第27話 大聖堂の戦い その3

 アルトゥールが指を刺した先には、巨大なオノを片手に、筋肉質だが体は引き締まっており、頭部は黒山羊で角が長く背中に黒い翼がはえていた。


 「あれは、バフォメットだ。司祭でも最高クラスであり戦闘力も高い。魔王軍でも上位にはいる存在だ。私も見るのは始めてだ。司祭がここでなにを」


 ソフィアは、ティアラを冠り体が透けて見える薄いドレスを身にまとって広間の中心にある魔法陣に踏み入れると立ち止まり両手を上げた。


 「ソフィア! ダメだ!」



 アルトゥールが飛び出し、3人は目を合わせるとタイミングは今しかないと同意し後につづいて飛び込んだ。


 飛び込むと足元に魔法陣が現れ稲光がアルトゥールたちを電気が走るかの似様に包み激痛が走った。


 「体が動かない! くそっっ! ソフィア!!! 聞こえないのかソフィア!」


 アルトゥールは、動かない体で必死に腕をのばすがそれが限界だった。


 「ま~っていたぞ! ヴァインツィアール! あっはっはは、動けまい、動けないであろう! 貴様に会うのを楽しみにしていたぞ」


 カーマインは、高らかに笑い始めた。


 「そこで見ておくがいい。 ヴァインツィアール! 貴様だ! 貴様のせいだ!


 「つづけろ、バフォメット!」


 ソフィアは、静かに両手を握ると祈るようにしてひざまずいた。






 「やめるんだソフィア! おれの声が聞こえないのか! ソフィア!」


 アルトゥールが、必死に叫ぼうがソフィアは姿勢を変えなかった。


 「ぶっはっはっはは、無駄だ! 無駄なんだよ! ヴァインツィアール。貴様がいくら、わめ き叫びぼうとも、貴様の言うことは聞かない! あははは、もしかしたら、貴様のことが大嫌いなのかもな。 ははははは」



 必死に叫びつづけた。

アルトゥールは、全身の筋肉に力をいれスーツが隆起するがわず かにしか動けない。


 「むーだーだ! 無駄無駄! この大聖堂自体を邪悪化させ魔力を数倍に跳ね上がらせてある。 抜け出せるやつなぞだれもいない」


 徐々に体力が奪われていき、シェスティンとシルヴィーは地面に倒れ込んだ。


 (くそっ、このままだと、ソフィアを助けるどころじゃなくなるな)


 アルトゥールは、体の力を最大限にいれるとMK3手榴弾のピンを抜き地面に落とし、その上におおいかぶさった。

閃光が走ると爆発音と共に、アルトゥールは、爆煙で一瞬にして見えなくなり砂煙が舞い上がった。


 「へへへ、死ぬかとおもったぜ」


 アルトゥールは、爆発で上半身の鎧と服が吹き飛びスーツが見えているが無事であった。

地面に仕掛けてあった結界はなくなり、エドと駆け寄ろうとする。


 「おっと~。あの結界をぬけるとは、すごいな。さすが、ヴァインツィアールってところか。 だがな~、まだ、お楽しみはあるんだぜ。せいぜい楽しんでくれや あはははは」


 魔法陣が地面に現れると、地面から剣を構えた人影がでて来た。


 アルトゥールとエドは、同時に叫んだ。


 「シュティーナ!」


 「シュティーナ! おまえまで、どーしちまったんだよ! おまえは、ソフィアを守るんじゃなかったのかよ!」


 シュティーナ近衛師団長は、いつもの軽装な服装にティアラを冠り白銀の鎧を着込んで剣を構えていた。


 アルトゥールが近づくと、シュティーナは、剣を振り下ろして来た。


 「やめろ! わからないのか、おれだアルトだ!」


 それでも、剣は、一向に収まらずアルトゥールは、ギリギリで避けながら、さらに踏み込みシュティーナの斬撃を二丁の拳銃でクロスするように受け止め、顔を近づけた。


 「おまえら、幼馴染なんだろ! 小さころからソフィアを守ってきたんじゃないのか!」


 シュティー名は、剣に体重をのせ拳銃とこすれ合う。


 アルトゥールは、シュティーナの顔を見ると、うっすら涙を浮かべていることに気がついた。


 「ヴァインツィアール殿は、王女殿下を! 私は、この不肖な弟子をなんとかします!」

 

 エドは、剣を抜くとシュティーナの剣撃を受け止めた。


 「エド頼んだぞ!」


 アルトゥールは、ソフィアの前に駆け寄ろとするがカーマインが立ちはだかった。


 「さ~て、さてさてさてさて、貴様の相手は、おれが直々相手してやろう」


 カーマインが、前髪をかきあげながら話すと、腰に たずえていた剣を抜き放つ。


 「おれの手剣の剣技についてこれるかなぁ。 あははっははは」


 カーマインが大きく踏み込んで来た。

アルトゥールは、足目掛けて銃弾を撃ち込むが、意に介さず素早い両手剣の剣技を撃ち放って来た。


 (足を撃ったのに、なんで倒れない。 この剣技、ボンクラ貴族かと思っていたが早い。一撃、一撃が重い)


 斬撃を防ぐとカーマインが握手をするかの自然な動きでアルトゥールの手首を掴んだ。

 アルトゥールの体は、一瞬、宙に体が浮いたかと思うと激しく地面に叩きつけられる。


 (片手でなんて力なんだ)


すぐさま立ち上がると、カーマインは、素早い連撃を繰り出して、拳銃で弾いて空きをみて発砲する。

肩や腹部に命中するが、それでもカーマインの剣技は止まらない。


 (なぜ倒れない。こいつもアンデッドなのか!? ならば、頭を)



 そう思った瞬間、バフォメットが後ろから巨大なオノを振り下ろしアルトゥールの背中にめり込み、くの字に折り曲がる様に壁際まで飛ばされて転がって行く。

 バフォメットは、翼を広げさらにオノをアルトゥール目掛け振り下ろして来た。

 すかさず拳銃を撃ちま来るがお構いなしに巨大なオノを力一杯振り下ろす。

拳銃でガードするも、凄まじい威力でアルトゥールは、床にめり込み拳銃も粉々に砕け散った。


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