第4話 お父様

重い瞼をゆっくりと、こじ開けてみると時計の長針は6を刺していた。

「!!!やば!」

仕事行かないと!

早く行かないとあの仕事量は終わらない!

ベットから飛び降りてスーツを…


…あ、間違えた。

もう、私は凜は死んだんだ…


さすがにエマの歳で6時は早起きだ。

どうしよう。


コンコンコン


え?エマもこんな早く起きているの?

早くない?はやすぎじゃない?!


「エマイヤ様。おはようございます。今日はお早いお寝覚めで」

…なんで起きたの知ってるの?!

エスパーかぁ!!


「…失礼します。」

「うぇ?」

えぇーーー?!

気がつくとメイドさんの腕の中に入り、メイドさんは廊下を走っていた。


…なにこれ?

新種のいじめかなんか?


「旦那様」

ん?

立ち止まって、息を切らさずに

お父様を呼んだ。

…メイドさん、結構走ったよね?

しかも私を持ちながら…


「どうしたマリヤ。」

おぉ、この凄メイドさんはマリヤさんって言うんだ…

ってか!

私(凜)はお父様と初対面!

お父様、若い!

ゲームの時より若い!


そしてハンサムです!

出来る大人って感じですね!!


「エマ?」

…は!つい観察をしまった!


「どうしたんだい?また体調が悪いのかな?」

…いや!体調悪かったらここに来ません!

「お父様に行ってらっしゃいを、してあげたかったんです。」

「………」

…えっとー、息してますかぁー?

生きてますかー??


「う、うん!旦那様。」

「っぷは!うちの娘可愛い、どうしよう、可愛いすぎる。誘拐されそうなくらい可愛い。

どうしよう、持っていきたい。」


…えっとー、なんかブツブツ言ってますが、大丈夫ですかー??

「いや、持っていく!」

「はい?」

おぉーい大丈夫ですか〜?

「エマ、一緒に行くか?」

…えっと、仕事へですか?

持っていくって私の事?

いや、私、2歳なんですが、、


いやいや、これは仲良くなるチャンスですね!

うん!家族からの暗殺を無くすためにも!


そうして、私はお父様の職場に乗り込んだー



…うん、何この量。

お父様の机の上には大量の書類が…

元社会人として、

これは一日で絶対に終わりません。

どんなに頑張っても終わらないレベルです。

「お父様、これ全部やるのですか?」

「あぁ、」

「終わるんですか?」

「終わらないから早く来て、夜が遅くなる。」

…はい。なるほど。

父が家にいない理由は、母との仲が悪いのではありません。


ブラックでした。

ブラックを通り越して、ベンタブラック。

黒よりもさらに黒い黒で、光さえも届かない黒色のベンタブラックですよ!!!


「なにか、手伝えますか?」

「…これをお願いできるか?」

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