第83話 ルール

 明らかに「武術」の構えを見せるマンティスは、本能のままに暴れる野生の獣じゃない。武道家のような落ち着きと隙のなさを感じる……まぁ、元々獣というか昆虫だけど……

 だが、そのためか、さっきは大振りの攻撃を避けて、簡単に懐に飛び込めたのに、今は違う。


「へぇ……まだ、何もしてねーのに、構えを見ただけで、攻撃するのを少し躊躇しちまうな」


 左のフリッカーで様子見をするには、あの鎌のような長い腕とのリーチが違いすぎる。

 俺の攻撃を当てるには、あの両腕を潜らなければならねえ。

 一方で、マンティスは静かに構えたまま、向こうから仕掛けてくる様子は無い。

 なら、このままにらめっこしているだけ?

 でも、それは師匠が許してくれねーだろう。

 

『無論だ』


 と、俺の心の中の言葉にもそう応える通り、俺から仕掛けるしかない。

 つまり、相手の攻撃を掻い潜ってのインファイト。

 そして、あの鎌相手にアカさんのときのようなヘッドバッド防御はやめた方がいいだろう。

 なら、頭を細かく振りながら、上体を前屈みにして飛び込む。


「いくぜ! 大魔グースステップ!」

「コイ」


 まずは、直線に。そこで僅かにマンティスの反応をズラす。

 そして、中距離の位置から両目を見開いてあの鎌を……


「イレナイ」

「ッ!?」

 

 そのとき、マンティスの伸ばした手が俺の足を払うように振り払われ……な、長ぇ! 腕を伸ばされたら想定以上に長い!

 しかも、俺がステップインしようと踏み込んだ足をなぎ払おうと……ダメだ、当たったら。だってこれ、鎌だから当たったら……


「そいや!」


 ジャンプして回避するしかなかった。

 だが、俺が飛んだ瞬間、もう片方のマンティスの腕が突き出され、鋭い鎌の先端を俺の……眼球を目掛けて……


「ちょまぅ!?」

「ハイイイイイイ!!」


 妙なマンティスの掛け声とともに鎌が突き出された。

 俺は空中で慌てて全身を捩って回転する。だが、避けられなかった。熱い、いた、頭が、顔? 目は? 目……


「ちっ、こ、のやろう……」

「ハイイイ!」

「ッ!?」


 目が開けられねえ? 血? まさか潰れた? 俺の眼球?

 受身も取れずに着地して背中を打ちつけた俺だが、眼球が潰されたかもしれないという予感が、背筋に強烈な寒気を過ぎらせた。が……


「ほ~……せ、セーフ……」


 どうやら、瞼を少し切ったようだ。それで血が目に入って一瞬開けられなかった。だが、眼球に問題はねえ。

 だが、安堵と同時に、より一層緊張感が高まった。


「へ、へへ、このやろう……普通……戦闘でいきなり、相手の眼球潰しにくるか?」

「……避ケタ……ヤッパリ、デキル」


 相手の急所。眼球とか、男ならキンタ●とか、そりゃあるが……そこを全力で攻撃する「度胸」が俺にはない。どうしても躊躇ってしまう。



『愚か者め。周辺視野が狭い。相手をただデカイだけの人型と思うな? 腕の形状も関節も違う。予想を誤ると、痛い目に合うぞ?』


「ぬっ……」


『そして、これが本当の武。容赦なく人体の急所を狙って確実に相手を殺傷する……殺法術。相手の弱点を容赦なく突き、実行できる……これが喧嘩ではなく、殺し合いというものだ』



 喧嘩をやる気だった俺の甘さを指摘するトレイナ。確かに、相手はクールで、とても乱暴な喧嘩をしようって様子には見えない。


『よいか? マンティスの戦闘能力はあらゆる種族の中でも高い部類だ』

「ハイイイイイイ!」

「って、まだアドバイス受けてる時に向こうから来た!」


 俺がトレイナの話をまだ聞いてる途中で、今度はマンティスから踏み込んできた、つか、メチャクチャ速い!


