3 スコア稼ぎ

「お前の神器だが──あれの特性は「お前自身の分身を作り出す」ということでいいのか? それとも他にも作れるものがあるのか?」

『俺の神器「分身宝珠ぶんしんほうじゅ」は、俺の分身しか作れません』


 即答するブルーノ。


『そ、それしかできない神器なんです。だから悪夢を見せるのは──』

「次の質問だ」


 ブルーノの言葉をさえぎり、俺は言葉を継いだ。


「一度に作れる分身はどれくらいなんだ? 確か、何十人か作った後、しばらく打ち止めのような状態になっていたよな?」

『俺のコンディションにもよりますが、だいたい三十人から五十人くらいまでを一度に作り出せます。その後は十分から二十分程度の待機時間クールタイムが必要です』


 と、ブルーノ。


「よし、次だ。分身はその待機時間を挟めば、無限に作り続けられるのか?」

『前に試したことがありますが、一日で作れる分身はおおよそ百五十人前後です。この数も俺の心のコンディションによります』

「百五十人……か」


 ちょっと計算してみる。


 次の神器解放までに必要なスコアは600000。

 ブルーノの分身を一人殺すと、おおむね500程度のスコアが稼げるようだ。

 つまり分身を1200人程度殺す必要がある。


「一日に150人前後の分身を作れるのであれば、だいたい八日で1200人だな。順調にいけば、次の神器を解放できるのは八日後……か」


 俺はさっそく寮の裏手にある雑木林に移動した。

 大通りからも離れており、人気はまったくない。

 ここなら誰かに見られる危険性は薄いだろう。


「さっき説明したとおりだ。分身を作れるだけ作れ、ブルーノ」


 俺は『死神の黒衣』をまとうと、奴を影の中から引っ張り出した。


 どうやら影に入ったままだと、分身を作れないようだ。

 だから、こうしていったん本体を外に出してやる必要がある。


「ただし妙な真似をしたら……分かっているな?」


 にらみを利かせておく。


 油断は禁物だった。

 ブルーノが逃走を試みる可能性は十分にあるだろう。

 隙を見せてはならない。


『は、はい』


 ブルーノは従順にうなずき、神器の力で四十人ほどの分身を作り出した。


 どうやら、これが今回の限界数らしい。

 俺はブルーノ本体をふたたび影の中に幽閉した。


 それから分身たちを向かい合う。


「さあ、殺してやる」


 巨大な神の槌を召喚し、掲げた。


 そして──夜の雑木林に苦鳴と悲鳴が響き渡った。




※ ※ ※


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