10 ミカエラ凌辱
いつの間にか、ミカエラの全身に黒い触手がまとわりついていた。
どうやら先ほどの悪寒の正体はこれのようだ。
うねうね、と蠢く触手が這い回るたびに騎士甲冑やその下の衣服が溶け落ちていく。
「ああ……ぁぁ……」
ほどなくして、ミカエラは一糸まとわぬ姿を晒してしまった。
肉付きの豊かな艶めかしい裸身だ。
染み一つない肌に無数のおぞましい触手が絡みつき、締めつけてきた。
「くうううっ……!」
苦痛を感じるほど強烈な締め付けではない。
あくまでもミカエラの動きを封じるのが目的だろうか。
しかも触手と触れ合っているうちに、下腹部にジーンと甘い熱が生じてくる。
「ああ……だめ……ぇ……」
両足の付け根から透明な蜜がツーッと流れ落ちた。
こんな状況だというのに、妖しい情欲が湧き上がるのを抑えられない。
「主に剣を向けた報いとお考えくださいませ、ミカエラ様」
老執事は恭しく頭を下げた。
「ううう……!」
「ガストンの『盾』は受けた攻撃をそのまま相手に返す。単純に攻撃を跳ね返すこともできるが、もう一つ──今のように『触手攻撃』に変換して返すことも可能だ」
と、リオネル。
「本来であれば、クラスAの神器がクラスSの神器に特性を及ぼすのは難しい。だがガストンは私と同じく『次の段階』に進んでいるので、な。たとえクラスS神器持ちとはいえ、容易には攻略できぬよ」
「あ、くぅぅぅ……っ……」
ミカエラは伯爵の言葉を聞きながら、身悶えしていた。
触手に触れられているだけで、どんどん妖しい心地が増していく。
恐らくこの触手自体が催淫能力でも備えているのだろう。
「清らかな正義の騎士も一皮むければ、浅ましいな。淫らな欲望を抑えられぬと見える」
リオネルが冷ややかに言い放った。
「くっ……」
「娼婦時代のことを思いだしたか、ミカエラ・ハーディン? さあ存分に乱れるがよい」
「ううううっ、い、いや……ぁ」
触手の一本がミカエラの口の中に侵入してきた。
「あぐっ、くぅ……んんっ、ふぐぅ……っ」
じゅぽっ、じゅぽっ、と口内を出入りする触手で息苦しかった。
ミカエラは涙目になりながら耐え忍ぶ。
別の触手は太ももを這いずりながら、徐々に付け根へと近づいていく。
「や、だめ、そこは……ぁぁ……っ……!」
ずぶりっ、と股間に押し入ってきた触手のおぞましい感触に、ミカエラは全身をわななかせた。
さらに他の触手が豊かな乳房に巻きつき、滑らかな肌に先端分を擦りつけ、まるで無数の男根に犯されているような屈辱感だった。
それでいながら全身が甘く火照ってくる。
触手の群れに汚されながら、自分の体が快感を得ていることを自覚する。
淫らな愉悦に浸りながら、意識が薄れてくる。
(だ……め……気持ちを、しっかり……持たなければ……)
快楽に負けてはならない。
私は、正義の騎士なのだから──。
ミカエラは手にした剣を強く握りしめた。
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