伝説の武器

◎いままでのあらすじ◎

人類が衰退したネクストエイジ、吸血鬼のカエルスはアームヘッドと闘うレジスタンスだ。ひょんなことからアームヘッド側のリーダーの一人ウンブリエルと宇宙人と闘った結果彼のパイロットとして宇宙人のアームヘッドと闘う羽目になった。

  


「マン・アフター・アームヘッド」

伝説の武器

  


伝説の武器があるらしい。宇宙人アームヘッド、ハッピースレイブと闘うため人類側戦力はアームヘッド側に伝説の武器の場所を提供した。それはカエルスが前々から知っていた場所にあり人類側領土の端にある。これを伝えるのはカエルスの独断だ。アームヘッド側もウンブリエルのみがついてきた。

  


「伝説の武器とはなんなのだ?」「興味津々だな。ウンブリエル、そういうものが好きなのか?」カエルスはウンブリエルを茶化す。「そうではない。だが聖パトリシアの剣を喪った以上、宇宙者との戦いで新たなウェポーンは不可欠だ」「伝説の武器は射程が数キロもある」「でっ伝説の・・・そんな剣が」

  


そして古代人類文明の遺跡にたどり着いた。ありていに言うならばアームヘッドの整備工場である。ここは使われなくなって久しい。「この神殿に伝説の武器があるのか。さすれば私の武は更に高まろうぞ」「それはここの奥に封印されている」ウンブリエルのコクピットのカエルスは言った。

  


どんどん奥に進む。だが・・・。「おのれ、ハッピースレイブ!」宇宙のアームヘッドが突如天井から襲いかかってきた!ウンブリエルはメイスで防御!メイスとハッピースレイブのチェインソーが嫌な音を出しながら擦れあう!「ここにまさか潜伏していたとはな!」「迂闊だった。拡がる侵略!」

  


伝説の武器に気をとられハッピースレイブの気配に気づけなかったウンブリエルの迂闊だ!ハッピースレイブは既に地上に降下しヘブン側勢力の少ない土地に陣地を築いているのだ!「伝説の武器が奪われるやも知れぬ!急ぐぞ!カエルス!」ハッピースレイブをモーニングスターで倒し奥へと進む。

  


そんなウンブリエル達を見つめる不気味な影があった。「・・・」それらに気づかず彼らは進んだ。奥へ進めば進むほどハッピースレイブの数は増えていく。調和能力でそれらを倒し進んだ。「・・・まずいな」「囲まれている」伝説の武器が置いてある格納庫の手前で遂に彼らは囲まれてしまった!

  


「キュピキュピキュピ」ハッピースレイブの宇宙の虚無のような目に覗き込まれるとウンブリエルは気が滅入ってしまう。それが十数体もこの狭い空間でだ。扉を背にして来た通路から迫るハッピースレイブの群れ。「最早退けずか」「カエルス!決まっておろう!」ウンブリエルは扉を蹴破った!

  


「伝説の武器!」だが見当たらない。「もう奪われてしまったというのか!」ウンブリエルが狼狽する。「いや、あれだ」ウンブリエルはカエルスが言ったほうを見た。「まさか・・・私は嫌だぞ!」「2100年式フィジカルライフルの何が不満なのだ?」「銃なんて使えるか!私は騎士だぞ!」

  

ウンブリエルの頭には伝説の武器を振り回し宇宙アームヘッドを蹴散らす自分の姿があった。だがそこにあったのは自らが卑怯と忌み嫌ったライフルがあった。「まさか使えないのか?」「使わないのだ!騎士の決闘において銃など無用!」「あれはお前のための武器だぞ?」「騎士道を軽んずるな!」

  


「ウンブリエル」「なんだ?」「相手は名乗りも解せぬ連中だ。騎士道は人間相手のものだぞ」ウンブリエルはカエルスの人間という言葉には自分たちアームヘッドも含んでいると気付いた。「・・・わかった」ウンブリエルはライフルを手に取り、様子を伺うのを止め飛び掛かるハッピースレイブに放った!

  


ハッピースレイブが爆散!飛び散った破片が他のハッピースレイブに突き刺さる!「フフフ、銃とやらもなかなか楽しいではないか!」発射!ハッピースレイブ爆散!破片!発射!ハッピースレイブ爆散!破片!「これで奴らに勝てるぞ!」「ウンブリエル!危ない!」突如ドクロのようなアームヘッドが出現!

