大聖堂の戦い
第25話 大聖堂の戦い その1
(このまま城に向かってソフィアを助けるか・・・・・・)
ウィンドウのナビゲートを開きチェックポイントをつけた。
「こっちだ。城に行ってソフィアを助ける」
アルトゥールは、背中にエドをおぶると身を隠し町中を警戒しながら疾走して行った。
いくつかの路地を曲がり、細い路地に入った。
「ご主人さま、なにか来ます! 精霊が騒いでいます!」
屋根の上からマントで顔を隠した人影が飛びかかって来た。
人影は、アルトゥールを捉えたと思ったが、予想できない動きで避けられ逆に壁に押し付けた。
「何者だ!」
マントの人影は、両手をあげて抵抗する気はないようだ。
マントをめくると、そこには、豊満な体に水着に近い服を着ており頭にはうさみが飛び出した。
「あっ おまえは、この前の」
「あっはっはっ、覚えています? ギルドにいた受付ですよ」
「なんで、受付がこんな夜中に屋根から飛びかかって来るんだ」
さらに、マントをめ来るとクナイがいくつも腰やマントにつけられていた。
「夜のお散歩・・・・・・じゃ、納得しませんよね。そのー、あんまり言えないのですが、ギルドって情報が集まるでしょ? だから、副業でそういうお仕事しているんですよ。 シノビってやつですよ・・・・・・ニンニン」
アルトゥールは、無言で見ている。
「えーと、シノビってやつですぴょん・・・・・・。人間って、うさ耳があると、語尾にぴょんつけないと納得しないんですよね ぴょん」
「で、なんで俺たちを襲って来た」
「夜の街をチェックしていたら、遠くの建物で一瞬光りが見えたんだ。そりゃ、僕としては、行くしかないっしょ。で~、人気のない夜中に走り抜けていく人気げを見つけて近づこうと思ったら・・・・・・」
うさ耳の少女は、屈託のない笑顔で答えた。
「あれ、そちらの人は、レイフシュ・・・・・・」
「エドだ! 私は、無名の剣士だ! そういうことだぞ! シルヴィー」
「・・・・・・は? あーそういうことね。わかったぴょん。エド」
二人は、目配りが終えるとさらにうさ耳のシルヴィーは続けた。
「私は、シルヴィー。よろしくね。ぴょん」
アルトゥールは、『ぴょん』に眉をひそめながらも自己紹介とシェスティンの紹介を済ませた。
「向かっていた方向からすると、お城に突入する気だったんでしょ~。案内するよ。今、城門は閉められて簡単には入れなくなっているから・・・・・・その前に、その服装じゃ・・・・・・エドは、サイズのあっていない服に、女の子は、上着だけのほぼ半裸だし、治療もしないとね」
エドとシェスティンの方向を見て眉をひそめる。
「近くに私の隠れ家があるから、そこに行こう。装備、美味しいスープでものんでお腹も膨らませないとね」
「そんな事言っている場合じゃない! ソフィアを!」
三人は、お腹の音が激しく響いた。
「ご主人さまぁ。お腹すいたよぉ」
「そういえば、祝賀会でも、ほとんど食べられなかったからなぁ」
「戦の前に、腹ごしらえだよ。じゃぁ いこっか! ぴょん」
アルトゥールは、『ぴょん』の使い方が気になりながらも、隠れ家に向かった。
「この縄をときなさい! カーマイン フォン フェリード卿。いえ!カーマイン! このようなことは許されません!」
「姫! 姫様! 王女殿下! おいたわしい姿で、ぐへぐへへへ、大変すばらしゅーございますよ。姫様! お似合いですよ」
王宮の豪華な家具が立ち並ぶ部屋に、ソフィアの両手はしばられ、美しい体が透けて見えるほどの薄いドレスを着せられていた。
「このような無礼は許しませんよ! たとえ大貴族だからといって」
「姫! 姫様! ソフィア姫様! だれも、あなたの命令はききませんよ。なーぜならば、貴族の殆どは、魔王軍に寝返ったからです。くーっくぅっく」
「ちょっと、その汚らしい手でわたくしの髪をさわらないで! なに嗅いでいるのですか。やめてください。」
カーマインは、長い髪をかきあげて、口からは涎が垂らし更に会話を続けた。
「ひーめ様、ソフィア王女殿下さまぁ! みなは、この国は滅ぶと思っているのですよ。 いつまでも、国境にあるパルテルス鎮守府が持ちこたえられいるはずがない。 早い段階で魔王軍に投降したほうが身分の保証されるってもんですよ。くぅぅうっくくぅく」
