部屋③

松本が取り出したのはボロボロの紙切れだった。

B5サイズより一回り小さく、かすかに日焼けしていて、

そこに文字が書いてあった。


「え、それはなんだ?」

「さっき入口に貼ってあったんだ。」

「そうなのか。で、何が書いてあったんだ?」

「いや、それが...」

と言って松本はその紙切れを皆が見えるように置いた。


「これは...」


110101100100001 11000001101111 11000001001010 101001001001101 11000001100000


紙切れには1と0がまばらに書いてあった。


「あれ、これって...」

「アキラ、何か知ってるのか?」

何か知ってるような口ぶりのアキラに尋ねる永石。


「これ、二進数の暗号でしょ」

「確かに0と1しか並んでないもんな。そう考えるのが妥当だよね」

アキラは暗号ものに詳しいようだ。


「でもこれどうやって解読するの?」

「あぁ、スマホが使えるからツールを使うのが確実だよね」

と言い、アキラはスマホを取り出し、慣れた手つきで暗号の解読を始めた。


「じゃあアキラが解読している間、他に何かないか探そうぜ」

りおがそう提案した。

「たしかにそれが効率的だよな」




「でも意外と何もないものなんだな」

「出てくるのは読めない文字の本、空き瓶、ナイフとかだな。」

「ナイフは使えるかもな」

それぞれが手当たり次第探しているが、見つかるのはどれも同じようなもので、重要な手がかりになるような物が見当たらない。


そろそろ5分経つ頃か、アキラの解読も終わりそうな感じだ。

「おい、アキラ。そろそろ――――」

そう永石が聞こうとした時、


アキラがスマホを地面に落としてしまった。

スマホは宙で2回転し、ことんとおとを鳴らして床にぶつかった。


「おいアキラどうし―――」

石山が心配するが、アキラの顔はまるで死者のように真っ青になっていた。

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