森①
「なぁ!折角だし探索がてら肝試しでもしね?ww」
突然松本が変わった提案をしてきた。
「なんで打ち上げに来たのに肝試ししなきゃいけないの!」
そう怒鳴ってるのはみかだ。
彼女は怖いものが大の苦手なので嫌がるのも当然だ。
だが彼女の言う通り打ち上げに来たのだから肝試しは違うと皆が思った。
しかし、それをよしとしなかった松本が突然、植村の背中を押して、森の中へと突き飛ばした。
「お前何やってんだよ!」
「それは流石にねぇわ」
「やりませんねぇ...」
罵声を浴びせられる松本。
だが、松本が反論する前に事は起きた。
――――森の奥から植村の悲鳴が聞こえてきたのだ。
「ちょっとこれ流石にやばくね?」
「あの叫び方はガチのやつだよな」
「あいつならいつもはギャァァって感じだよね(適当)」
最初はいつも通りの植村かと思ったがどうやら様子がおかしく、何かに襲われたようだった。
「え、まじですまん」 謝る松本。
「そんなんいいから早く追いかけるぞ!」
真っ先に森に突っ込んでいったのはりおだった。
彼は超が付くほどのアホで空気が読めないが、実は仲間想いの人間なのだ。
「流石に放おっておけないよな」
「植村~!貸し1だからな!」
彼らは一見人助けとは無縁の性格をしているように見えた松本にとって、彼らのその躊躇いの無い行動にさっきまでの行動を深く反省した。
――――どれくらい走っただろうか、そんな事考える余裕は彼らには無かった。
森が整い過ぎているのだ。
この辺りは基本的に無人で人はおろか、動物でさえいないはずなのに。
お陰と言ってはいけないが、立ち止まらずに進むことができるのは皮肉なものだ。
そして月明りがわずかに入る、薄気味悪い開けた場所に来るのはそうかからなかった。
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