入口②

「クソっ!これマジで開かねぇぞ!」

力自慢のりおが開かない扉に突進するがびくともしない。

「まるで、ホラーゲームみたいな展開だな...」

ふと、石山が呟いた。


「確かに、こんな森の奥の屋敷に入って帰れなくなるってよくある展開だもんな...」

「でもそんなの現実的に考えてあり得ないだろ」

「でも実際に植村が凄い怪我してるじゃん」

「一先ず、ここからは出られないんだから別の出口を探すしかないよな」

「よし、じゃあ進むか」


と、そんな事を話していると松本が何か不思議なものをを見つけたようだった。

「これは...」


「おい松本~置いていくぞ」

と、アキラに呼ばれたので「それ」をポケットにしまって後を追いかけた。




「でも出口を探すって言ったって、どこにあるんだよ」

りおが不思議そうに尋ねた。

「確かに、こんな無駄に広い屋敷適当に探しても絶対見つからないよな」

と、周りに目をやる。

いくつもの死体のようなものが転がっていて、普通なら冷静を失ってもおかしくない状況だがそれに慣れてしまった自分が怖いなと永石は思った。


「てか、なんでこんなに死体があるんだ?」

松本が皆の疑問を代弁するように言った。


いや、正確には「言えなかった」のだ。

「それ」を聞いたらいけない様な気がしたからだ。

言ったら最後何者かに呪い殺される、そんな予感だ。

だが、松本は非現実を信じない人間だったため、躊躇うことなく口にしてしまったのだ。


「ほ、ほら部屋があったぞ」

永石が遮るように目の前に現れた部屋の扉の取っ手に手を乗せる。


―――ふと外に目をやると、一等星が不気味に輝いていた。

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