第26話 大聖堂の戦い その2
開けた土地には、無数の墓石があり教会もお墓も手入れがされておらずおどろどろしい雰囲気をかもし出していた。
城の堀に近い場所にあった。
(わざと人が寄り付かないようにしているんだな。王様たちが脱出しやすいように)
うさ耳のシルヴィーは、構わず教会に向けて走り出す。
「ご主人さまぁ。嫌な感じがします」
アルトゥールは、ウィンドウを開き、堀の場所に光点が現れたのを確認した・・・・・・と、同時に体が激しい衝撃とともに吹っ飛んだ。
(なっ、なんだ!? なんで吹っ飛んでいる・・・・・・?)
数メートル吹き飛び墓石に激しくぶつかると止まった。
体は、液体でずぶ濡れである。
「いててて、水? どうなっているんだ?」
慌てて、光点があった場所を、雨で視界が悪く遠くを見つめた。
そこには、数メートルはする大きさにカエルのような頭、手足がなく長い尻尾と巨大な翼をうねりながら動いていた。
「ウォーターリーパーだ! 魔王軍の放った魔獣で人を丸呑みにするから気をつけて!」
「ヴァインツィアール殿! あいつは、水を操るからやっかいだぞ」
そういうと、エドは剣をぬきウォーターリーパーに切りかかった。
剣は、ウォーターリーパーに当たる寸前に、地面から水柱があがり、攻撃が届く寸前に水圧で押し返された。
エドは、一旦後ろに退く左右に高速に動き、残像があたかも分身したかのように2人なった。
「我が秘剣を受けてみよ!!双頭牙竜!!」
左右に別れたエドの残像が同時に、剣が輝き刃となって飛んで行く。
「エド! 支援するよ」
シルヴィーは、地面を蹴り空高く飛ぶとウォーターリーパーの背中に目掛けマントをひるがえし大量のクナイを投げはなった。
だが、ウォーターリーパーの前には地面から、水の壁が現れ攻撃を弾き、背中には、雨が盾のように広がりクナイの攻撃を無力化された。
「風の精霊よ! 2人を遠くへ!」
2人の体が輝くと、シェスティンが2人を遠くに飛ばした瞬間、水の壁から、小石台の水の塊が四方に勢いよく撃ち飛ばされた。
勢いは凄まじく、次々と墓石が砕け散り粉々になって行く。
「キー! キー!」
ウォーターリーパーが大きな口をあけて叫び始めた。
至るところから、水柱が出現し、1mぐらいのカエルの形状へと皮変わって、口を開けると高水圧の水が発射される。
「まずい! 数が多すぎる!」
エドは、複数の高水圧の水をギリギリ避けながら斬撃を与え、水で出来たカエルを切り倒していた。
ウォーターリーパーが、口から舌をカメレオンのように素早く伸ばすとシェスティンの体に巻き付いて、空中に引き上げられた。
シェスティンは、スカートを押さえながら大きな悲鳴をあげた。
「まずい! 食われる!」
シルヴィーは、クナイを舌に向けて投げはなった。
間髪入れずエドが、剣で舌を切りに行くが、舌は、弾力があり粘膜状のものでうまく切れない。
その時、銃声が鳴り響き、水で出来たカエル立ちは、水に変わって消えて行く。
アルトゥールの両手に持っている拳銃(デザートイーグル.50AE)の銃口からは硝煙が上がっていた。
ウォーターリーパーが、水の壁を作るよりも早く銃弾命中していたのだ。
銃弾が複数あたり血だらけになっていた。
「先を急ごう!」
教会の入り口で中を警戒しながら入る。
タクティカルライトをつけると教会の中は、寂れているというより、廃墟に近い教会であった。
シルヴィーは、奥の異質に整備されて綺麗なパイプオルガンに向かった。
鍵盤のキーをいくつか叩くと、木製で作られた壁の一部が音を立てて浮き上がり押しのけるとスロープが現れた。
「この道が城に続いている道になっている・・・・・・ぴょん」
一行は、ライトと松明を灯し階段を降りて行くと、暗闇に広い地下道がつづいている。
(王様が逃げるときに、馬車を使える様に広くしているのか)
暗くジメジメした道をあるき続けると、複数の分かれ道に差し掛かりシルヴィーが案内してくれた。
城内部の至る場所につながっており、引けた場所には馬車が何台か止めてあった。
(準備だけして、逃げられなかったのか)
「こっちよ。ここから城内部に入るから・・・・・・ぴょん」
壁を押すと、王宮の厨房のようなところにたどり着き、腐敗した料理が至るところに散らかっていた。
(慌てて逃げ出したのか。 無事逃げられたらいいけどな。しかし、静かだな。誰もいないのか? 敵兵もいないのか?)
城の中は、薄暗く人気はまったくなかった。
「ここからは城内部の情報は、僕にもわからないんだ・・・・・・ぴょん」
「ってことは、ここから城内部を歩き回るしかないな」
アルトゥールたちは、城を歩き回るが人の気配はなく大講堂に明かりが灯っている事に気がついた。
「あそこで、なにかやっているのか」
慎重に大聖堂まで近づき中を覗くと、人の影が動いているのが見えた。
「ソフィアっ!!!」
「待つんだ! アルト! 冷静になって観察するんだ。下手をすると王女殿下まで危険にしてしまう」
アルトゥールの視界に、ソフィアの姿がうつり飛び出そうとしたところをエドが制した。
「ソフィア様に、もうひとりは、カーマイン フォン フェリード卿だね・・・・・・ぴょん」
「後ろにいるあのでかいのは、なんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます