第18話 城下の戦い その2
騎馬隊は、村中を走り回り家に逃げ遅れたものを捕まえ、ある家は扉を破られ髪をひっぱり引きずり出されていた。
アルトゥールたちは、兵士たちの前に両手を大きく広げ通行を妨げた。
「人さらいは今すぐやめろ! そんな横暴は許されるものか!」
「あぁあん? おっ、おまえは、よっ、よそ者か、じゃ 邪魔だなぁ」
ソフィアは、隊長風の兵士だけが漆黒の鎧を着込んでいることに気がついた。
「あれは、魔王軍だわ・・・・・・どうして・・・・・・」
アルトゥールたちは、ソフィアの方をみて息を呑んだ。
隊長風の兵士が無言で手を上げ振り下ろすと、後方から騎馬隊が長いランスに大きな盾を持ち勢いをつけてランスを身構え走り込んで来る。
(おいおい、いきなり戦闘かよ。準備してないぞ。どうする・・・・・)
ホルスターから拳銃を抜くと頭部に照準をあわせる・・・・・・。
(くそっ! 人間にいきなりヘッドショットなんてできねぇ)
視線を馬に向けてデザートイーグルから銃弾を発砲して行く。
次々に馬は倒れて兵士たちは転げ落ちて行った。
転倒した兵士たちは、突然の攻撃に驚き大きな盾を前面に出して体制を整え直すと前進を始めてきた。
(くそ、やっぱり引いてはくれないか、やるしかないのか)
アルトゥールは、盾で見えない足を狙って次々と発砲して行く。
弾丸は、この時代にできた鉄製の盾を簡単に貫通して足に命中しているが、兵士たちは、1発や2発命中したぐらいではひるまず迫って来る。
兵士たちは、盾に意味がないと分かると全速力で走り出してきた。
すかさずシュティーナがカバーに入り、兵士の剣を受け止めて応戦して行く。
「皆に神の御加護があらんことを!」
4人の体が一瞬光ると、体に力がみなぎるのを感じた。
「ご主人さま! 危ない! 風の精霊よ!!」
手を大きく前にかざすと、アルトゥールに襲いかかって来る数人の兵士を吹き飛ばした。
一人の兵士から、兜が脱げ落ちると中には、黒紫色をした人とは言い難い形相を兵士だった。
「まさか!アンデッド?」
ソフィアが口元を抑えながら、大声で叫ぶ。
「アンデッドでしたら、頭部・・・・・・眉間の奥を破壊するか、手足を切って行動不能にするしかありません!・・・・・・一度アンデッドにされた人間は元には戻せません。」
「この数をヘッドショットねぇ・・・・・・」
「城の中の兵士もすべて、魔王軍によってアンデッド化されているかもしれません。この数の人間をアンデッド化させるなんて・・・・・・」
「って、ことは、もともと生きていた人間なのか。ひどいことしやがる」
城に続く石橋からは、橋から溢れんばかりの甲冑を着込んだ兵士が行進して来るのが見えた」
「総出で、お出迎えってことね。シュティーナ! あの剣から光が出る魔法を使えないのかっ」
シュティーナが、兵士たちと激しく打ち合いを交えながら答える。
「あれは、太陽の光が出てないとつかえないの。昼間しか無理よ!」
ウィンドウをチェックするが、使えそうなのは無人機ぐらいだったが、とりあえずにクリックしておいた。
アルトゥールは、手持ちの手榴弾をの密集しているところに、すべて投げ入れた。
爆発が起こり馬は両足をあげパニックを起こし暴れだしアンデッド兵士の足並みが揃わずスキが生まれた。
アルトゥールは、それを見逃さずアンデッド兵士たちの頭に兜の上から弾丸を叩き込んで行く。
だが、続々と現れるアンデッド兵士たち。
アンデッド兵は、剣を大きく抜き咆哮を上げて退去して押し寄せて来る。
接近戦となり、サバイバルナイフで受け止めつつ拳銃で応戦するがの数に押されはじめジリジリと後退を余儀なくされていた。
ウィンドウを見ると城の方の光点を無数に現れるのを確認していた。
「数が多すぎる。このままでは!」
その時、甲高い悲鳴が轟いた。
「ご主人さまぁー」
振り向くとシェスティンが町を迂回してきた騎馬隊のアンデッド兵士に抱えられて連れされて行くのが見えた。
連れ去っている兵士に狙いを定めるが、殿(しんがり)の部隊が壁となり拳銃を連射するが、殿(しんがり)が盾となり連れ去られて行った。
「くそおおぉ!」
