現在

第3話 メイド喫茶にて

 ある日、週末の昼下がりにふとメイド喫茶へ足を運ぶ。すると、偶然にも小雨堂とばったり会う。


「よぉ、久しぶり」


「こんなところで会うとは思わなかったよ」


「そうだな、ふらっと寄ってみたくなったんだ」


 久しぶりの再開に会話も弾む二人。相変わらずお洒落に着こなしたスカートにパッと目を引き寄せた。

 小雨堂はホテルを創業してから能岐の面倒を見ていた。近況を聞くと、今では立派な料亭のスペシャリストに。あの頃の能岐から変わったんだと感じた。

 なんと言っても、学生時代に培った料理の知識と崖の中で過ごした小雨堂先輩の仕事姿を見て育ち、成長できたことで後輩の能岐は新しい価値を生み出したのだという。

 事前準備から一緒に付き添い、先輩を敬う気持ちを抱きつつ、常に目を光らせて作業をてきぱきと取り組んでいた。

 そして、ホテルを去る間際、きちんと小雨堂先輩の元へ挨拶にやって来た。


「お手伝いからさせて頂き、ここまで成長できたのも居場所をくれた仲間が居たからです、ありがとうございました」


 小雨堂先輩は思わず感涙し、目を合わせることができなかった。

 そして現在、能岐の今があるのはさかのぼること三年前のことだ。

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