第35話 ライ兄と一緒に

俺は、はやる気持ちを抑えつつ走った。


・「ライ兄!!」


あの声はライ兄のはずだ。

聞き間違える訳が無い。

俺は遂に目視で捉える。


・「やっぱりライ兄だ!」


そこには俺が憧れている冒険者が居た。

やっぱりライ兄はカッコいい!


・ライオット

「ニュートじゃないか、久しぶりだね。」


ライ兄の声に心が躍る。

伝えたかった言葉がドンドン溢れてくる。


・「ずっとお礼が言いたかったんだ!新しい武器をありがとう、お陰で俺も強くなれた気がするよ。」


ここでライ兄に逢えたことが嬉しい。


・ライオット

「かなり使い込んでるみたいだね。」


ライ兄は俺の武器を見てそう言った。

俺は自分の武器を見てみる。

目立った傷はないよね?

確かにすごい使い込んでたけど傷一つついてなかった、すごい頑丈な武器だと思ったほどに。


・ライオット

「ちょっと籠手を見せて貰って良いかな?」


ライ兄に言われて直ぐに武器を渡す。

やっぱり綺麗なままだ。

どうして使い込んでるって解ったんだろう?


・「注文以上の能力が付いてる。さすがドンク師匠だ、それに風属性も含まれているね。恐らくサリーヌさんだろうな。」


武器を見ただけでサリーヌさんが関与している事に気付いたライ兄、何で解ったんだろう?疑問が沢山出て来るよ。

ライ兄は俺の武器を見て何やら考えていた。

そして鞄から色々取り出して改造し始めたんだ。

俺はそれを見ている事しか出来なかった。


暫く眺めていると、、、


・「はい、完成。」


ライ兄が俺に武器を返してきた。

一体何をしたんだろう?

見た目は変わってないし、、、

何となく思うのは、


・ニュート

「武器が綺麗になっている気がする。」


ライ兄は武器を綺麗にしてくれたのかな?

でもそれだけじゃない気もする。


・マルチ

「細かい傷を修復したんだね。」


マルチさんがそう教えてくれた。

細かい傷なんてあったんだね。

ずっと使ってるのに全然気づかなかった。


・セリス

「私には違いが解らん。」


セリスさん、俺もです。

俺は武器を眺めながら悩んでいた。

どうみても変わってる様に見えない。

そんな俺を笑顔で見つめていたライ兄。

ライ兄は武器に対してやった事を教えてくれた。


・ライオット

「武器に自動修復機能を追加しただけだよ。中核に「再生」能力があるからそれを武器側に繋いだって所かな、核さえ無事なら半壊ぐらいまでは直ぐに元に戻る筈だ。やってみないと解らないけどね。」


あの短期間でとんでもない事をやっていた。

ライ兄って本当に何者なんだろう?

この武器、もう神器の性能超えてるよね?


・セリス

「武器屋泣かせだな。」


この技術が普及しちゃったら武器屋さんが軒並み潰れて行きそうな気がするよ、でもこれが出来るのなんてライ兄位なんだろうな。

今度教えて貰おうかな?

俺はそんな事を考えていた。

すると、


・クラス

「ライオット先生、お久しぶりです。」


クラスがやって来た。


・ライオット

「やぁ、久しぶりだねクラス。」


ライ兄はクラスの事もちゃんと覚えていた。

少し戸惑っている感じもしたけどね。


・クラス

「先程、ミズキ様に事情を伺いました。今はベルガルが説得している所です、もしよかったら私達と一緒にダンジョン攻略を目指しませんか?」


クラスがライ兄たちをそう誘ってくれた。

一緒にライ兄とダンジョンに潜れるの?


・ライオット

「良いの?」


ライ兄の反応を見る限りでは一緒に行けそうな気がする、そう言えば何か困っていた様子だった。クラスはしっかり状況を把握してきたんだね。


・「それだ!」


俺は思わずそう叫んでいた。

是非お願いしたい、ライ兄と冒険がしたい!

