第5話折り紙ヒロインのエロ
「これはだな、俺が開発したアプリでな。昔のゲームの魔王と言う設定で会話できるようになっているんだ、アケミ」
「なによ、タケシ君。そんなものを作っていたの? 一つの物事に没頭できる天才のあなたらしいわね。でもいい、タケシ君。あなたは優秀な技術者に慣れてもそこどまりよ。わたしはそんな技術者を従えるリーダーになって見せるわ。タケシ君がスティーブ・ウォズニアックならわたしはスティーブ・ジョブズになってみせるんだから」
「ウォズニアック? ジョブズ? 誰じゃそいつは。我に説明せい。アケミとやら」
「なによ、魔王さん。あなたが動いているスマホを生み出した人間のことも知らないの? ダメダメなAIね。しょせんタケシ君の作ったAIなんてそんなものよ。いつまでもゲームなんてやってちゃいけませんよ」
「なんじゃ、魔王である我に向かってその言い草は。おい、タケシ。ひとつこのアケミとか言う小娘をぎゃふんと言わせてやれ」
「まったくだ。さすがにそこまで言われては俺も黙ってはいられない。ついでにフラット二次元なお前の偉そうな態度も気に食わないぞ、魔王。ひとついいことを思いついてしまった」
「な、何をする気なのじゃ。目が怖いぞタケシ。この魔王に何をする気なのじゃ」
「おい、アケミ。スマホを借りるぞ」
「なによ、タケシ君。いきなり……」
「ヨウコ、お前のスマホも借りるぞ」
「べ、別にいいけれど。何をするの、タケちゃん?」
フラット二次元の魔王を折りたたんで上半身だけにして、胴体と頭を俺のスマホ、左手をアケミのスマホ、右手をヨウコのスマホに張り付ける。アケミやヨウコには三台のスマホが連動して、魔王の上半身を映し出しているように見えるはずだ。
実際には三次元空間になぜか存在する二次元フラットの魔王を三台のスマホに張り付けてそう見せているだけなのだが。三台のスマホを ▭ ▯▭と机に配置してっと……
「え、これどうなってるのタケシ君。わたしのスマホに変なアプリ入れないでよ」
「そ、そうだよタケちゃん。幼なじみだからって、いきなりすぎるよ」
「アケミ、ヨウコ、心配するな。ちょっとお前らのスマホを使ってるだけだ。中身までは気にしない。で、魔王の左手が映ってるアケミのスマホをこうして動かすと……」
「や、やめるのじゃタケシ。我の左手をそのようにもてあそぶでない」
「どうだ、アケミ。スマホの位置センサーと連動させてAIの魔王がリアクションを示すようになっているのだ」
「あ、我の左手が意のままにならん。やめろ、タケシ。我の胸に左手を持って行くでない」
「すごい、いったいどうなってるの。これ、かなりの技術なんじゃないタケシ君」
「はっはっは。詳しくは企業秘密だから教えられないな、アケミ。技術だけ奪われてポイ捨てされてはたまらないからな。アップルからジョブズに追い出されたウォズニアックみたいにな」
「なによ、あれは大企業になってしまったアップルになじめなかったウォズニアックが自分から身を引いたのよ……そうじゃなくて、タケシ君の技術がここまでのものだったなんて」
「そして、ヨウコ。お前のスマホを動かすと、魔王の右手が連動して動かされるのだ」
「やめるのじゃ。タケシ。左手だけでなく右手までも……くっ、我の両手の指揮系統を奪われるとは、何たる屈辱」
「そうだろう、そうだろう。魔王であるお前が両腕を人間の俺になすがままにされるのだ。屈辱に身をよじるといい」
単なる思い付きで始めてみたが……これはなかなかすごい。俺のやっていることは二次元フラットの魔王を折りたたんだり伸ばしたりしているだけだが、その魔王が俺のなすがままになっている。
そのうえ、いつも俺に突っかかってくるアケミが三台のスマホを連動させていると俺に思わされてあっけに取られている。実に気分がいい。
「タケちゃん、いくらAIの魔王ちゃんでもやりすぎだと思うな。それに、ここ学校だよ。それにわたしのスマホでそんなことするなんて……」
まずい。ヨウコがやばくなった。昔からの付き合いだが、ヨウコは怒らせると怖いんだ。
「そ、そうだな。さすがに学校でやるには過激すぎたな、ヨウコ」
「タケちゃん。そのアプリもあたしのスマホから削除してよ。アケミちゃんのスマホからもね」
「も、もちろんだともヨウコ」
削除も何も、最初からそんなアプリはないのだが……ヨウコとアケミのスマホからアプリを削除するふりをして、俺は二次元フラットの魔王を折りたたんで俺のスマホだけに魔王の顔だけが映るようにする。
「か、感謝するぞ。ヨウコとやら」
「いいのよ魔王ちゃん。タケちゃんにエッチなことされたらわたしに言うんだよ。わたしがタケちゃん懲らしめてあげるからね」
「肝に銘じておくぞ、ヨウコ」
「タケちゃん。AIだからってやりすぎちゃあだめなんだからね。そんなことばっかりしてたら、人間が反乱を起こされちゃうよ」
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