第二話 隷従させるための拘束首輪 その二
拘束首輪を装着された瞬間、ももは一瞬ぞくっと震えて驚いた顔になった。
うふふ、大成功だわ!
この時の私は自分の成功を信じて疑わなかったのだが……。
ももがジタバタして飼い主である新田陸の腕から逃れた瞬間、突然ももの姿が消えてしまった。それは本当に一瞬のことだったが、まるで煙のように消えたのだ。
「あれっ、ももがいなくなっちゃった」
ももの姿が突然消えたため、新田陸と幼馴染の大和田陽菜の二人が周りをキョロキョロし始める。
私は急いで首輪にかかっている拘束魔法の
私はこの時点では事態を楽観視していた。なぜならば首輪を装着した対象を自分に隷従させる拘束魔法のため、無理に逃げようとしたり、首輪を外そうとするなど、首輪の強制力に抵抗すると首が締まる仕掛けなのだ。残滓を追えば必ず捕まえることが出来るだろう。
さて、そろそろももを探しに行こうかな……。ターゲットであるももの追跡を開始しようとしたその時だった。
突然、私は自身の魔力で何か得体の知れない霊的存在を感知した。飲食の模擬店が集まっている方向からだが、あまりにも霊力が高すぎて測定できない。
そして数十秒後、私の魔道具である首輪からの魔力が一瞬で途絶えた。どうやら先ほどの霊的存在に私の拘束魔法を解除されてしまったようだ。柴犬ももとの関係性は不明だが、魔女見習いの私の実力で対峙するには正直厳しい相手になるだろう。
私は即座に現場からの撤収を開始。お店の商品を魔法で仕舞い込むと、一目散に逃げ出した。出店申し込み時の登録は全て偽装しているので、そこから足がつく恐れはないだろう。
「悔しいけど、また出直すことにするわ。バイバイ、も・も・ちゃん♪」
◆◆◆
緑の丘を離れた後、私は変身を解き、元の高野美咲の姿に戻る。そして先ほど起こった異常事象の数々を振り返ってみた。
ももが突然姿を消してしまった理由、高位の霊的存在が急に現れた理由、そして私の自慢の拘束魔法があっけなく解除されてしまった理由……。
あの存在はもしかして……神⁉ 全否定したい自分がいるが、そうでもないと説明がつかないことが多すぎる。今日起こった事象はどれもこれも普通には絶対起こり得ないことなのだから。
私は柴犬ももの実力(人間の言葉を理解する)を相応に評価していたつもりだったが、どうやら私の分析が足りなかったのかもしれない。
ももは神のお遣いなの⁇ いずれにしろ
だが、柴犬ももを使い魔にしたいという私の決意はより強まったのだった。
次回、Mission 2 身辺警護編に続く。
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