感情をだして激しく叫んだ。
ウィンドウを開くが、アイコンの殆どが使用できない状態になっていた。
突如、雑音の混ざった音が聞こえてきた。
「ねぇ、手助けは必要かしら? 安くしとくわよ」
無線からノイズ混じりの音声が流れ始めた。
「セリアか! いいタイミングだ! 手を貸して・・・・・・いや、ちょっとまって、先払いしただろうが!」
「あれはあれ、これはこれよ。どうする」
「わかったわかった。後で払う。アンデッド兵どもの足止めしてくれ。石橋は落とさないように、仲間が一人拐われたんだ!」
「了解! あんた、無人機飛ばしてるでしょ。アップリンクしてくれる? 正確な座標が知りたいの」
セリアは、地形と赤外線のデータを受け取ると町から離れた小高い丘から、石橋の手前に向けて砲撃を始めた。
「ゾンビたちは、やっぱり体温ないかしら? うっすらとした影しかわからないなぁ。橋の手前に集中砲火しとくか」
遠くから、太鼓の音が聞こえたと思うと甲高い音と共に地面に当たりアンデッドたちは散り散りに倒れて行く。
「セリア! そっちで無人機に搭載されてるヘルファイア・ミサイルを城門に投下してくれ!!」
「分かったわ! えーとこれね。 3,2,1 ヘルファイア投下。・・・・・・5,4.3,2,1 弾着!」
激しく城門は、爆発と衝撃はが渦のように響き渡り当たり一面に砂埃が舞い上がる。
「ソフィア! シュティーナ! 一旦引くぞ!」
酒場の前に止めていた
「シェスが連れ去られた! すぐに助けに行く!」
「わかりました。わたくしたちも行きますわ」
「だめだ! 危険すぎる。もし誰かが捕まったら収集がつかなくなる」
「そんな、わたくしたちは、お荷物じゃありませんわ!」
「そうだ、お荷物じゃない。だから手伝ってほしい」
荷物からさっそうとライフルを取り出す。
「こいつでな」
そこには、大型のライフル バレッタM82があった。
「こいつは、12.7mm×99弾有効射程距離は2,000メートル、こいつなら城壁ぐらい余裕で貫通する威力がある。目標に届くまで4秒ぐらいかかるから、予測して撃つんだ」
ソフィアは、キョトンとした顔をしてる。
ライフルのトライポッド(脚部)を固定しアルトゥールが手本となって教える。
地面に大の字に伏せるとスコープを覗き、城壁で弓を構えているアンデッド兵に照準を合わせる。
トリガーを引くと激しい衝撃音とともに銃口のマルズブレーキからは、左右と前方に衝撃波と火薬が飛び散り、周囲に振動が鳴り響く。
弾丸は、真っ暗になっている町並みを赤白く輝き一直線に飛び石橋を越えて幾人かのアンデッド兵をふっ飛ばした。
ソフィアとシュティーナは呆然としていた。
「これ、わたくしに使えるのですか?」
「だいじょーぶ、とりあえず、最初は強化魔法使っといたほうがいい」
ソフィアを地面にうつ伏せにさせスコープを覗かせる。
「すごい! これ魔法? 遠くなのに近くみえる!」
スコープの調節や狙い方、風や落下など簡単に説明し
「魔法の残弾(マガジン)まだまだある! 何回か撃ってればそのうちわかるよ。後、これもつけといて」
タクティカルヘッドセットを差し出し耳につけさす。
「これをつけていれば離れたところからでも会話できるから」
「シュティーナは、ソフィアの護衛をしてほしい、スナイパーは狙ってる時周囲が見えなくなる」
(これで納得してソフィアとシュティーナは残ってくれるだろ。危険な城攻めには連れていけないからな)
その間も、10式戦車の支援砲撃はつづいており、石橋周辺に着弾し激しい爆発音を奏でている。
「セリア! 一旦砲撃を中止してくれ。 今から突入する。 城には仲間がいるから撃たないでくれ。石橋から渡って来るやつらだけを、砲撃して町を守ってくれ」
アルトゥールは、MP5ライフルにタクティカルライトを取り付け、拳銃のデザートイーグル、ナイフ、手榴弾、ヘッドマウントディスプレイ、無線用チョーカー、タクティカルヘルメット、背中を固定して石橋に向かって行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます