22 少女騎士の戦い3
「ありがと、リンデちゃん!」
レナはアーベルから遠ざかり、彼女の側に並ぶ。
「以前のアーベルとは違う……異常な運動能力だな」
つぶやきとともに、もう一人の女子生徒が駆け寄ってきた。
艶のある黒髪を長く伸ばした、怜悧な美少女。
学園ランキング3位、『竜牙』の二つ名を持つターニャ・ミルバだ。
「ターニャ先輩も!」
レナが顔を輝かせた。
「騒ぎを聞いて、ジークリンデと一緒に来た。間一髪だったようだが、間に合ってよかったよ」
と、ターニャがクールに告げる。
「私も一緒に戦います」
「無論、私もだ」
頼もしい味方二人に、レナはにっこりと笑みを浮かべた。
「うん、みんなでアーベルくんを止めよう」
学園ランキングトップ5に入る美少女たちが、並んでアーベルと対峙する。
中央がレナ、右にジークリンデ、左にターニャという布陣だ。
「──手ごわいけど、がんばろ」
と、左右の二人に目くばせするレナ。
確かに、アーベルは異常な力を発揮している。
だが、この三人が連携すれば、どうにか対抗できるかもしれない。
いや、対抗してみせる。
騎士として、必ず。
「ジークリンデにターニャ……どいつもこいつも、俺になびかなかった女ばかりか」
アーベルの表情が歪んだ。
「ちょうどいい。まとめて犯して、ミゼルを悔しがらせてやる」
「下劣な……!」
ジークリンデがキッとアーベルをにらんだ。
「君などに汚されるくらいなら、死んだ方がマシだな」
ふん、と鼻を鳴らすターニャ。
「そうだよ。あたしに手を出していいのは、ミゼルくんだけなんだからっ」
「ん、やはりミゼルならOKなのか?」
「実質告白ですね、これは」
ターニャとジークリンデから同時に突っこまれた。
「えっ!? あ、や、やだな、今のは勢いで……あ、ううん、言葉のあやっていうか、そう、あやだよあや!」
レナは慌てて言った。
顔が熱くなるのが分かる。
こんな場面で──。
いや、こんな場面だからこそか。
おかげで、気持ちがフッと軽くなった。
先ほどまでの恐怖感が薄れている。
「いくよ、二人とも」
***
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