第5粒「冷蔵庫」
これは、2年くらい前のことだ。
「なあ、要らねえなら
親友のアキラ(仮名)が1週間後に引っ越すということで、その準備の手伝いに来ていたときだった。
アキラが今使っている冷蔵庫を捨てて新しいのを買うと言うので、酒用の冷蔵庫が欲しかった俺は、思わずアキラに貰っていいか聞いていた。
「それは別に良いけど…お前、それ使うのか?何かあっても責任とれねえぞ?」
「なんだそりゃ?
アキラは何かを気にしているようだったが、その冷蔵庫は何の変鉄もない高さ90センチほどの
ただ、まだ引っ越し当日まで1週間あるのに扉には何枚もの養生テープが貼り付けられていた。
「お前、これ何でもうテープ付けてんだよ。まだ電源点いてるし、とりあえず使ってんだろ?」
「
「はあ!?お前それマジで言ってんのか!?大丈夫かお前?」
アキラが真顔でそんなことを言ったので、俺はアキラが少し心配になった。
しかし、アキラは俺の言葉など気にせずに真顔のまま話を続けた。
「それ付けとかねえと夜中にバタンバタンうるせえんだよ…」
その時のアキラの真剣な表情は、俺に嘘を言っているとは思えなかった。
しかし、幽霊や心霊現象など端から信じていなかった俺は、アキラの話を真に受けずにその冷蔵庫を貰うことにした。
そして、それから1週間後にアキラの引っ越しは無事に終わり、引っ越し当日からさらに4日が経った日の夜中のことだった。
バタン…
バタン…
バタン…
俺が家で寝ていると、冷蔵庫の扉が勝手に開閉していた。
アキラに貰った冷蔵庫は、貰ってきたその日にアキラの言った通りのことが起きたので、心霊現象などを信じていない俺もさすがに気味が悪くなってすぐに処分したのだが、どうやら俺は冷蔵庫だけでなく、その現象を貰ってしまったらしく、貰ってきた冷蔵庫とは違う俺が元々持っていた冷蔵庫の扉が開閉していた。
現在、俺が住んでいる部屋には冷蔵庫は1台もない。
それでも、夜中たまにその音が聞こえることがある。
バタン…
バタン…
バタン…
バタン…
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