26 組織の終焉1

 おびえるブルーノの手をつかみ、『影の支配者』を発動して足元の影に入りこむ。

 それから奴をその中に置いたまま、俺だけ元の場所に戻ってきた。


『なんだよ、これ……出られない……!』


 足元を見下ろすと、影の中に入ったままのブルーノの姿。

 目論み通り、閉じこめることができたらしい。


「いいぞ、上手くいった」

『だ、出してくれぇぇぇぇ……』


 影の中からブルーノの悲鳴が響く。


 無視して、俺は進んだ。

 あとは──この組織の残りの構成員を皆殺しにするだけだ。




 俺はふたたびアジト内を進んだ。

 出くわした構成員を片っ端から殺していく。


「た、助けてぇ……」

「み、見逃してくれ……頼むぅ……」

「死にたくない死にたくない死にたくない……」

「駄目だ。死ね」


 命乞いをすべて無視し、全員等しく潰していった。

 まるで害虫でも潰すように。


 これまでさんざん罪のない人々を傷つけ、殺してきたくせに、いざ自分の番になると助かろうとする──。

 そんな話が、通るはずがない。


 俺は奴らを殺して殺して殺して殺して、殺し続けて進んだ。


『魔眼』で探知した感じでは、おそらく漏れはないはず。

 そして、ついに最奥までたどり着く。


「な、なんなんだ、お前は……!」


 五十過ぎと思しき男は、俺を見て呆然とうめいた。

 おそらく『鮮血の牙クリムゾンファング』のボスだろう。


「お前で最後だな」


 俺はヴェルザーレを肩に担ぎ、進み出る。


 捕獲したブルーノを除き、これで組織の構成員は皆殺しだ──。

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