悪夢の唸り

目が目れば優雅な朝。

顔を洗顔し、朝食の準備をする。


今日は、トースターでチーズをのせた食パンを焼いて、フライパンで目玉焼きとベーコンを焼く。

それぞれ3分ずつ焼き、出来上がったのを食パンの上に乗っける。

それで完成、目玉焼きパン!


とろーりと伸びるチーズにうまみが出るベーコン。

半熟で黄身が流れる目玉焼き。

味付きをしなくても十分美味しい。

それに果汁100%のオレンジジュースを添えて完成。


久々に食べる朝食は朝の元気につながる。

颯爽と食べ終え、食器を片付ける。

洗顔をするときに少し思ったが、早朝の水はやけに冷たく感じる。

冷えた手をさすりながら、自室へ。


机に置かれたパソコンを開き、ヘッドホンを付ける。

そして、You〇Tubeを開き、スクリーンとにらめっこをする。


これはただ見ているだけではない。

物語を作るために何かいい案がないかを調べているだけ。

決して、面白いから見入ってしまっているわけではない。

ここ重要なとこなのでもう一度言うけど、見入ってしまっているわけではない。


そしてかれこれ一時間。

妙に体が怠い。

少し熱い気がする。

最近コ〇ナやイ〇フルなんかが流行り出しているが、そう言った病気に感染したわけではない。


もしかしたら、最近睡眠が6時間も取れていないからだろうか。

基本、8時間寝ないと十分休めない体でありながら、それなのに2時間以上も足りない日が続けば体も壊れてしまう。


「こういう日は、バイノーラル音声を聞きながら寝るのが一番!」


スマホにイヤホンを装着。

You〇Tubeのアプリを開き、検索していく。

検索ワードは、前に”バイノーラル”、後ろに”百合”、”メイド”、”吸血鬼”、”ロリ”、”妹”など様々。

検索結果から出てくる動画の中で、サムネの少女が好みの動画を開いていく。


「可愛い声が効けて幸せ―!!こんな子が‥…ぐへへへ(>3<)!!」


気持ちわる声が少し出てしまうけど、可愛い女の子の声が聞こえて我慢できるわけない。

限界化しながら、夢の中へ落ちて行った。




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―――――

――


目が覚めると、知らない部屋にいた。

部屋の中を見渡すと、ベットがもう一つあった。


「いや、私はここを知っている。」


そうだった。

私は、高校の修学旅行に来ているんだった。

それで、ホテルで休憩しているんだった。


何故そんなことを忘れていたのか分からない。

ただ、今はみんなの所に行かないと。

もう朝だ。

相部屋の子はすでに行ってしまったらしい。


「起こしてくれてもいいのに。」


起きない私も悪いけれど、それでも起こしてほしかった。

急いで、ベットから出て扉に向かう。


「あっ…れ?」


視界がぐらぐらと歪む。

そして、だんだんと体が熱くなりしんどくなっていく。

目眩や頭痛も起き、何かにすがっていないと立っていられない。


「あっ…。」


そのまま倒れてしまい、仰向けになって倒れ込む。

頭が以上に重く、持ち上げる事が出来ない。

さらに、ぐらついて歪んでいくしかいは、すでに目の前に何があるのか分からなくなってしまった。


「わた…しは‥‥‥…。」


そのまま、苦しみと共に、暗闇に消えていく。




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―――――

――




「はっ!?」


目が覚めるとそこは、見覚えのない畳の部屋。

いや、これも違う。

私は知っている。

私は、旅行に来ていたんだった。

つまり、さっきまでの事が夢だったんだ。


「それにしても、悪夢を見るなんて‥‥。」


運がない。

そう思ってしまう。


「それにしても、のどが渇くな。飲み物は…。」


冷蔵庫は、近くにあった。

確か水はそこに入れていたはず。

私は立ち上がり、


「あっ!?まっ、また…。」


さっきと同じ感覚に陥る。

視界がぐらぐらと揺らぎ、体が熱くしんどい。

徐々に、目眩、頭痛。


「こ、こんなところで……。」


せっかくの旅行で途中退場したくない。

まずは心を落ち着かせるんだ。


目を閉じて、精神を集中させる。

さっきから視界が揺らぐのは、体に力が抜けていき頭が上下左右お互いているからだ。

目を閉じて集中すれば徐々に慣れていく。


「ふー。これで。」


数秒すれば精神も安定し視界もクリアになる。

これで進む事が出来る。


「っ!どうして。」


歩き始めると、また同じ症状が。

視界が揺らぎ、歩くたびに酷くなっていく。

3歩目までが限界。

