第5.5話
「捕まるかと思ったんですけど、案外捕まりませんでしたね。」
男は少女二人に笑いかけた。
「でも、捕まってもいいっておっしゃってたじゃないですか。」
少女Aはふふ、と品よく笑う。
「私は疑われたけど、お二人は?」
少女Bは笑みを浮かべながら、「これ、二人からのお礼です。ほんの少しですけど。」と薄い茶封筒を男の方へ向ける。
「ありがたい、生活の足しにします――俺は全く。」
俺は二人に軽く頭を下げた。
「私も全然。むしろ忠告してあげようとしたのに、聞く耳持たずで。」
少女Aの言葉を聞いた少女Bは、さもおかしそうに笑った。
「今回のことで、二人とも頭を冷やせばいいけど――むやみにキスプリなんか載せるとどうなるのか、一瞬でも二股かけるとどうなるのか。」
「いいえ、無理よあの二人。お互いしか見えてないバカップルだもの。優しいひとは一生優しいし、優しくないひとは一生優しくない。馬鹿は一生馬鹿のままよ。」
スマホの向こうのストーカー 夏野彩葉 @natsuiro-story
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