第2話 不思議な初経験

 翌朝、目を開くと何者かの素足が目の前に映り込んできた。

メイドだった。ちょうど寝返ったところ、柔らかな太ももがボクの唇にクリーンヒットし、汗が溢れてきた。そんな束の間、違和感に気付いたのか起き上がる。

その時だった、わずかな間、隠れていたものが出現し、ボクは目を奪われた。


「うわっ、唾液ついてる」


「うぅわ、ごめんなさい」


 しばらく目を合わせたり、逸らしたりと沈黙が続く。能岐がやっとの思いで声を振り絞る


「仕事のお手伝いさせて下さい」


「なら、一緒にしよっか」


「はい、小雨堂さんお願いします」


 ボクと小雨堂先輩はシーツの取り替えやゴミ捨て、清掃を済ませて休憩に入る。

 休憩時にコーヒーを頂き、つい弱音を吐いた。


「思ってたよりキツかった」


「これも立派な仕事だよ」


「仕事の大変さが身に染みます」


「仕事経験は初めて? 」


「初めてです」


「そうか、これから色んな経験していこ」


「そうですね」


「かつてあなたと同じことしてた」


「えぇ、そうなんですか」


「でも、出会ってから価値が変わったんだ」


「へぇ、ボクも変わりたいなぁ」


「変われるよ、この場所なら」


 小雨堂先輩はコーヒーを飲み干し、その場を後にした

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