8 神器と神々
「また会えたね、ミゼルくん」
ヴェルナは満面の笑みを浮かべていた。
外見は、長い白銀の髪に褐色の肌をした美少女だ。
純白のドレスの裾が、夜風にはためいている。
「天界から人間界に来るのって結構大変なんだよねー。二つの世界の間にあるゲートを開くのって、面倒な儀式をいくつもやらなきゃいけないし。簡単にゲートが開く時期もあるんだけど、かなり短いし……」
ヴェルナは不満げにぶつぶつ言っていた。
「でも、そんな大変な儀式やら作業やらを経て、わざわざ会いに来たんだよ。嬉しいよね? ボクのことが愛しくなった?」
「いや、別に」
「そっか、もとからボクのことを愛おしんでくれてるもんね」
「いや、別に」
「つれないなー。惚れ直したでしょ? ね? 惚れすぎちゃって、ボクが引いちゃうくらいに惚れ直したよね? うわー、ひくわー」
一人ノリツッコミだった。
「愛おしんでないし、惚れ直してもいないんだが」
「うう、冷たい……」
「むしろ、君がテンション高すぎなんじゃないか……?」
「でもそのクールさがいい感じ。ふふふ」
ヴェルナが嬉しそうに微笑む。
「で、今回はなんの用なんだ?」
「えーっ!? 用がないと会いに来ちゃダメ? つめたーい」
ぷうっと頬を膨らませる死の女神。
どうも拗ねているようだ。
……あいかわらず女神様らしくない女神様だった。
「神器を渡してそんなに日が経ってないのに、随分とスコアを稼いだんだね。数百年前にも別の人間に神器を渡したことがあるけど、君はその人と比べても異常にハイペースだよ」
「俺以外にも、神器を……?」
「あ、もしかしてヤキモチ? ねえ、ヤキモチ?」
「いや、全然」
「ううう……でも、このそっけなさがまた……ふふふ」
ヴェルナは拗ねたり喜んだり、表情がコロコロと変わっていた。
「あ、話を戻すけど、その人っていうのは女の子だからね。君と同じくらいの年齢だったかな? でも、大してスコアを稼げないうちに別の神器使いに殺されちゃったんだよね」
「別の神器使い……」
「確か第八神器までしか解放できてなかったはずだよ。やっぱりそれだと、上位の神器使いには対抗できないんだね」
……それでも、俺よりは解放が進んでいるな。
俺はまだ、第五神器までだ。
「で、その上位の神器使いが君の近くにもいるよ。もし敵対関係になったら、今の君じゃ殺されるかも……気を付けてね~」
ヴェルナがにっこり笑った。
いや、殺されるかもしれないって話なのに、なんでそんなににこやかなんだ。
俺のことを気に入っているのか、突き放しているのか、今一つ理解に苦しむ神様だ。
「『
と、ヴェルナ。
そういえば、ヴェルナとかジャハトマとか聞いたことのない名前だけど、どこの神話の神様なんだろう。
「ボクたちは古代神だよ。この時代には──存在自体が伝わってないね」
「古代神……?」
「コンタクトする方法は『最果ての回廊』に行くくらいかな。まあ、あんな秘境まで行く物好きはほとんどいないけどねー」
「……もしかして、その『最果ての回廊』というところに行けば、他にも強い神器が手に入ったりするのか?」
「ええーっ、ミゼルくん、まさかボク以外の女神に会いたいの!? だめ、絶対! 浮気だよ浮気~っ!」
なんで、そうなる。
「まあ『最果ての回廊』はここからだとかなり遠いかな。別の大陸にあるし」
ヴェルナが言った。
古代神に会える場所──最果ての回廊、か。
覚えておこう。
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