第4話疑う『馬鹿野郎』
「
夏休み明けの隣のクラス。
「……何?」
さっきまで単語帳を見ていた菜月は、仏頂面でそう言った。
「俺の彼女に変なDM送ってない?」
「は?」
菜月はあからさまに不機嫌そうな声を上げた。
「彼女が怖がってるんだよ。」
「何の話?」
大輔は成り行きをかいつまんで説明した。
「……菜月じゃないの?」
菜月は大きなため息をついた。
「私のこと疑ってたんだ。……あるもんね、逆恨みされる心当たり。」
それまで顔を手で覆っていた菜月は顔を上げ、キッと大輔を睨むように見つめ、
「私がそんなことすると思ったの⁉あのときあんなに潔く身を引いてあげたのに⁉」
クラス中に聞こえるような声で言う。
「馬鹿じゃないの、いや、馬鹿なんだよね。馬鹿野郎なんだよね!だから順番も礼儀作法もわからないんだよね!」
菜月はそう叫ぶと、ふらりとその場に泣き崩れた。女子数人が駆け寄って、「保健室行こう、ね?」と菜月を立たせ、大輔を横目で睨みつけながら教室を出て行く。
「おい、お前たち席に着きなさい。」
ちょうど教室に入ってきた担任の声で、生徒たちは自分の席へ戻っていった。
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