第3話 情報とか、ステータスとか。

「で、お前は何やってたんだ?俺が恐怖心を抑え込んでバケモンと戦っているときに。」


俺は白崎を見下していた。俺がゴブリンと戦い終わり、部屋に帰ってみると、白崎が笑い転げていやがった。今はそれについての審議タイムだ。


「ほ、ほら。よく言うじゃん緊急事態に一番大切なのは情報だって。だからさ、そ、そう。情報を集めてたんだよ。」


「ほぉう?サ〇ドイッチマンのコントを見てか?」


「うぐっ、しょうがないだろっ!面白いんだから!それに、一個面白そうな情報は見つけたからな。」


「こいつ開き直りやがった…。で、面白い情報ってのは?」


「〇イッタ―見てたら出てきたんだがな?ステータスボードってのがこの世界にもあるんだとよ。出ろ、出ろって念じながらステータスって言うと出てくるらしい。」


ふむ。あの頭に響く声のことを考えるとあり得ない話でもない。


「ほう?まぁ、こんな世界だし有っても可笑しくはないのか?で、らしい、ってお前は試してないのか?」


「試してないぞ!一人で試して、ガセネタだった時の恥ずかしさやばいだろ。それに、いつお前入ってくるかわからんしな!」


「つまり、俺を生贄にすると?そういう解釈でよろしいか?」


「いや、さすがに俺も一緒にする。この情報を持ってきたのはあくまで俺だしな。」


「じゃあ、二人同時に行くか。行くぞ、せーの」


「「ステータス。」」


二人で声をそろえて言う。すると、半透明の板が目の前に現れた。


「出たな。これがステータスボードか?」


その半透明の板には、俺のステータスだと思われるものが書き記されていた。



名前:黒野武 種族:人

Lv:10 次のレベルまでの必要験値:4

SP:100

HP500/500 MP50/50

STR:70

DEF:50

INT:50

RES:50

DEX:40

AGI:80

LUC:50


【スキル】

剣術(IV) 家事(V)


【ユニークスキル】

成長限界突破 必要経験値超減少 獲得経験値超上昇 スキル強奪 

遞ョ譌城?イ蛹門宛髯占ァ」髯(ロック中)


【称号】

先駆者 挑戦者 先駆け


「ふむ、大体はRPGみたいなもんだな。ただ、SPってのはなんなんだ?」


そうつぶやくと、返ってきたのは白崎の言葉ではなく、いつもの頭に響いてくる声だった。


『SPの使用で、スキルの獲得が可能です。獲得可能なスキルを表示します。』


ほう、スキル獲得とな?つまるところ、S(スキル)P(ポイント)という事か。そんなことを思いながら、開いたスキル一覧にざっと目を通す。


特に目についたのは、下の三つ。

一つ目が、鑑定。テンプレ中のテンプレだが、情報は命だ。確実に便利だと思う。消費するSPも、殆どのスキルと同じ10。これは取るべきだと感じる。

二つ目は、ナビゲーター。こちらはユニークスキル扱いらしく、獲得に必要なSPは50と多め。ただ、こちらは自分の気になる情報について答えてくれるスキルらしく、確実に有用。ほしい。

三つ目が、回復魔術。この化け物がはびこる世界において、健康で、常に万全の状態でいることはかなり大切になってくると思われる。こちらも必要SPは10。獲得しておくに越したことは無いように感じられる。