それでも気合がなければ立ってられない。


「も、もう一度。」


目を閉じて集中する。

徐々に安定化していき、元の景色に。


「まるで、ゲームの猛毒のような症状だ。」


ターンが過ぎれば過ぎるほどダメージが増えていく。

ただ、こっちのは、八分の一、4分の一、2分の一と進んでいって、4歩目に行けば完全にアウトのようだ。


「ともかく、水は…」


冷蔵庫の中を開く。

しかし、そこには何も入っていない。

空の状態だった。


「そ、そんなー‥‥。」


残念と言うか、絶望。

せっかく辿り着いたのに、これでは頑張った意味がない。

私はとっさに、扉の方へ向け走ってしまった。


「あっ、あっ……。」


4歩目を歩いてしまった。

視界はぐちゃぐちゃ。

目眩、頭痛。

体が焼けるような苦しみ。

体の隅々まで死ぬような痛みが走る。


そして、私は…‥‥…




――――――――――――――――――――

――――――――――

――――




「行こう?」

「‥‥あっ、う、うん、ななちゃん。」


私は何を見ていたのだろうか?

さっきまで、まるで苦しみに襲われていたはずなのに私は‥‥。


違う。

それは夢で見た事。

悪夢だった。

今は、卒業力の途中。

さっきまで、悪夢を思い返しただけだった。


「それにしても広いね。」

「そうだよね。ななちゃん、階段に気を付けてね。」


卒業旅行で宿に指定されたのは、大きなホテル。

誰が選んだのか分からないけど、本当に無料で参加してもよかったのだろうか?

それほど豪華で大きなホテルだった。


扉を開ければ階段。

そして、部屋の中には相当広く、プールまで設備されている。


一部屋でこの大きさなのに、いったいどれだけの費用が掛かっているのか心配になる。


「わぁー!!お菓子があるです!」


テーブルを見ると、お菓子が並べられていた。

それに、お菓子だけでなく、ドーナツ、マフィン、菓子パンが色々あった。


これは、旅館などにあるお茶請けのお菓子のようなものにあたるのだろうか?

それに近しいものを感じた。

そして、中央には紙があり、


『お好きにどうぞ』


そう書かれていた。

つまり、好きな時に、好きなように食べてください。

そう言ったものなのだろう。


「私食べるですー!」

「私は、今はいいかな。少し疲れたから、横になるわね。」


2つのダブルベットのうち、片方を使わしてもらう。

ダブルベットなので、十分な広さがあって、あまり気乗りはしない。

でも、なんだか体が熱くなってきてしんどい。


服を脱いで下着以外は近くにあった籠の中に置く。

掛け布団も使わないで私は、下着の状態で眠ることにした。





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―――――

―――





「ここは‥‥。」


目を覚ますと、ベットの上。

しかも、さっきまで見ていた夢の中。

旅行に来ていた夢?


「まさか同じ夢を見るなんて…………いや、さっきのが夢なのか?」


ここが現実で、さっき卒業旅行の方が夢?

記憶が乱雑になる。

どちらが現実で、どちらが夢か分からない。


「ともかく、ここを…。」


そう言って一歩。


「っ!」


まただ。

同じ症状が生じた。


「3歩づつ。3歩づつだ。同じ失敗はしない。」


3歩進めば、一旦立ち止まり意識をしっかり保つ。

そしてまた3歩。

それの繰り返し。


何度も同じ苦しみの繰り返しで何度も倒れそうになる。

でも、それでも何とか耐え、ある部屋の前に来た。


その部屋に吸い込まれるように、私は入っていった。

何故か分からない。

ただ、入る必要があるように思えた。


「ここに居たのね…‥‥ななちゃん。」


ベットの上でポよポよしていた。


「ふわっふわですー!!」


声を掛けようと思ったけど、それよりも、限界が来たみたいだった。


「なな、ちゃ……。」


搾りかすのような声。

でも、その声は届かない。

築いてもらえない。


「どう、し…て。」


気付いてもらえないのではない。

認識されていない。

まるで私はここに居ないかのように。

私が存在しないから、声が届かない。

そんな気がした。


「わた、私は‥……」


目の前が赤く染まる。

気付いてもらえないまま私は‥‥




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――




目を覚ます。

鼓動が最高潮に他しいている。


「はぁ!はぁ!」


息を整えるので精一杯。

ここはどこ?

私は何をしていた?


旅行に来ていただけ?

それとも、卒業旅行でここにいるの?


