未知故の希望
ネットに書いてある通りなら、探偵は金さえ出せば誰でも探してくれるらしい。浮気相手に迷子、はては犬猫まで。
それに、警察には出来ないような無茶な捜査もしてくれるみたい。問題は、この辺りに探偵事務所があるかどうか。
スマホで調べてみると、近くに一つだけあった。しかも、歩いて訪れる事が出来るぐらい近くに。
おまけに、その探偵事務所は相談するだけなら無料。それなら早速、放課後に寄ってみるか。
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学校の近くにある三階建てのビル。その最上階に探偵事務所がある。
オッサンが古臭い事務所で依頼を受ける、そんな漫画やテレビで見るイメージとは全く違っていた。
受付の人や仕事をしている人、僕の相談を受けてくれる人も含めて全員、キチンとした身なりの人だ。
おまけに爽やかな色で統一された事務所も綺麗に掃除されていて、かなり好感が持てる。
よかった、これなら安心して相談できそうだ。
もし、ここが想像したイメージ通りの事務所だったら、相談するのにも躊躇した筈だしね。
『さて、行方不明になった友人を探して欲しい。そういう相談をしに来たと受付の人から聞いたよ。
その内容、詳しく聞かせてくれないかな?』
僕は探偵事務所にいる受付の人に、相談室へ案内された。そこで相談を受けてもらう人は、話しやすそうな探偵さん。
聞く準備は万端と言わんばかりに、メモ帳を手に準備している。
なので、僕は友人が”希望の門”という教会に入り、そこで行方不明になった話をした。
『なるほどね。そういう話だったら、、、調査費用はタダで大丈夫かな』僕が話し終えた後に探偵さんが話した内容を、一瞬、理解できなかった。
調査費用は最低でも三十万。この探偵事務所の事を調べた時に、たしか、そう書いてあったはず。
「え!?いいんですか!?」『普通はダメだけどね。実はね、君の友人がいなくなった”希望の門”という教会は、前々から相談が多くなってたんだ。
そのおかげで依頼人から、調査費用を沢山貰ったという訳。あんまりにも貰い過ぎたから、宣伝代わりに一件ぐらいタダにしようと話になったんだ。
それに君はまだ学生だし、そんな大金は払いにくいだろ?今回はサービスしてあげるよ』
あんまりにも出来過ぎた話、探偵さんの言ってる事は僕にはそう思えた。
だけど、学校には相談できないし、警察は捜査に時間がかかり過ぎる筈。今すぐ動いてくれるのは探偵ぐらいしか思いつかない。
そんな相手が無料でいいと言っている。だから、たとえ出来過ぎた話でも、僕はその探偵に頼むという話に頼る事にした。
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