という事で、とりあえずその三つを獲得した。


『スキル[鑑定]を獲得しました。』

『スキル[ナビゲーター]を獲得しました。』

『スキル[回復魔法]を獲得しました。』


「どんな感じだった?てかこれって他の人に見せれるのか?」


白崎が聞いてきた。


「分からん。ので、スキルに聞いてみよう。実験も兼ねてな。」


〈ナビゲーター、ステータスってのはほかのヤツに見せられるのか?〉

〈見せられますよ。ステータスオープンと唱えることで、ほかの人物への開示状態になります。〉


頭の中に、レベルアップや、スキル獲得の時とは違った声が響く。喋り方が人間に近く、女性っぽい声だ。


〈ちなみに私はあなたの脳内の声はいつも聞こえますし、いつでも話しかけられますからね!〉


やけに人間味のあるスキルだな。面倒なの引いたかもしれん。


〈あー、めんどいって言いましたね!私かなり役立ちますよ!しかも、ユニークスキルなので、世界で一人しか獲得できません!〉


まあいい。


「白崎、見せれるらしいぞ。ステータスオープン。ほら。」


唱えた瞬間に実体化したので、白崎のほうに向ける。


「お前すでにレベル10かよ。しかも何だこのスキルの量!レアそうなユニークスキル6個も持ってるし。」


「別にいいだろ、お前のステータスは?」


「ステータスオープン、ほら、こんな感じだ。」



名前:白崎隼人 種族:人

Lv:1 次のレベルまでの必要験値:2

SP:10

HP50/50 MP5/5

STR:5

DEF:5

INT:5

RES:5

DEX:10

AGI:6

LUC:72


【スキル】

 家事(III) 工作(V)


ふむ、工作ってスキルはなんだろう?


〈そのままですね、物を作るためのスキルです。何か作るときのみ、DEXにバフがかかるスキルですね。〉


ほう、こいつには生産職を極めてもらった方が良いのかもな。


〈そうですね、私もそれをお勧めします。とりあえず、彼には鍛冶か、錬金術のスキルを獲得してもらうのがよろしいかと。〉


ほう、そのこころは?


〈この世界にはかなりたくさんのモンスター、あなたが化け物と呼んでいる存在がいます。それも、あなたが倒したゴブリンとはけた違いの強さを持つものが。〉


それで?


〈そいつ等への対策として、何かしらの強力な武器を確保するべきです。鍛冶なら、素材から剣などの武器を作れます。錬金術なら、今使っている武器に対して、強化を行ったり、付与エンチャントを行えます。〉


ふむ。この後一度実家に帰って、武器の確保を行うつもりだし、とりあえずは錬金術取ってもらおうか。


「白崎、さっそくで悪いが、お前に錬金術のスキルを取ってもらいたいんだが、いいか?」


「錬金術か、生産だな!任せろ。MMOで生産ばっかしてたからな!腕が鳴るぜ!」


「頼んだぞ。あと、この後実家に向かうんだが、ついてきてくれないか?」


「なんでこんなタイミングで?」


「言ってなかったな、俺の家は剣道の道場で、俺もそこの門下生だ。で、そこに俺所有の真剣がある。竹刀でバケモンの相手するより効率的だろうから、それの回収がメインの目標。あとは家族の生存確認だな。」


まぁ、家族に関していえば十中八九生きてるだろう。親父は俺より強いし、お袋も戦える。妹なんかは剣道全国レベルの実力者だ。


「了解、ついてくよ。一人でいるのは怖いからな。てか、どうやって行くんだ?」


「よろしくな。ちなみに、車で行くぞ。あと、そのあとは、会社でも行ってみるか。いるのは知り合いばっかだろうしな。」


「いいね、ぶっ壊されてるのを見るのも一興だし、誰かいたら救出したい。」


「救出は俺の仕事だろうが…。まあいい、これから忙しくなるぞ。」


〈そういえばマスター、進化ってご存じですか?〉


進化?なんだそれ。このタイミングで聞くんだから普通のとは違うんだろ?


〈はい。レベルが一定水準を超えると進化して一気にステータスが伸びます。しかもマスターは遞ョ譌城?イ蛹門宛髯占ァ」髯を持ってますので…あ、ロックがかかってる。とりあえずはこれのロック解除も必要だなぁ。〉


なんだって?


〈いや、マスターがこれからすべきことを考えていたんですよ。まぁ、とりあえずはレベルを上げて、進化を目指してください。〉


おう、わかった。


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