分からない。

これが夢なのか現実なのか。

何もかもがぐちゃぐちゃだ。


「ななちゃん!」


目の前にななちゃんがいた。

でも、ここでも私に気づいていなようだった。

認知されず、声すらも届かない。


私は、ななちゃんに近づこうとして、


「どう、して…。」


またあの現象。

目眩、頭痛。

体が焼けるような苦しみ。

そして、視界がぐちゃぐちゃになる。

力が入らず、頭の重みでバランスが保てない。

私はどうにかして、その苦しみを収める。


「ななちゃんはどこに‥‥?」


目を離しているうちにどこかへ行ってしまった。

苦しみに耐えながら歩き回る。

そしてついに見つけた。

階段を下りた先にいた。


「よかった。」


手すりを支えにゆっくりと降りて行き、


「えっ‥…?」


降りている途中、手すりが壊れた。

手すりを支えにしていたので、わたしは落ちた。

頭から真っ逆さまに落ちて、


「なんで‥‥…。」


痛みもない。

血も飛び跳ねていない。


確かに高さはあった。

普通なら骨折。

頭から落ちたなら即死の高さから落ちたのに。


そのうちに、ななちゃんは階段を上っていく。

行かないで。

私を助けて‥…。


心の中で叫んでも助けてもらえない。

彼女の耳に届かない。


私は地面を這いつくばりながら、登っていく。

痛みはなくて、例の症状は続いていく。

ただ、地面にすがっているので、少しは楽だった。


階段をのぼり、ベットへ。

もう、私はここに存在していない。

しんでいるような存在。


『それなら、もうここに居る意味なんてない……』


心から絶望した。

夢か現実か分からないの中で、何度も死にかけて。

もう苦しいのは嫌だ。

解放されたい。


「これは‥…縄?」


手元に縄があった。

それを、ななちゃんが手に取った。


「こんなものあったでしょうか?」


調べるように見ている。

そして、一度結ばれていた縄を解く。

長さを確認しているようだった。


「結構こう長いですね?何に使うですかね?」


調べ終わったと、また結び直す。

そして、それをベットに置き、どこか行ってしまった。


しかし、老いた場所が悪かった。

私の首にその縄は引っかかってしまっていた。

このままでは危ない。

死んでしまう。

………。

死んでしまう?

なんで今更死を恐れるの?

もう死んだ方が私は…。


「うぐっ!!ぐっ、はっ‥…あっ…あっ……」


綱がひとりでに締められる。

首筋に強烈な痛み。

息ができず、もがき苦しむ。


そして、視界は、赤く。

赤黒く、最後には真っ黒に。

わたしは、


これで3回目のだ。





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――――――――――――

―――――

――




僕は戻ってきた。

悪夢から目覚めた。


汗はびっしょりかいていて、気持ち悪い。

それに、汗をかいたせいでのどがカラカラだ。

冷蔵庫を開け、ペットボトルを取り出す。

それをグイッと大きな一口で飲む。


「それにしても最近、見る夢は全て悪夢なんだよな。」


体が硬直して動けす、重力で押しつぶされる夢。

息ができず、最終的に窒息死する夢。

誰にも認知してもらえず、ただ頭痛を受け続け、誰に助けを求めても助けてもらえず死んでいく夢。


今回は、一番最後に近い夢だった。

ただし、今回は、全く別人。

女性になっての体験だった。


しかも、知らない女性の友達も出てきて。

知らない場所のホテル。

知らない観光地の知らない宿泊施設。

始めて見る場所が出てきた。


「っ!……手に、紐あと?いや、これは‥…。」


手に痛みが走ったので何なのか見てみれば、何か紐の様なものの痣が出来ていた。

紐、と言うよりも、これは夢に出てきた縄の後だ。

ただ、僕の部屋にそんなものはない。

家の中にはない。

なら、どうして僕の手に痣が?


それに、夢のなかでは、僕が首を縛られていたはず。

殺されたのは僕だから、僕の手よりも‥…。


とっさに首に手を当てる。

しかし、そのような痣はない。


なら、どうしてだ?

何か見落としている。

考えろ。

何を見落としている?


もう一度あの時の情景を思い浮かべる。

ぐちゃぐちゃの視界から見えたものを。


「そうだ、あの時の縄は誰かが引っ張っているみたいだったじゃないか!」


そうだ。

あれは誰かに縛られているような感じだった。

なら、それは僕だった?

でも、僕は、彼女で‥…。


「何を考えてるんだ僕は……。」


考えるのをやめた。

もう関係ない話なんだ。

これ以上考えても意味ないだろう。


そう言って、テレビを付けた。

You〇Tubeを見る気になれなかったので、気持ちを切り替えるつもりでつけた。


『昨晩、坊ホテルで6年間も死体が行方不明だった少女の死体が首を縄で縛られた状態で発見されました。第一発見者は、当時の親友らしき人物で、証言によると、いきなり現れたの事。しかし、彼女自身も相当のショックを受けており、精神科の病院に搬送されており、ちゃんとした事情聴取は出来ていないとのこと。警察は、これを何らかの事件として進めているようです。‥‥それでは次のニュースで―――』

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