「つっ!?」

 

 振り下ろされた鎌。今のも危なかった。あと半歩下がらなかったら、ザックリ。俺の首を狙っていた。だが、そんなゾッとしている間にも、第二撃、三撃がくる。


『戦闘に向いたその肉体。獲物を見つけて飛び込むスピード……』


 ヤバイ。カウンターが取れない。避けるだけしかできねえ。


『そして、その超スピードを支え、一度捕まえた獲物を捕らえて離さない腕力……獲物を噛み切る顎……』

「ち、ちょ、調子に乗るな!」


 直線の動きが厄介だ。なら、フットワークで翻弄してやる。

 周囲に円を描くように、死角から……


「見エテル」

「うおっ!?」


 俺が左右に回り込もうとしたら、俺に反応して首をグルッと動かしてきた。

 俺の動きが見えてる?


『そう。その視野も周囲を完全に見渡せる』

 

 これがマンティス。スピード。腕力。広範囲の視野。さらに……


『さらに、このマンティスは殺傷能力の高い蟷螂魔拳を習得している』

「って、普通にハズレじゃねーかよ!!!!」


 ハズレと叫びたくなる。つまりこのマンティス、メチャクチャ強いじゃねえかよ。


『だからこそ、当たりなのだ、童』

「あん?」

『そして、今から貴様にルールを与える、童』


 愚痴を叫ぶ俺にトレイナはほくそ笑んだ。

 そして……


『この戦い……大魔螺旋、ブレイクスルー、その他魔法を一切禁ずる』

「は、な、なにい?」

『生身で、あのマンティスを圧倒してみろ』


 ただでさえ、ヤベぇと思っている俺に、正にとんでもない無茶な要求をしてきやがった。

 いや、普通に今からブレイクスルーを使おうと思っていたんだが?


「ちょ、い、いくらなんでもそれは!?」


 あまりにもそれは厳しすぎる。そう俺が言おうとするが、トレイナは真剣な顔で……



『貴様はあの超豪腕のオーガと正面から殴り合った。そして今度は、総合力と殺傷能力に優れたマンティスと戦える。帝国を出て世界に出る前に、貴様はここで大きな経験値を得ることができる』


「世界……」


『そうだ、童。貴様は地元にいつまでも留まる不良になるな。このマンティスを踏み越えて、次のステップへとレベルアップしてから、世界へ行け!!』



 ここに来て、アドバイスだけでなく、俺を鼓舞する言葉。ほんと、俺の師匠は……



『そのためにも、この貴重な機会を活かせ。相手を倒すためではなく、相手の全てを引き出した上で、全てをその眼で見極めてから、勝ってみせよ。貴様ならできる』


「俺なら……できる……か」



 不思議なもんだぜ。それが一番力になる。

 その言葉が、一番……やってやらーって気になるぜ!


「っしゃぁ! 集中! こいよ、カマキリ!」

「……ウルサイ……ナマイキ……デモ……子供ノクセニ度胸アル」


 そんな俺の叫びに、マンティスが……少し笑った? ような気がした。

 いや、今はそんなことよりも集中集中。


「イクゾ」

「来い!」


 一瞬の飛び込み。やっぱり速い。そしてここから鎌を使って変則的な攻撃を仕掛けてくる。

 剣の二刀流とも少し違う。

 鎌で切り裂くだけでなく、ひっかけて捕まえようとしたり、突いたりしてくる。

 しかも、それをガードすることもできない。ガードした腕ごと切り裂くだろうから。

 なら、できるのは回避。

 スウェーなどの上体逸らしを使う。


「ヨク避ケタ……イイ眼……」

「んだよ、急に褒めてくれても、俺は拳しか出ねーぞ!」


 マンティスの腕の形状やリーチを頭に入れての予想しての回避。とはいえ、ただでさえ速く、しかも変則攻撃までしてくるから厄介だ。

 だが、それを掻い潜れば懐に飛び込んで……


「ここだ!」

「ッ!?」


 鎌の嵐を掻い潜ってようやく辿りついた懐、そこから一気に相手の顎を突き上げるアッパーを叩き込む。


「大魔スマッシュ!」

「プシャっ!?」


 アッパーだけじゃねえ。今のうちに叩けるだけ叩いてやる。


「大魔フック!」

「ビャブ!?」


 まだいける。いや、もういっそのこと、連打だ!