「ちょっと、わたくしの体に触れないで! 汚らわしい! あっ ちょっと」
カーマインは、長い舌から滴りおちる涎をすする。
「くっくっく、国王だって、同じようなものでしょ。 なぜあの高齢で姫が生まれたのか。 姫様は、神官でありながら、なぜ、高位で神聖な浄化魔法が使えないのか・・・・・・くっくっく」
「いや、ちょっと、やめて・・・・・・なにを言っているの?」
「あなたは、大切な存在として生まれて来たのですよ。初代アルトゥール フォン ヴァインツィアールは、魔王様に致命傷を与えた。 うすうすとは分かっていたのでしょ? 自分の存在がなんなのか。 くっはっひゃっひゃ」
ソフィアは、ほほを赤らめながら、つややかで弾力のある唇を噛みしめた。
「それ以上、触れば舌を噛んで死にます! わたくしは大切な存在なのでしょ?」
「ひめさま、ひめさま、ひーめさま、いうなればあなたは、大切な闇の巫女。魔王様が完全回復するのに必要だ。逆に死ねば魔王様を倒す手段がなくなるというわけですよ。ぐひょっひょひょ」
「どういうことです? 魔王を倒す手段?? あなたはカーマイン? 一体なにものですか!」
「しりたいか! しりたいかぁー! よーく見るがいい! ぐはっっはっは」
カーマインは、服を乱暴に脱ぎだし、すべての服を脱ぎ裸になった。
ソフィアは、短く悲鳴をあげると目を背けた。
「ひめ!ひめさまよぉー! おれの体を見ろ!」
(助けて・・・・・・アルト・・・・・・)
カーマインの体は、膨れ上があがり変化して行った・・・・・・。
アルトゥールたちは、小さな屋敷に身を潜めていた。
「ソフィアは無事なのか!」
「うん、それは、間違いないよ。僕が保証する。どうも一部の貴族が、魔王軍に投降するために、手引して王族を手みあげにしようとしているみたいなんだ・・・・・・ぴょん」
自己紹介を済ませ、テーブルには、うさ耳のシルヴィーがマントを脱いでセクシーな服装のままで、料理を作って腕をふるった料理が並んで手軽に作れるものだがプロのシェフに匹敵する腕前だった。
エドは、シェスティンに簡単な回復魔法をかけてもらい、シルビィーに背中を中心に治療をしてもらい包帯が痛々しさを物語っていた。
「王都には、知性の低い魔獣みたいなのが住み着くようになって、生き残っている住民は、身を隠しながら生活している。見つかると厄介だから、極力先頭は控えて行動しないといけない・・・・・・ぴょん」
「王都に残っていた、騎士団は、どうなったかしらないか? 彼らの強力を得られれば心強いんだが」
エドは、久しぶりの食事なので、スープをゆっくりすすっていた。
「騎士団が、どうなったのかわからない。王都襲撃の際には、数カ所に集結して反撃しようとしていたみたいだけど・・・・・・ぴょん」
「そうか・・・・・・」
エドは、拳を強く握りしめていた。
「城には、秘密の通路があるから、そこから侵入しましょう。王族専用の抜け穴っていうのがあるから・・・・・・ぴょん」
「よし、食事をすぐに出発だ! 朝日が出る前に移動しないと! シェスとエドは、ここに残っ」
「いやです!!」
シェスティンは、言い終えるより早く声を遮った。
「絶対に嫌です! 残るなんて、絶対に、絶対に・・・・・・役に立つんですから、絶対についていきます!」
「私もついて行く! 恩人を危険な場所に一人で行かすせられるものか」
エドとシェスティンは、二人で顔を合わせうなずきあっていた。
「しゃーない、みんなで行くかっ!」
そうそうに、食事をすませ、エドとシェスティンは、屋敷にある服と鎧を借りて装備をかためて、アルトゥールは、マッスルスーツの上に戦闘服を来て、さらに鎧の一部を装着し剣を装備した。
(鎧を着てないと、毎回戦闘服がボロボロになっちゃうからな)
屋敷をでると、小雨が降って視界が悪くなっていた。
道先案内人のうさ耳シルヴィーを先頭に走り出す。
町は、静まり返り人々は魔獣をおそれてか明かりさえもついていない。
いくつかの路地を曲がると、開けた場所についた。
「墓地か、いや教会か・・・・・・」
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