第10話極上のエキス
信長は森お
形の良い唇に吸い付いたが、その様子は
まるで執念深いすっぽんがかみついているかのようであった。
お乱は助けを求めるように二人の弟たちの方を見たが、
坊丸と力丸はそれぞれ、
「あらまあ、相変わらずお熱いですね」
「お幸せに」
というつぶやきをのこして出ていってしまった。
お乱は主君の腕の中でもがきながら、
「上様、離してください!
この船は沈みかけているっていうのに
いやらしいことをしている場合じゃないでしょう!」
と抗議した。信長は愛する小姓が泣きそうに
なっているのをニヤニヤして見つめながら、
「いやらしいだと? わしはただ、
おまえと相撲を取ってみたくなっただけだよ。
どうせ死ぬのが決定済みなら好きなことを
ヤリまくったあげくに死ぬ方がいいからのう!」
と歌うように言いながらジタバタと暴れている
お乱の体をおさえつけると、服をはぎ取った。
あらわになった自分の乳房が異様に
大きくなっていることにようやく気づいたお乱は
「わっ! おれの胸、いつの間にかでかくなってる!」
と驚きの声をあげたが、主君に耳の後ろやうなじに
吸い付かれるとさっきよりもっと大きな声で悲鳴をあげた。
「なんだ、今頃気づいたのか? おまえが気絶している間に
あのにくらしい奴隷商人の野郎がおまえの体に
変な薬をかけやがったときは生きた心地がしなかったぞ。
わしに毎晩抱かれていなかったら、おまえは
女にされたあげく
売り飛ばされるところだったのだから感謝しろよ!」
などとえらそうな調子で言い放った後で
信長はお乱の乳首に強い力で吸い付いた。
見目麗しい小姓は色白のほおを紅潮させながら
「何するんですか!? お乳なんて出ませんよ! 大体、
お相撲取るとき、こんなことしないでしょう!?」
と叫んだが、
「おっぱい! おっぱい! おいちいおっぱい!」
と幼児語でつぶやく主君の声を聞いてがくぜんとした。
「実のお母さまに嫌われていたせいで母性愛に飢えて
おられるのだな。お好きなようにさせてあげよう」
と決心しかけたものの、乳飲み子だった頃の信長が
乳母の乳首をかみ切ったという恐ろしい逸話を
思い出してお乱は身震いした。あわれな小姓が
「上様、そんなに強く歯を立てないでくださいまし。
なめてもしょっぱい汗の味しかしないでしょう?」
と恐る恐る懇願する様子をニヤニヤしながら
見ていた信長は
「じゃあ、こっちにするかな」
というや否や、下腹部に激しく吸い付いた。
「いやあああ! 離してえ!」
というお乱の絶叫を聞きつけた
駆けつけてきたが、坊丸と力丸に通せんぼされてしまった。
「ちくしょう! なかなか戻ってこないと思ったら、
汚いオヤジと乳繰り合っていやがった!」
と地団太踏んでくやしがった作兵衛だったが、
立っていることもできないほど船が激しく揺れ始めたので
「こうなったら、船ごと嵐の外に転移させてやる!」
と叫ぶと天井まで飛び上がった。
次の瞬間、お乱たちを乗せた船は遠く離れた穏やかな海の上を
何事もなかったかのように進んでいた。
「あそこに島があるぞ。水や食べ物を調達しに行こう」
と少年たちははしゃいだ声をあげたが、
力を使いすぎた作兵衛はその場に昏倒してしまったのだった。
そんな状況の変化にもおかまいなく、むさぼるように
股間にしゃぶりついてそこからあふれ出る液体を
ごくごくと飲み干している主君の
うれしそうな顔を見つめながら、
「ここをかみ切られたら困るから後で辛子でも
塗っておこう」
などとお乱は決意したのだった。
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