余りの嬉しさに俺は思わずクラスに抱き着いてしまった、本当にありがとうクラス。


・ライオット

「お尋ね者だけど大丈夫かな?ニュートたちに迷惑が掛かるなら遠慮しておくけど。」


・クラス

「そこは上手くやります。」


クラスの言葉通りだった。

クラス達が兵士さんを説得してくれたらしい。

細かい調整をベルガルがやっていた。

クラスがとっても頼もしい。

本当にありがとう。


クラスとベルガルのお陰でライ兄達とダンジョンに挑める事となった、俺達はそれから酒場で細かい調整を行う事にした。ライ兄たちは待ち人が居るって言ってたが、同行してくれてたハリスさんがその人物だったので問題なくダンジョンに挑む事となった。


こちらのメンバーは

・俺

・クラス

・ベルガル

・ハリスさん


ライ兄達は

・ライ兄

・セリスさん

・マルチさん

・リーシュさん

・ミズキさん


計9人の大きなPTとなった。

これだけ大きくなると問題になるのは食料や飲料水の確保となる。幸い俺にはお金が結構あるから人数分を買っても大丈夫だろう、全財産を使ってでもライ兄たちをサポートしようと思うんだ。


酒場ではお互いの目的を話した。

ライ兄たちは「黒龍」と言うこのダンジョンのボスを倒しに来たのだと教えてくれた、今の俺なら少しは役に立てるかな?ライ兄のお役に立ちたいな。

ちなみにだが、俺達の目的が『原初の果実』だと教えたらサクッと渡してくれた。流石に断ったのだが、ライ兄は遠慮しないで貰っておけと言ってくれた。

ここに来る前にダンジョンを攻略してきたらしく、メダリオンも見せてくれた。どこまでも凄い人なんだな、頑張って追いつかなきゃ。


俺は少しでも強くなるために『原初の果実』を受け取る事にした、ついでにクラスも貰っていた。

出発は明日になる。

足手まといになる訳には行かない

今日は早めに寝るとしよう。


かなり興奮してるけど寝れるかな?


ステータス

レベル 55

筋力 624 +256 計880

知力 365 +120 計485

敏捷 647 +201 計848


特技

闘魔術(魔力量によって能力値が増加する)


体術93 補正LV18 筋36 敏54

鍛冶37 補正LV7  筋70

魔装68 補正LV13 知130

龍神の籠手 筋 +150 敏 +150



~次の日~


・ベルガル

「ぬぉぉぉぉぉぉ!」


朝早くからベルガルが外で騒いでいる。

いつも冷静なベルガルがあんな声を出したことは無い、何かあったのか?俺は急いで宿の外に向かった。

宿の裏手にベルガルの姿を見つけた。

てか、結局昨夜は眠れなかった。


・ベルガル

「これはいったい?」


ベルガルの隣にはライ兄が居た。

その横でベルガルが震えている。


・「何があったの?」


俺はベルガルに問いかけた。


・ベルガル

「ニュートよ、このお人は何者だ?」


震えながら問い掛けてくるベルガル。

一体何があったのだろう?


ベルガルの騒ぎで皆が出てきた。


・ライオット

「お、みんな出て来たね。んじゃ各々で準備してからダンジョン入り口で集合しよう。」


そう言ってライ兄は宿の中に戻っていった。

ライ兄のPTメンバーは「またか」と言うような顔をしながら戻っていく、宿屋の裏手には俺とクラス、放心状態のベルガルが残った。


・クラス

「ベルガル、どうしたの?」


クラスの問いかけにも答えないベルガル。

余程の事があったのだろう。

このままじゃ話が進まないので、、、


・「セイ!」


ベルガルに軽く正拳突き!