「大魔ラッシュ!!」

「ゴッ?!」

「ウルアアアアアアアアア! このまま、潰れちまえぇぇぇ!!」


 拳の壁。上下左右を高速のハンドスピードで叩き込む。

 トレイナは、相手の力を出させてなんて言ったが、別にここで決めたって構わねえだろ。 

 角度、威力、自分でも手応えあ……


「イタイゾ」

 

 そのとき、俺のラッシュを受けていたマンティスの首がギョロっと俺へ向けられた。


「なっ!?」


 あんまり、効いてない!? いや、それどころか、や、ヤベぇ!


「ツカマエタ」

「げっ、げえ!?」


 両手で俺をガッチリとホールドされた。

 接近しすぎた!?

 鎌の腕でホールドされ、ノコギリみたいな腕の突起が肌に食い込み、突き刺され、そして強い腕力で引き剥がせねえ!


「つ、て、テメエッ!」

「コノママ食ッテヤル」


 鋭い顎が開く。噛み付き? いや、もうこれ、噛むなんてレベルじゃ……喰われる!?


「ぐがああっ!? ぐ、て、テメエ! つ、ぐああああああ!」


 首? 違う、肩の肉。寸前で首を何とか動かして肩に……だが、マジで噛みつきやがった!

 やべえ、肩が焼けるように熱い! いてぇ!


「アバレルナ、死ネ」

「ッ、つ、おい! ぐ、ぁ………ぐっ……」


 今度は反対側の肩の肉を……ま……マジかこいつ!?


「シネ」


 両肩が熱い。血が噴き出す。痛みが……かなり……


「こ、のヤロウ……」

「最後、次デ死ネ」

「ッ!?」


 やばい、噛みつきどころか、食われる経験なんて初めてだぞ。しかも、マンティスに……


 まずい、また噛みついて来やが……ブレイクスルー、いや、だめ。ソレはダメだって、


 いや、でも、そんなルール守っている場合じゃ……


 だから……ルールを破る?


 命と引き換えにするようなもんじゃねえ。


 そうだ、今はそんなことを律儀に守っている場合じゃねえ。


 きっと、許してもらえるさ……



「……ちっ……くそが……」



 なのに、どうしてだろうな?


 どうして、こんなときに……いたぶられているブロを思い出す?


 俺は不良じゃねーけど……なんか……法律とかそういう、他人が勝手に決めたルールじゃなくて……自分も了承して決めたルールを破ると……なんか……


「シャアアアアア!!」


 負けた気になる。

 ああ、負けたくねえな。

 不良に……ブロに……そして……『俺ならできる』と言ってくれた、あいつにもガッカリされたくねえ。


 ああ、そう思ったとき、目の前で大顎開いて噛み付いてこようとするマンティスの牙がスローモーションに見えた。


 これは、死の間際の走馬灯に入る寸前か何か? いや、違う。なんか、不思議と恐怖はない。



「ハ――――」



 ん? 今度は誰かの声? 誰の……ん? なんか、覆面した女がクナイを持ってこっちに走って……おい、お前……そんな所でなにを……


「―――ニー!」


 何言って「ハニー?」、誰がハニーだ! つか、どうしてこんな所に、いや、何をやろうと……俺を助けようと?

 

「ちっ」


 思わず舌打ちが出る。なんてこった。喧嘩のつもりで意気揚々戦いを挑んだ俺は、女が慌てて助けようとするぐらいピンチだと?

