第2章 転換

第07話 独占

 ここで誤解の無いように、私自身のことを説明しておきます。エリナに対してこんな感情を持っているからと言って、私は決してレズビアンではありません。

 今まで何人かの男性とお付き合いし、もちろん性的な経験もありますし、それなりに気持ち良さも感じています。

 むしろ性的には平均より気持ち良さを感じやすい方だと思います。もちろん他の女の子がどれだけ気持ち良さを感じているかなんて正確にはわからないので比較できませんが。

 ただ、そういった経験を教えあったり、雑誌の体験記などを読んだ感じでは、自分は平均より感じやすいのかな、なんて思ったりもしています。

 とにかく、私は異性に対して普通に恋愛感情や性的な欲求を持っていて、決して同性に対してそのような感情は今まで、そしてこれからも持つことは無いということです。


 エリナに対する感情は今まで経験したことのない感情でした。それは一言でいうなら、恋愛感情とは全く違う次元の、誰にも渡したくない、独り占めしたいという感情です。

 それはエリナと一緒にいても、楽しい時間を共有したいというだけで、決して性的な対象としてエリナを見ているわけではありません。正直言って自分でも整理が付かない感情です。

 この感情はいったいなんだろうか。しかも不思議なことに、エリナと一緒にいたいって思うことよりも、私以外の誰かと楽しくしている、親密な時間を共有しているっていうことに対する嫉妬の方が大きいんです。

 これは本当に自分でも良くわからない感情です。だってそうでしょう。一緒にいたいのに他の誰かといるから嫉妬ややきもちがわくというのならわかります。でもそうじゃないんです。極端な話、私と一緒にいてくれなくてもいいんです。他の誰かと一緒にいなければいいんです。

 あなたはこんな感情を、こんなわけのわからない嫉妬、悋気を抱いたことがありますか?

 これは結局同性だから、永久にふたりが一緒になることは不可能だから、ということが前提にあるから陥ってしまった迷宮のような感情なのでしょうか。


 私は自分がエリナに対する悋気で壊れていくのを自覚したのは、エリナと海デートした時でした。

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