ベルガルは見事にぶっ飛んだ。


ちょこっとヤキモチを焼いていたのは秘密だ。

ライ兄の事を早く教えなさい。


・クラス

「やりすぎじゃない?」


クラスが少し引いていた。

確かに、やり過ぎたかも。


・ベルガル

「いたた、いやはやスマン。ついつい考え込んでしまったようだ。」


ベルガルは何も気にしていなかった。

ベルガルが大人で助かりました。


・クラス

「無事ならよかった、それで何があったの?」


俺も早くそこが知りたいのだ。


・ベルガル

「今朝方、ふとライオット殿に逢って言われたんだ、『あなたはLVを上げないんですか?』とな。我は当然こう答えた『我は既にLVは75だ』と、そしたら我のLV限界を突破させてくれたのだ。新事実だぞ、LVの最高値は75じゃなかったのだ。」


そう言えば昨夜言ってたな。

ライ兄は他人のステータスが見えるって。

ありえないよね?

それでベルガルのレベルが解ったんだろうな。

普通なら考えられないよ。

でもライ兄だからと言う理由で皆が納得してしまうんだから本当に不思議だ、ライ兄にとって常識なんて関係ないんだろうな。


『大多数の人間が感じる偏見が常識だ』


ライ兄がそんな事言ってたよな。

常識だからって限界を決めているのは自分たち自身って事なんだよね、もっと柔軟な思考を持たなきゃライ兄には追いつけないぞ。


俺は準備を終えてダンジョン入り口に向かう。

本当なら食糧とかを大量に買い込むつもりだったのだがミズキさんに止められた、食料や飲み水は確保してあるから大丈夫だと。

見た所、食料関係は何も持ってない様な気がするけど常識で考えちゃダメだな。きっと驚くような何かがある筈だ。


・ライオット

「みんな揃ったね、んじゃ行こうか。」


問題の6層までは俺達が先導する事になった、形式上とは言えライ兄のPTは俺達の補助要員となっている、兵士さんたちが要るかもしれない5層まではこのスタイルで行くつもりらしい。


・セリス

「6層前の野営地まで一気に行こう。」


道なら既にマッピングしてある。

普通なら2日位かけてゆっくり進むんだけどね、ライ兄たちを驚かせたいから出来る限り進行速度路あげてみようかな?


・ベルガル

「では一気に行くぞ。」


ベルガルもやる気になっている。

限界突破が出来て上機嫌だ。


・クラス

「中距離の敵は私がやります。」


・ハリス

「俺はサポートに徹しよう。」


クラスも燃えている。

ハリスさんはフォローに回るみたいだ。


俺達は一気に駆け抜ける。

道中の敵は俺がスカウトして知らせる。

ベルガルとクラスが見事に倒してくれる。

ハリスさんは倒した敵から戦利品を拾ってくれた。

お陰で止まることなく進んで行く。


こうして、全く問題なく野営地まで到着した。

恐らく1日は経っていない筈だ。

洞窟の中だと時間間隔が無いから解らないけどね。


・ミズキ

「16時間ちょいって所ですね、4人のPTでここまでの速度を出せるのは流石としか言いようがありません。」


腕についている魔道具?を見ながらミズキさんが伝えてくれた、時間が解るような道具なのかな?


・セリス

「流石はライオットが一目置く冒険者だ。」


セリスさんに言われて嬉しくなった。

少しドヤ顔になっていたかもしれない。

でも俺達はここからめちゃめちゃ驚く事になる。


・リーシュ

「では今日はここまでという事で野営地の設置に移行しますね、ハリスさんは食事の準備を。ミズキとセリス、マルチは手伝ってください。」


リーシュさんの号令でテキパキと野営地が設置されていく。

もの凄い手際が良いのですが?

ライ兄は遠くで何やらやっていた。

俺達は何も出来ずにポカーンとしているだけだった。

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異世界クロスロード beyond Common Sense(ビヨンド コモン センス アナザー @sigunet3939

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