 ざけんな。舐めんな。

 死ぬかよ。

 負けるかよ。

 一度決めたルールも、俺だって破らねえよ!


「っけんな!!」


 大体見てみろ。完全にホールドされているように見えて、結構隙があって自由が利く。

 人間同士の関節技と違う。

 そりゃそうだ。元々、マンティスの体は対人間を想定しているわけじゃねえ。

 ホールドを引き剥がせないが、両手は伸ばせる。

 なら、拳を打つ。どこ? 腹? 顔面? 目玉? 口? いや、もっと……


「そうらああああ!」

「ヘブッ!?」


 マンティスが顔を突き出して今、正に俺の頭部を噛み砕こうとした瞬間、頭部と胸の境目にショートアッパーを食らわせてやった。


『ほう。眼の付け所は悪くないぞ、童。マンティス……というより、カマキリは頭部を広角に動かせる特徴がある。だが、それゆえに、頭部と胸の境目は柔らかくできているからな』


 口開けてる相手にカウンターだ。

 いくら、構造が普通の人間とは違うとはいえ……


「ガッ、カッ……ガキ……」

「へへ……」


 予想以上に効いたようだ。マンティスは俺の拘束を解いて逃げるように後退して距離を取った。

 そして俺は……


「はあ、はあ……おい、誰だろうと……手ぇ出すんじゃねーぞ?」


 俺がそう言った瞬間、クナイを投げる体勢で、あいつが……シノブが固まっていた。


「は、ハニー……」

「心配かけちまったみてーだが……俺も……一度納得して決めたルールは貫いておきたいんだよ。俺は不良じゃねーし、不良になる気もねーが……不良に負けたくもないんでな」


 そうだ。ブロがそうやって生きている以上、なんか俺も負けたくなかった。

 だから、俺もそれを通す。

 それに……


「なんか、今……結構調子がいいんだ。だから……安心して見ててくれねーか?」

「ハニー……ま、まぶしい……あっ、素敵……」


 そう、さっき不思議な感覚に陥った。

 なんか、死の間際のギリギリに、世界がすべてスローモーションみたいに見えた。

 するとどうだろう?


「……さあ、続きだ、マンティス。来いよ、第二ラウンドだ! それともビビッたか、ゴラぁ!」


 なんか、恐怖も緊張もなくなり、むしろ高揚して早く戦いたくなった。

 そんな調子に乗っている俺に……


『ふ、ふふふふ……こうも単純で師匠の思い通りになると、なかなかカワイイものだな……童……『入った』な』


 まるで、思い通りと言わんばかりに機嫌よくトレイナが笑っていた。


「ガキ……ナマイキ!」


 一度俺から距離を取ったマンティスも、俺の挑発に乗って攻めてくる。

 だが……


「ハイイイイ! ハイハイハイハイ、ハイイイイイイイ!!」


 突きと斬撃を合わせた乱れ打ち。様々な角度から、繰り出されるが……


「へっ、トリッキーな動きにさえ惑わされなければ……リヴァルよりスピードは遅ぇ」

「ッ!?」

「パワーは、アカさんに遠く及ばねえ」


 頭の中がスーッとしてイメージの通りに物事が進んでいく。

 さっきまで俺を翻弄した高速でトリッキーで未知な攻撃も、俺は二手、三手先まで読める。

 そして、体もまた俺のイメージの通り動き、さらにキレが出てくる。

 なんだろう、この感じ。

 ブレイクスルーとは少し違うけど、今なら何でも思い通りな気がする。

 もう、当たる気はしなかった。


「何をやっている、トウロウ、スケヴァーン! 今は復讐よりも逃げる方が先! 早く出るぞ!」


 だが、そんなとき、無粋な声が聞こえた。

 それは、こいつらと一緒に拘束から解かれたサイクロプスの……なんだっけ?


