おまけ(野原編)
本当は悔しくて仕方がなかった。
あいつらと遊べる最後の機会だってのになんでバイトなんか入れちゃったんだろう?
いや、でも後悔はしてない。
俺は中学の頃に親を失って、一人で妹を支えなければいけなくなった。
死ぬ気でバイトをしながらより良い偏差値の大学へ、そして良い会社へ就職するために必死になりながら毎日を過ごしてきた。
そして何よりあいつらと過ごす時間が何よりの癒しで、あの時だけは辛いことも忘れられた。
だから卒業して離れるのは悲しかったけど最後だけは思いっきり楽しもうと思ったのに。
どうやら俺は表情を隠すのが苦手なようで、バイト先の店長に勘付かれしまった。
あいつらに電話をかけたのは間違いだったよ。楽しそうな声が聞こえるんだから。
店長は優しかった、こんな俺に同情してバイトを休ませてくれた。
折角だから驚かせようと思ってあえてバイトを休んだっていう電話はしなかった。
だが、暗い森を駆け抜けてお前らの点けた焚火が目に入って声を掛けようとした瞬間、急に視界が歪んだ。
三半規管がまともに仕事をせず、死ぬほど眠い。
そして意識が途切れた。
それから目が覚めてから、俺はひたすらに逃げ回った。
何故かは分からない。何かに追いかけられてる気がしたからだ。それも殺意に溢れた気配だったから、訳も分からず、目に入った屋敷に飛び込んだ。
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