  


フィジカルライフルを撃とうとするがチャージ切れだ!先程までのウンブリエルならば近接武器で防御も出来ただろう。しかし新鮮な快感に一瞬心を奪われたウンブリエルに隙が出来た!「ウンブリエル!」カエルスはウンブリエルの制動を取りドクロの刃の腕を避けるように後退!だが大きく胸を裂かれる!

  


「司令塔も潜んでいるとは・・・」カエルスは大きく裂けたコクピットからドクロのアームヘッドを見た。その空の眼では炎が吹き出ていた。ハッピースレイブの司令塔スケルトンライアーの一人、踊る炎だ。「おのれ・・・抜かったわ」踊る炎は両手の刃をウンブリエルに向けた。「全く情けない」

  


「アリエル!」「アリエル卿だぞ、ウンブリエル。貴様が心配で・・・裏切らないか心配でついてきたら、間抜けにもこの宇宙アームヘッドの追跡にも気づかず窮地に陥るとは!五天王の名折れだぞ!」アリエルの各部がチカチカする。「逃げろアリエル。お前の勝てる相手ではない!」「左様、共に逃げるぞ」

  


踊る炎が突如現れたアリエルを見定める。手負いのウンブリエルよりもこの派手なアームヘッドのほうが弱いと認識した踊る炎はアリエルに両手の刃を向けた。「おお恐い・・・」アリエルは踊る炎の刃から出る炎を辛うじてかわす。ウンブリエルは動けそうにもない。「まずいのう」「おいアリエル」

  


「ひいい人間!」アリエルはカエルスに声を掛けられたことに思わず恐怖し炎をもろに喰らった。「・・・な、なんじゃ」「俺をのせろ」「え、何を・・・」「お前の調和ならばこの状況を切り抜けられる」「・・・今なんと?」「ハーシェルの家系はお前たちと相性が良いのだ」「嫌だぞ!」「問答無用だ」

  


カエルスはウンブリエルから飛び出る!そしてアリエルの胸部にしがみつく!「ひいい!人間!人間がワシの身体に!ワシの身体にい~!」アリエルはじたばた抵抗するがカエルスはアリエルのハッチを開けた。アリエルの恐怖心がカエルスの中に流れ込んでくる。原始のアームヘッドである彼は人間を恐れた。

  


アリエルは最も最初にウラヌスによって専用機として造られた。神によって最初に造られたアームヘッドであると自らを定義した彼は神に対する畏怖が自然と神の属していた種族に向けられた。やがて神の一族と争うことになった彼は次第にその感情が嫌悪感に変わっていくことを感じていた。

  


カエルスにとって伝説の武器とはアリエルやウンブリエルだった。自らの祖父が造り出した神域兵器。それがなぜ人類と戦っているのか?祖父の考えとは何か。ウンブリエルと調和したことにより自らもハーシェルシリーズを操れるとカエルスは気づいた。そして・・・。「メロン」アリエルの調和だ。

  


アリエルはウンブリエルの大きく裂けた胸に手をあてた。その手が動くとそれにあわせるかのように裂け目も動いていく。調和能力メロンは裂け目を移動させる能力だ。「!!?」踊る炎は不可思議な現象にたじろいだ。「おお、お主のせいじゃぞ!」アリエルの手とともに裂け目が踊る炎の刃に合わさる!

  


踊る炎の両手の刃に裂け目が移った!アリエルが裂け目から手を放すと踊る炎の刃は裂け目によって本体と離されたことによりずり落ちた。一方でウンブリエルの胸の傷は消えている。「ハハハ!ワシはスゴいぞ!どうじゃ宇宙人!」「・・・どうやら逃げたようだぞ」ウンブリエルは言った。

  


「・・・おおひどい目にあったわい」アリエルは工場の外でウンブリエルと並んでいた。既にカエルスはウンブリエルに移っている。「だがあのアームヘッドの実力はあんなものではないはず」「何を!ワシの力で倒せるわい」「また人間を乗せるのですか?アリエル卿」「ゲェーッ」「アリエル」「なんじゃ」

  


「・・・今日は助かった。かたじけない」「・・・えっ?今なんと?」「二度は申さぬ」

  


「マン・アフター・アームヘッド」


伝説の武器


終わり

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