第6話 洞窟 その2
誰もいない獣道を少年は一人歩いていた。
「あ~あ、なんか大変なことになってきたなぁ~」
手を頭の上に組み晴天の青空を見ながら、独り言をぶつぶつ言っている。
「もっと、楽なものだと思っていたんだけどなぁ。 移動だけでも乗り物がないと面倒だなぁ」
隣にシルバーのテーブル・・・・・・ケロベロスが付かず離れずとついてきて時折、独り言に対して赤いランプがチカチカしている。
ウィンドウを開くと何かコメントが入力されているが文字化けして分からなかった。
たまにケロベロスを押したりして倒そうとするが、絶妙のバランスで踏ん張るので意地になって倒そうと遊びながら移動していた。
急がないといけないのはわかっているが、数時間先の洞窟なので最初は小走りだった勢いもだんだん遅くなり足取りが重くなって、やや飽き始めていた。
簡易マップにナビゲーションが使えるようになり、最短経路が出ているがそれでも数時間の距離である。
「あ~、腹減ったなぁ~。 食料を分けてもらえばよったなぁ。でも、あの状況じゃ食料なんて残っているんだろうか。 村の人達大丈夫かなぁ」
ウィンドウを開くと食料のアイコンが使えるようになり階層に簡易食料っぽいアイコンをクリックすると着地ポイントを指定が出来た。
タイマーが作動し5分ぐらいだろうか、ちょっと離れた岩陰で衝撃に備えていると空からパラシュートでコンテナが降ってきた。
(なんだ。今度はミサイルみたいなのじゃないのか)
小型のコンテナを開けると水と保存用食料、栄養剤など色々はいっており、大型のリュックも入っていた。
(しかし、これどっから届いているのだろう・・・・・・まぁ、気にしてても仕方がないか。現状は現状でなんとかして行こう)
首をかしげ疑問に思いながらも答えが出るはずもなく、食事にすることにした。
固形食は、パサパサして喉が乾くがそれなりにおいしい。缶詰をあけるといろいろな種類があり、ここに来てからなにも食べてなかったので食がすすみ、缶詰を色々開けているといい香りがあたりに漂う。
その時、黒い影が缶詰をめがけて襲いかかった。
「エステルっ!」
そこには、しっぽをばたつかせ満面の笑顔で食料を漁るエステルの姿があるのだった。
「なんで? ついてきちゃったの??」
「うん、お兄ちゃんが心配だったからー!エステルだって役にたてるんだよぉ」
しゃべりながら激しく食料に食らいつき時よりむせながらも食欲を抑えられないのか飲み込んで行く。
少年と同じ様になにも食料を口にせずここまでついてきたのが伺える。
ペットボトルのキャップを外してあげ、エステルに差し向けると舐めるように飲み始めた。
「あぶないから、今から村にもどりな。 遊びに行くわけじゃないんだぞ」
エステルは、大きな瞳に目にうっすら涙を浮かべた。
「エステルだってお姉ちゃん助けたいし、お兄ちゃんも助けるんだもぉん」
更に、涙がこぼれそうになってくる。
ここから一人で引き返さすのも危険だろうし、頭を力強くかきむしった。
「ぜーったい、お兄ちゃんの言うこと聞くんだぞ!!ぜーったいだぞ!」
「はーい、おにいちゃん」
言うなり腕に力いっぱいしがみついて、しっぽを激しくふっているのであった。
少年は、考え込みエステルをつれて、まだまだ続く山道をどうするか悩んでいると、ケロベロスが寄って来てなにやらアピールしている。
「ここに乗せろって言っているのか?」
ケロベロスは激しく上下に体を揺らし答えている。
「お兄ちゃん、こわいよ……」
エステルにとっては未知の生物であり、ゴブリンを瞬殺した獰猛な生き物にしか見えてないだろう。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、おれの言う事なら何でも聞くから」
ケロベロスは、エステルに近づきすり寄って行く。
エステルもおっかなびっくりさわさわしはじめた。
少年はエステルを持ち上げるとケロベロスにまたがせ、自分も前に乗るとエステルが後ろから力いっぱいしがみついて来た。
ケロベロスは、またがったのを感知すると勢いよく飛び出しすごい速さで走り出した。
「あっはは、これは、楽ちん楽ちん」
ナビゲーションマップが目的地に近いことを表示し、大幅に時間を短縮して付くことができた。
洞窟から少し離れたところで少年は考え込み、今までの武器の傾向としては空からの支援ばかりで洞窟内はおそらく支援がないことを危惧していた。
ウィンドウを色々みていると、携帯武器関係があるのが目にとまる。
生唾を飲み込むと、適当に使えそうなのをクリックして着地ポイントと赤い範囲がでて来る。
少年は、ケロベロスの着地を思い出し離れた場所に座標を指定した。
タイマーは短く、しばらくするとピューと甲高い音が近づいてき、ケロベロスのときはより小ぶりのカプセル状のものが地面に激しく激突した。
少年とエステルは、耳を塞ぎ恐る恐る覗き込むとカプセルは傘を逆さにしたように開き武器などが取りやすい感じで収納されている。
その中にアタッシュケースがあり早速あけてみると、中には体のラインがぴったりわかるぐらいフィットする真っ黒くよく見るとハニカム状のシルバーのラインが薄っすらと入っており、いくら伸ばしても切れないぐらいの伸縮性を持っている。
「マッスルスーツか」
少年は驚く、記憶はないがすべてが分かりどういう風に使用するのかも理解できていた。
(あれ、おれこれを使っていたことがある……)
「エステル、目を閉じてゆっくり30数えるまで目をあけちゃだめだぞ」
「えー、なんでぇ」
「なんでもお兄ちゃんの言うことを守る約束な!」
「ふぁーい」
不満そうだが約束を守って目をつぶり声にだして数を数える。
素早く裸になると手慣れた手付きで、マッスルスーツを着込みむと体型にフィットし、グローブやブーツも履くと首から下は肌が露出している部分がなくなる。
胸や肩、手の甲などには薄く強化素材が使われて硬くなっている。
その上から、カプセルに入っていたブラックの
腰に弾帯ベルトをつけ、マガジン、拳銃のブラックのデザートイーグルやオートマグ3、その他の装備品を装着し、手にはM4 5.56mライフル、ヘッドマウントディスプレイを装着する。
数を数え終わったエステルがキョトンとした顔でこちらをまじまじと見ている。
着替えている間にケロベロスは、体の1/3を切り離すと補充物資の中にあった体と同じユニットと交換しバッテリーと弾薬を補充していた。
(あいつ、器用だなぁ)
準備が完了し周囲を警戒し洞窟の入り口に身を隠しながら進んで行く。
エリシアが頭を上に向けると、鼻をひっきりなしにクンクンしている。
「なにか来るよ!」
ふたりは、辺りを見渡し緊張感で心臓の鼓動が高まって行った。
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