4 再会する騎士たち

 翌朝、俺は眠い目をこすりながら登校した。


「ふあ……」


 思わずあくびが漏れる。


 昨日は深夜までブルーノの分身を殺し続けていたのだ。

 一日の限界だという150人ほどを殺してから、寮に戻って眠りについた。


 これから毎晩、この作業をやるのかと思うと多少おっくうになる。


「どうしたの、ミゼルくん? 眠そうだねー」


 レナが声をかけてきた。


「ん、少しな」

「まさか、女の子と夜遊びなんて……してないよね?」


 妙に心配そうなレナ。


「していない」

「よかったー」


 たちまち彼女の顔がパッと輝いた。


「あ、そうだ。今日は新しい先生が来るみたいだよ」

「えっ」

「王立騎士団の隊長さんなんだって。模擬戦の特別講師として、ときどき来てくれるみたい」


 レナが微笑んだ。


「新任教師か……」

 つぶやく俺。

 しかも王立騎士団の騎士とは、な。


「すっごい美人なんだって」


 言ったレナは不安げな表情を浮かべた。


「ね、ねえ、ミゼルくんって年下と年上、どっちが好き?」

「別にどちらでもいい」


 正直、今は恋愛ごとより悪人殺しのことで頭がいっぱいだった。


 特に捕獲したブルーノの神器を使い、スコアを稼ぐことが直近の課題だ。

 女を気にするゆとりなんて、あるはずがない。


「どちらでもっ……!? つまり、年上も守備範囲ってことだよね……!?」

「ん?」

「でも、やっぱり同い年がいいよね? ねっ?」

「俺は別にどうでもいいけど……」

「うう……じゃあ、やっぱり年上もOKなんだ……」


 レナの表情が引きつった。


「次の授業は模擬戦だし、ミゼルくんの反応をチェックしなきゃ……ライバルが増えたら大変……ううう」

「いや、今は恋愛ごとは別に──」

「ううううう……負けない……あたし、負けないんだから……!」


 俺の言葉は、レナの耳には届いていないようだった。




 次の授業になり、俺たち『炎精霊イフリート』クラスは模擬戦用の訓練場に移動した。

 訓練場の中央に誰かが立っている。


「あの人は──」


 長い黄金色の髪を縦ロールにした、気品のある美女だ。

 年齢は二十代後半くらいだろうか。

 おそらくレナが言っていた新任教師だ。


「王立騎士団所属、三番隊隊長ミカエラ・ハーディンです。主に剣術関連で指導させていただきます。期間限定になりますが、よろしくお願いしますね」


 彼女──ミカエラさんがにっこりと微笑んだ。




※ ※ ※


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