようにマグネットは欧斗達に答えた。
リエルは欧斗の中に入り、2人はマグネットの魔法で付けた焚き火に当たりながら夜を共にした。 そして夜が空けた。
「とりあえずここまで停留所へ向かおう そこかららから王都まですぐだ」
そうして2人は馬車の停留所へ向かう。 都合よく馬車が来ておりそこから王都へ向かって馬が走り出す。
「君さ 何か王都に向かう目的があるんだろ なんだい?」
そう言われ欧斗の言葉が煮詰る。
俺はなんの為に世界を支配するんだ…?
考えていると馬車が止まった。
「ど どうしましたか?」
そう欧斗が運転手に聞くとマグネットは真剣な顔付きで剣を構えていた。
するとすごい勢いで馬車が吹き飛んだ。 欧斗はマグネットと別方向に飛ばされた。
「な なんなんだ一体」
そう欧斗が言うと1匹の巨大な兎のような魔獣が目の前に現れた。体は非常に大きく体調4mはくだらないといった所だ。 どうなら魔獣の群れに出くわしてしまったらしい。
「強いですね こいつ」
リエルが現れそう言うと魔獣は目にも止まらない速さで2人を腕で薙ぎ払い襲う。間一髪でそれを避ける。
「お おい 僕じゃどうしようもないぞこれ」
欧斗がそう言うとリエルが魔力を集め一点に集中させ弾き出す。
だがその攻撃も虚しく全く効いていない様子だった。
「すみません 私ではどうすることも 恐らくこの霊体では回収は出来ても最大を放出することがまだ出来ません ストック分は先の衛兵との戦いで使い果たしてしまいゴリ押しもできないかと」
おいおいどうするんだよこれ
そう欧斗が思っている刹那どんどん魔獣はにじり寄る。堪らず糸の魔法で応戦するが魔獣には効いている気配がない。
「僕じゃ何も…出来ないのか…」
欧斗は今までの自分の人生を省みていた。 走馬灯のようなものだろうか。 自己否定感を持ちながら生きてきた過去、 それが彼を足止めしているのだろう。
「大丈夫です」
リエルはいつもの顔つきで話す。
欧斗は堪らず言葉を発する。
「なんでそんな安心していられるんだ…?」
「言ったでしょう あなたは王になる こんな所で負けはしません 本当はまだやれるのでしょう?」
この言動を人任せと言う風に受け取ることも出来るかもしれない。 だがこれは全幅において欧斗に信頼を置いてるからこそ出る真の言葉なのだと欧斗は受け取った。
「お前の力 貸してくれ」
欧斗がそう言うとリエルは全ての力を欧斗へ渡す。
「僕は… いや俺は 俺の事を信じてくれる者の為に この力を振るうことにするよ」
母のこと、 そしてリエルのことを思いながら欧斗は魔獣に向かって拳を突き出し走っていく。その刹那だった。
「そうか… 君は」
一瞬の閃光とともに魔獣の体は真っ二つに割れた。そこには騎士マグネットの背中があった。
「黙っていてすまないな 私は本当は騎士などでは無いんだ」
そう言うと騎士は微笑みながら振り向く。
「リューガ・アンデルセン 次期王候補筆頭だ」
その瞬間リューガはこの空間のすべてを掌握したようにさえ思えた。
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