反攻
「マン・アフター・アームヘッド」
反攻
「貴殿のジェットパックを貸して貰おう」ウンブリエルはそう言うと近くのアームヘッドの背中からジェットパックを剥ぎ取った。頭上には黒い宇宙船、そこから無数の宇宙野郎の黒いアームヘッド、ハッピースレイブが降り注ぐ。見渡す地平ではアームヘッド、シビルヘッド、ドラゴンがそれらと戦っている。
あの宇宙船にハッピースレイブの親玉がいる。散発的な攻撃を止め本隊による直接攻撃を始めた。アプルーエ諸国は押されつつあった。だが逆に言えばこれを落とせば侵略は止まる。「奴等は一つの意思で動いている。それを操る本体を倒せば機能不全に陥る」カエルスは言った。「ならば落とそう」
ジェットパックで飛ぶウンブリエルに向かってハッピースレイブが滑空しながら襲う!すれ違う!聖トマスの槍!ハッピースレイブはかわせず貫かれる!そして槍ごと墜落する!コレクションをまたも喪ったウンブリエルは歯噛みしながら別の武器を取り出す。聖カナタの鎌だ!これならば巻き込まれまい。
鎌を構えるウンブリエルに対し自由飛行で迫るアームヘッド存在!スケルトンライアーの一角!裂ける大空だ!緑色のスケルトンライアーはその刃の翼を持ってウンブリエルに迫る!「面白くなってきたな」ウンブリエルの鎌と裂ける大空の翼が交錯する!しかしイミテーションの武器では耐えきれない!
鎌が壊れる!立て続けにコレクションを喪ったウンブリエルの精神が危ない!その隙を裂ける大空が突く!長い尾の先のアームホーンで一気に止めを差すつもりだ!ウンブリエルは茫然自失し反応が遅れた!だがウンブリエルが気づくと裂ける大空の攻撃は受け止められていた。「聖アルカの聖なるナイフ!」
反応したのはカエルスだ!この致命的な攻撃をコレクションと引き換えに防ぐ!いや聖なるナイフは辛うじて持つ!これは一対の武器なのだ!ウンブリエルが取り出した対になる聖なるナイフが裂ける大空の攻撃に耐える!「コレクションの仇だ!」二本の聖なるナイフが裂ける大空の翼を裂く!
「持ってて良かった聖ぜぜぜぜの鉈」「ウンブリエル、それ人の名前か?」「わからない。ニンゲンどもの名前は珍妙だからな」そして宇宙船の内部に侵入した。「な、いったいこれはどういうことだ!」そこには五機のスケルトンライアーがすべて倒れているではないか!「いったいなにが起きているのだ?」
「私だ」「お、お前は!」ウンブリエルとカエルスの前に現れたのはオベロンだ。「オベロン卿・・・これはいったい」「ワシがすべてを教えよう」オベロンのコクピットが開いた。「ウラヌス・ハーシェル・・・」カエルスがコクピットから現れた老人の名前を言った。「久しぶりじゃのう孫」「孫だと!?」
ウンブリエルは自身のパイロットが父祖の孫であること。そして父祖そのものがオベロンのパイロットであることに驚いた。「ウンブリエル、驚きじゃろう。おぬしらはアームヘッドの世界となったネクストエイジを征服するために創られた。そしてワシがおぬしらを支配する完璧なプランじゃ」
「どうして生きている?」カエルスと違いウラヌス・ハーシェルは定命の者なのだ。「タイムスリップよ。教団がワシにこの時代をくれたのじゃ」「教団?時代をくれる・・・?」「わからぬようじゃな?ワシはコイツら宇宙人も世界支配に利用するためにこの時代を選んだのじゃ」「なんだと・・・」
「つまりオベロンと宇宙人アームヘッドを使ってヘブンを支配するつもりだな!」「然りタイムスリップ教団はすべての時代を知りそしてそれらを改良する義務を持つ!」「義務だと?」「左様、支配じゃ!もちろん手伝ってくれるよな?」「ああ・・・手伝うとも」「流石は孫じゃ」「滅茶苦茶にするのをな」
聖ティガーのパチンコ!ウラヌス・ハーシェルのコクピットに目掛けて撃たれたそれは何かにぶつかって落ちる!「調和能力!」「愚かな・・・。ウンブリエル、貴様も孫に与するか?」「父祖よ、私はあなたが世界を欲するなら我が身を捧げましょう。しかしそれにこのような化け物を使うのは許せませぬ」