「気を失ってろ、小僧! これは我らの正当防――――ぺっ」

「邪魔」


 そんなサイクロプスが俺を排除しようと不意打ちで後ろから攻撃しようとしてきたが、もう俺にはその動きが丸わかりだった。

 気づいたら振り向きざまにジャブを放って、筋肉隆々のサイクロプスの顎を打ち抜いて、その場で膝から崩れた。


「……な……え?」

「ボウエイッ!? ガキ……急ニ動キ……ナゼ?」


 崩れ落ちたサイクロプスは全身をプルプル痙攣させ、うまく体を動かせないようですぐに立ち上がれない。

 そして、俺を見上げながら戸惑った目をしている。

 そんな二人に、高揚した俺は言ってやった。


「で、逃げるか? せっかく自由になったんだし」

「ッ!?」


 すると、俺の発言にマンティスがプルプル震えだした。


「ウルサイ……ニンゲン……ニンゲンハ……ミンナ……シネ」

「……あ?」

「ニンゲン……ユルサナイ」


 怒り? いや、これは……憎しみ? 恨み?

 あ、まずいぞ。こいつ、ひょっとしたら、身の上話でもするんじゃねーだろうな?


「オレ……地上デ子供ノ時……捕マル……卑怯ナ罠デ……捕マル……金持チニ買ワレル……遊バレル……イジメラレル……」


 ほらああ! ほらああ! ほらなあああ!


「逃ゲタ。デモマタ捕マル。大人数デ囲マレル。牢屋入ル。マタイジメラレル。オレナニモシテナイ。ナノニナノニナノニイ! ダカラ、人間コロス!」


 最初は獰猛で、しかし次はクールな殺法家で、そして次はコレ……なんつーか……感情豊かなマンティスだな。

 とはいえ……


「けっ、そんなこと――――――」


 そんなこと俺に言われたって、俺には何の関係もないし、知ったことか……と言おうとするも、その言葉が出てこなかった。

 だって……なんか、余計な話を聞いちまったおかげで……思い出したから……あの言葉を。



――アースぐんは……ちいせえけど……やっぱり……でっがくて、すげーな……



 あの時言われた言葉を汚しちまうことになるからな。

 

「……へっ……なんてな。大丈夫だ。言わねーよ……アカさん」


 それじゃあ、アカさんに会わせる顔がねえからな。

 だから、突き放すような言葉は飲み込んだ。

 


「俺に……あんたの過去を謝ることはできねーよ……そして、俺も帝都生まれの帝都育ちとはいえ……それでも、今の帝国を作った大人たちをどうこうできる力も俺にはねえ……でも……せめて……」

 

「……ガキ?」


 

 血に塗れた服だし、いいか。脱いでも。

 俺は上のシャツを脱ぎ捨て、さらにズボンのポケットの中を引っ張って、何も入っていないことを見せる。



「せめて俺は……罠も武器も魔法も、ましてや誰かの加勢もなしに、戦ってやる。あんたの憂さ晴らしの大暴れを、正々堂々と力でぶつかってやるよ、マンティス!」



 そして、その時になってようやく気付いた。


 ああ……そうか……だから、あいつは……ブロは……こうやって体を張って……あの時のアカさんに対してやった俺と同じことを……


 このマンティスだけじゃねえ。ダークエルフだって、こいつと同じように人間を……帝国を……だから、きっと、このサイクロプスも……そしてゴブリン……ン? ゴブリンどこ行った?


「……マンティス……違ウ。種族ノ名前」

「ん?」

「俺……トウロウ……名前、ソレ」


 と、その時だった。なんと、マンティスが自分の名を俺に向けて言った。

 種族の名前ではない、自分の名前を言えと言っているかのように。

 だから、俺も礼儀として……


「アース。それが俺の名前だ」

「……覚エタ」


 俺もまた自分の名前を言った。そして、互いに再び構えて……


「さぁ。今度こそ、ファイナルラウンドのゴングだ。いくぜ、トウロウ!」

「コイ、アース」


 互いをぶつけ合うことに付き合った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る