部屋②

「―――マジかよ...」

突然の野原の死に動揺を隠せない探索者達。

「――――ウッ...」

友人の死体を目の当たりにし、嘔吐する者もいる。


「なんで野原が...」

植村が絶句する。

元々野原はバイトで来れなかったはずだ。

なのに何故ここに、しかもこんな状態でいるのかが理解できなかった。


「いや、俺のスマホにメッセージが来てる」

永石が自分のスマホに通知が来ていることに気が付いた。

今までは自分たちの事で精いっぱいだったが、どうやら一時間前に野原からメッセージが来ていたようだ。


「えぇと、「俺のスマホを見てくれ。今までありがとうな...」と。あいつ、普段はそんな事言わない奴なのに...」

野原の遺言に思わず泣きだしそうになる探索者達だったが、それよりもスマホを確認する方が彼にとって一番の対応だと考えた。


「あったぞ、あいつのスマホ。」

死体を物色していたりおがスマホを見つける。


スマホにはこう書かれていた。



《《「あいつ」からは絶対に逃げられない。

いいか、嫌な気配がしたら全力で逃げるんだ。

お前らならきっとなんとかできるって信じてるぞ。

あと「縺ー縺代b縺ョ」には気をつけろ。

あれは人間がどうにかできる代物じゃない。

じゃあ、俺は先に行ってるからな。妹を頼んだ。》》



「これは...」

何かの手がかりと見られるメモを凝視しながら読み進める探索者達。


「嫌な気配がしたら全力で...か。これはさっきの俺が感じた物と似ているな。」

植村が先程起こったことを振り返りながら読む。


「ここ、文字がバグってないか?」

アキラが「縺ー縺代b縺ョ」と書かれた場所を指す。


「これは...文字化けしているけど何故...」

石山がこの文字化けに疑問を抱いている。

「石山、どうしたんだ?」

「いや、ただメモをしてただけなら普通文字化けなんて起こらないはずなんだが...」

「そういうものなのか?」

「この状況で今更そんな事考えても無駄かもしれないけどな」

そんな事を植村と話している。


「「妹を頼んだ。」...か。あいつ妹を死ぬほど大事にしてたもんな」

野原は普段の振舞いからは想像できないほど妹想いなのだ。


「こんな状況でまず俺らも助かるかすら危ういけどな」


すると、さっきまで驚くほど大人しかった松本が口を開けた。

「な、なぁ...これを見てほしいんだけど...」


そう言って松本がポケットから出したのは、先程見つけた「もの」だった。

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