6 上位騎士たちの模擬戦
「仲良きことは美しきかな……ですが、そろそろ授業を進めさせてくださいね」
ミカエラさんがにっこり微笑んだ。
「今日は選抜メンバーを私がマンツーマンで指導します。他の方はそれを見学してくださいね。そして選抜メンバーは……」
言って、彼女がレナたちを順番に見つめていった。
「学園でも五指に入るであろうあなたたちを中心に指導させていただきます」
「五指に入るって、俺もですか?」
驚いて自分を指さす俺。
「ええ。実はあなたと会うのを楽しみにしていたのです、ミゼル・バレッタくん──」
ミカエラさんが俺を見つめる。
まっすぐなその視線は、まるで俺を値踏みしているかのようだ。
学園ランキングトップ5──。
文字通り、この学園で最強の騎士たちだ。
ランキング一位、『
一年生にして学園の頂点に君臨する超天才ルーキー。
ランキング二位、『
華麗な剣技を誇る貴族令息──なのだが、以前の模擬戦で俺に打ち負かされ、現在は入院中だ。
ランキング三位、『
攻撃に特化した剣技は豪快さと緻密さを併せ持つ。
ランキング四位、『
学内最速を誇り、その二つ名の通り稲妻のごとき剣技の持ち主。
ランキング五位、『
特に防御能力に秀で、地味だが堅実な剣技を誇る三年生。
五位のラン先輩は今日は学園を休んでいるということで、ミカエラさんは俺とレナ、ジークリンデ、ターニャ先輩の四人を選抜メンバーに指名したのだった。
「俺と会うのが楽しみだった……?」
先ほどの彼女の言葉を繰り返す俺。
「最近、急激に腕を上げたと聞いています。先日は学園ランキング二位の生徒に完勝し、四位のレナさんとも互角以上に渡り合ったとか」
ミカエラさんが上品に笑った。
「それに学園一位のジークリンデさんとも練習で何度も打ち負かしているようですね。すでにあなたの実力は学園でも五指に──いえ、すでに最強かもしれません」
「いえ、そんな」
俺は謙遜してみせた。
あまりその辺を突っこまれると、神器のことを知られかねない。
別に死の女神ヴェルナからは神器のことを他人に話すな、とは言われていない。
だが、俺はすでに多くの悪人を殺している。
神器のことを知られれば、その情報を元にして俺の『犯行』に足がつくかもしれない。
「では、まずミゼル・バレッタくんから軽くお手合わせ願いますね」
「──光栄です。ミカエラ先生」
俺は恭しく一礼した。
この人と相対していると、妙に嫌な予感が走る。
いちおう訓練着の下に『死神の黒衣』の収納モードを仕込んでいるが、まずは様子見だな。
場合によっては、実力を見せずにわざと負けることも含めて……。
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