「良かろう。ワシにはコイツらがおれば十分じゃ。貴様の愚かな騎士道も紛い物・・・。大好きな紛い物にまみれて死ね」オベロンが片手をかざす!「危ない!」カエルスは本能的に危険を察知!ウンブリエルを回避させる!刹那!後方の壁にビーム痕!「透明の・・・ビーム!」「ほう、ノワールに気づくか」
オベロンの調和能力・・・。ウンブリエルは聖パトリシアの剣(二本目)を構え突撃する!抱き枕に手のはえたようなオベロンはウンブリエルに対し機動力に劣る!「!?」オベロンは一瞬で近づいたウンブリエルにたじろぐ!「流石ウンブリエル卿といったところですな」降り下ろした剣が裂ける!「何!?」
「ティタニア!」ウンブリエルはもう一機のアームヘッドに気づく!「物体を浮遊させる調和能力、それが私のスイカです」聖パトリシアの剣(二本目)を裂いたのは透明になって浮いている剣だ。調和能力ノワールは触れたものを透明にする能力。一方スイカは触れたものから重力を奪い浮かせる能力だ。
「すでにここに罠を張っていたということか」そこかしこに透明の浮いている危険な罠が仕掛けられているのだ!「御名答、最期に良いことを教えてやろう。オベロンとティタニアは二機で一機のアームヘッドなのじゃ。自律行動する半身を持つデュアルホーンアームヘッドじゃ。つまり両方ワシがパイロット」
「調和能力はこちらにもあるぞ」パニッシャーホワイトだ。ウンブリエルの両手から油!「邪魔なものはすべて焼いてやるぞ!」特に伝説のない剣で油に着火!「ククク、バカめ!」爆発!透明化したものに爆弾が混ぜられていたのだ!爆発に巻き込まれるウンブリエル!否!無伝説の剣が床を切った!
「ここは・・・」ウンブリエルがいち早く反応し下の階に降りたもののそこは大量のパイプとかがある部屋だ。アームヘッドが入っても広く感じるほど天井が高い。よく見ると肉詰めのガラス瓶がパイプを移動している。部屋の中央部。白いアームヘッドが床に接続されている。上半身のみだ。
「おもしろいものよな」ウンブリエルは言葉の方を向いた。オベロンとティタニアだ。「リズがあれを産み出してしまうとな」その姿はリズの災い魔セイントメシアそのものだ。宇宙へ飛び出したリズ人が変わり果て産み出してしまったかつての仇敵の似姿、それに導かれるままこの地へと帰ってきたのだ。
リズ宇宙人のセイントメシア、ネオメシアはウンブリエルの方を向いた。「お主の始末はやつに任せよう」「おいウラヌス!」しかしオベロンとティタニアは透明になって消える!ウンブリエルに衝撃!「何!?」ネオメシアが既に近づいている!そして贋のダイナミックフェザーによる一撃を放ったのだ!
「アームヘッドはすべて滅ぼす」ネオメシアは言った。上半身のみのネオメシアは片手の槍のような武器でウンブリエルを貫くべく狙う!無伝説の剣で防御!だがネオメシアの攻撃は速いだけでなく力強い!「ウンブリエル!大丈夫か?」「じゃない!」ウンブリエルが勢いに負け吹っ飛ばされる!「死ね」
ネオメシアは胸部にある穴をウンブリエルに向けた。そこが不気味に発光する。宇宙人のガラス瓶をバッテリーとして消費するデスビームだ。アームヘッドであってもこれには耐えられない!連戦のダメージが大きいウンブリエルにデスビームをかわす余裕はない。何か手はないか?」「降りろ」「え?」
「私から降りれば少なくとも今回は助かる。オベロン卿の野望は・・・そうだなアリエル卿とともに防げ。ふふ、彼はいいやつだぞ」「ウンブリエル!バカなことを!」デスビームの充填が終わりそうだ。「はやくしろ」「そうだな、早く助けてあげないとな」ウンブリエルに第三者が答えた。
「スターシステム」第三者のアームヘッドから投擲されたアームホーンがネオメシアを狙う!五本のそれを翼と槍で弾くネオメシア!「流石はセイントメシアの紛い物といったところか」サンドブルーの機体!「その声は!」「はい、トンドル共和国のニキータ・テーリッツです」「・・・なぜここに?」
「セイントメシアを倒すのはゾディアークだからですよ」
「マン・アフター・アームヘッド」
反攻
終わり
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