第5話終結

 夏休みが明けた途端、件のメールは再開された――エスカレートした状態で。

田村たむら美優みゆ

 牧川高校二年一組 バドミントン部所属

 ○○市△△町に両親と住んでいる』

『彼氏は川崎かわさき大輔だいすけ

 浦橋高校三年四組 バドミントン部の副キャプテン

 ○○市□□町に両親、妹と住んでいる』

 そんなものまで送られるようになっていた。


「だいちゃん、わたしもう嫌。」

 デートで入った駅ビルのカフェで、美優はそう言うと泣き出した。

「向こうはこっちのこと全部知ってるの。親には前回のアカウントのことがあるから言えないし……。アカウントは消すけど、だいちゃんとは別れたくない。」

 美優は泣きじゃくりながら言う。大輔はうなずいた。

「俺も、何言われてもみゆと別れない。みゆのこと守るから。」


『本人にも確認しましたが、美優に許嫁はいないそうです。これ以上俺と美優に接触しないでください。』

 大輔はそれだけ送信した。


 それ以来、ダイレクトメールは来ていない。

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