23 少女騎士の戦い3

「レナはそうでないとな」

「がんばりましょう」


 レナが声をかけると、ターニャとジークリンデが力強くうなずいた。


「和気あいあいとしやがって! すぐにお前らの顔を屈辱で歪めてやる!」


 アーベルが叫んだ。


 レナは静かに彼を見据えた。


 異常なまでの攻撃性を前にしても、冷静な気持ちで対処できる。

 不安や恐怖が完全に消えたわけではないが、それでも戦う気力は充実していた。


 仲間たちの、おかげだ。


「今の俺を止められると思うなよ!」


 言うなり、アーベルが突っこんできた。

 一瞬にしてこちらとの距離を数メートルまで詰め、強烈な斬撃を見舞う。


「速い! だけど──」


 ジークリンデが前に出た。


 一年生にして学園最強の『女帝』。

 その卓越した剣技が、アーベルの一撃をさばいた。


「こいつ……っ!?」

「あなたの動きが直線的すぎます。いくら速くても、予測がつけば対処は可能──」


 さらに二撃、三撃目も、ジークリンデはアーベルの斬撃をいなしてみせた。


「すごい……!」


 レナは息を飲む。


 同じ学園ランキングトップ5でも、やはり彼女は圧倒的にすごい。

 一年生にして学園最強と謳われるだけのことはある。


 もしもレナであれば、今の攻防だけで斬り伏せられていたかもしれない。


(さすがだね、リンデちゃん)


 頼もしい後輩の戦いぶりに胸が熱くなった。

 同時に、闘志が湧き上がってくる。


 ジークリンデの戦いぶりがレナの心に火を灯した。


「あたしだって──」

「ああ、無論私も!」


 手をこまねいて見ているだけではない。

 レナとターニャは合図もなく、まさしく以心伝心で左右に跳んだ。


 アーベルを挟み撃ちにするようにして剣を繰り出す。


 それに合わせてジークリンデも。


 三方向からの、同時高速刺突──。






***

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