第一章 世界改変

第1話 大厄災

次の日、俺はインターホンの音によってたたき起こされた。悲しきブラック企業戦士の俺は、少し大き目な音が鳴るだけで目を覚ます体になった。休日の早朝に、出勤しろという命令を下す電話がしょっちゅうかかってくるからだ。


二日酔いで痛む頭を押さえながら、玄関の戸を開けると、そこに立っていたのはいたって普通の配達員のお兄さん。


「こちら、黒野武さんのお宅でよろしかったでしょうか?」


「はい、俺が黒野武ですけど…。」


「こちら、荷物です。ここにサインをお願いします。」


荷物なんて、注文した覚えがない…とか思いながらも、とりあえずサインをする。


「ありがとうございましたー。」


配達員のお兄さんが元気に挨拶をして去っていく。その間も、この荷物は何なのだろうかと頭を悩ませる。考えていても始まらないので、荷物を持って部屋の中に入る。


部屋に入って、さっそく荷物を開封。中に入っていたのは小さなボトルが1本。見た目はチ〇ビタやリポビタン〇のような栄養ドリンクのボトル。


「なんでこんなものが一本だけ?・・・・・・・あ、そういえば昨日酒飲みながらなんか注文した記憶が…。まぁ、どうせいつものと大して変わらんだろう。」


そう思いながらボトルを開け、一気に飲み干す。


『スキル[成長限界突破]を獲得しました。』

『スキル[必要経験値超減少]を獲得しました。』

『スキル[獲得経験値超上昇]を獲得しました。』

『スキル[スキル強奪]を獲得しました。』

『スキル[ 遞ョ譌城?イ蛹門宛髯占ァ」髯、]を獲得しました。』

『称号[先駆者]を獲得しました。』

『称号[挑戦者]を獲得しました。』

『この世界で初めてのスキルホルダーの誕生を確認。世界改変を開始します。』


急に頭の中に無機質な声が頭に響いた。女とも、男とも、子どもとも、老人とも取れないような、そんな声。いったい何が何だかわからないまま、戸惑っていると、急に眠気が襲ってきた。俺は絶えることができずに、またまた崩れるように眠った。




♢♢♢


目が覚めると、もう外は夕焼けに染まっていた。外からはサイレンや、叫び声などが聞こえる。

何が起きているのか全く分からないので、とりあえず情報を集めるため、スマホでツイ〇タ―を開く。トレンドには、「世界崩壊」の文字。世界中で摩訶不思議な事態が発生しているらしい。

スクロールしていくと、眼に入ったのはある一本の動画。中に映るのは一人?一匹?の醜悪な緑の化け物。人型の姿を取り、耳は長い。例えば、ゲームに出てくる


小鬼ゴブリン?」


そう考えてしまうような姿だった。外を見ると、人々が逃げまどっていたり、煙が上がっていたりする。道はひび割れ、車はまともに通れなさそうだ。


「大厄災」、そんな言葉がふさわしい、地獄のような、世界改変の第一歩だった。


しばらくあたりを見渡していると、黒い物体が高速で駆け抜け、人を襲っている。よく目を凝らすと、それは犬のような姿をしていた。その犬は、襲った人間の首筋にかみつき、離さない。


「ッ…。」


襲われた人間は必死に抵抗していたが、いつしか、その腕はだらんと垂れ下がってしまった。


その時、近くで大きな物音がした。


近くに何か来たのだろうか、俺も襲われるのだろうか。そんなことが頭をよぎる。

そんな時思い出すのは、親父の言葉。


「何もしないであきらめるな!少しでもあらがって見せろ!」


そんなことを言われたんだったか。その言葉を思い出した俺は頬を叩き、気持ちを奮い立たせる。一人暮らしだからという事で、防犯用に持ってきた竹刀を構える。父親にシゴかれまくった経験がここで生きてくるとは。


勇気を出し、玄関から外に出る。


すると、そこにいたのは同期の白崎隼人だった。




_____________________________________________________


新連載です。

面白かったら、ぜひもう一つの方の作品も読んでくれると嬉しいです。

そっちは異世界ファンタジーモノです。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054910795920

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る