第34話 再会
俺達がダンジョンから地上に戻って行った事は情報収集だった、このまま王国に帰るのはやっぱり悔しい。
・ベルガル
「ニュートとクラス様はこの村で話を聞いて来てくれ、我はひとっ走り王国のギルドで情報を集めてくる。」
この中で一番足が速いのはベルガルだ。
もうすっかり人間界に慣れた様子だ。
・「無理しないようにね。」
・ベルガル
「解っている。クラス様、一時とは言え護衛を外れることをお許しください、直ぐに戻ってまいります。ニュートよ、クラス様から決して離れるでないぞ?」
ベルガルがニュートに釘を刺す。
・「解ってるよ、任せて。」
ニュートは力強く頷いた。
ベルガルがクラスにウィンクをする。
そして凄まじい速度で走っていった。
・クラス
「(ありがとうベルガル。)」
クラスはベルガルの意図を理解した。
ニュートとの時間を作ってくれたのだ。
何てスマートに、そして自然に二人になるように手配してくれたのでしょう。クラスは心からベルガルに感謝した。
・クラス
「さぁ、行きましょう。」
ニュートとクラスは並んで歩く。
とりあえず5層の情報を得なければならない。
・ニュート
「兵舎の中で聞き込みをしようか。」
・クラス
「うん。」
真剣なニュートと嬉しそうなクラス。
何とも温度差が凄い。
しかしニュートはお構いなしで進んで行く。
・クラス
「(本当にニュートは真面目で真っ直ぐね、そんな所も好きなんだけどね。)」
悪いと思いつつクラスは幸せを噛み締めていた。
暫く聞き込みをしたが有力な情報は無かった。
攻略した記録が無いので当然である。
・「困ったね、こうなったらベルガルに期待するしかないのかな?」
・クラス
「そうね、解らない物は知りようがないからね。とりあえずお食事を取りましょう。」
クラスの提案で昼ご飯を食べる事にした。
ダンジョンでは保存食ばかりだったのでこうしたしっかりした定食はありがたい、LV上げは楽しいけど食事だけは好きになれなかったからな。
・「ダンジョンでもこういうご飯が食べれると良いんだけどね、贅沢過ぎるかな?」
・クラス
「貴族のPTだと荷物運びを多く雇ってお食事に力を入れる事が多いです、LV上げに支障をきたす行為だと思ってたの、でも食事は大切だと考えると批判ばかりは言えないね。」
お金があれば食事問題は解決するのか。
でも攻略速度が落ちそうだから効率は悪そう。
難しい問題だよね。
やっぱり保存食に慣れるしかないかな。
・クラス
「この調子だと有力な情報は無いかもしれない、だけど何もしないよりはマシだと思うの。だから食事後も情報収集を続けましょう。」
クラスの提案は最もだ。
俺達は日が暮れるまで情報収集を行った。
その日はこの村の宿に泊まる事にした。
結局ベルガルは帰ってこなかったな。
~次の日~
久しぶりにベットで寝た。
しっかりと睡眠がとれてスッキリできた。
扉をノックする音が聞こえる。
クラスだ。
・クラス
「おはよう、ニュート。」
クラスが部屋に入って来た。
その隣にはベルガルもいる。
・ベルガル
「一緒に寝ればよかったのに。」
少し残念そうに言うベルガル。
いやいや、クラスは女の子だよ?
一緒に寝ちゃダメでしょう。
・ベルガル
「所詮ニュートはまだお子様という事か。」
何だか馬鹿にされた気がした。
そんな事より後ろに居る人が気になる。
見覚えがある気がするな。
・???
「久しぶりだね、まさか君がここまで成長するとは思わなかったよ。俺の事は覚えてるかな?」
すみません、忘れています。
・???
「知らないって顔だな、何とも寂しい。まあいい、始めましてから始めよう。俺の名はハリス、このダンジョンの最下層まで行った男さ。」
俺はクラスと顔を合わせる。
この村の情報ではそんな話は無かった。
・ベルガル
「少々胡散臭い男だがギルド長のサリス殿が推薦したほどの者だ、詳しくはこの男から聞いてくれ。」
そう言えばギルド長が変わったんだった、前ギルド長のセリスさんはライ兄と一緒に居る筈だ。
・ハリス
「何が聞きたいんだい?」
早速情報を仕入れなきゃね。
・「僕たちは5層まで行ったのですが予想外の難易度で戻ってきてしまったんです。」
少しだけハリスさんを試してみた。
本当にあそこを突破した人なら知ってる筈だ。
・ハリス
「君が知りたいのはジャングルの抜け方だね。」
全てお見通しだった様だ。
・ベルガル
「ほう。」
ベルガルも感心している。
・ハリス
「俺達のPTは特殊でね、ある方法で抜けたんだ。詳しくは言えないが俺一人ではとても突破は無理だろう。」
何かしらの策はあるって事だね。
・ベルガル
「その方法とやらはどうすれば知れる?」
・ハリス
「ある人物の許可が要る、彼の能力だから。」
要するに誰かの特殊能力で抜けたって事か。
・「その人にはどうすれば逢えますか?」
だったら直接お願いすればいい。
・ハリス
「実は俺も探している、俺達にはこのダンジョンでやらなきゃいけない事があってね、だから戻って来たんだが彼等はオルドラ王国から旅だったと聞いた。この村に居ればその内現れると考えている。」
色々隠しながら話してるんだね。
だったら詳しく聞くのも良くないかな?
・クラス
「そうですか、では無理に聞かない方が良いですね。色々とすみませんでした。」
クラスが頭を下げて謝る。
俺も同じ様に頭を下げておいた。
・ハリス
「ベルガルって言ったっけ?このお嬢ちゃんってカーティス家の人間だったよな。」
・ベルガル
「うむ、その通りだ。」
ハリスさんは何やら考えている。
・ハリス
「君みたいな子が大貴族の子か、まだまだ王国も捨てたもんじゃないな。君に免じて俺の知ってる事を話そう。」
よく解らないがクラスのお陰で情報が得られることになったぞ?
・ハリス
「今は冒険者をしているが俺も元貴族の一員でね、貴族の腐った部分は良く知っているつもりだ。でもお嬢ちゃんの様な人間もいるって思うと嬉しくなった。そのまま真っ白な心を持ち続けてくれ。」
ハリスさんも貴族だったのか。
とりあえず情報を教えて貰えることになり、俺達は村の酒場に移動して話し合いを行う事にした。話によるとハリスさんは最下層まで行ったらしい、最下層は6層でジャングルを抜ければすぐだと言っていた。
何よりも驚いたのがハリスさんのPTだった。
ライ兄が居たんだ。
しかも特殊能力を持っているのはライ兄だって言うじゃないか、本当にすごい人なんだね。
ライ兄か、、、逢いたいな。
この籠手のお礼も言いたいし。
・ハリス
「と言う訳で俺も彼を探しているんだ。サリスさんが言うにはセリスもライオット君に付いて行ったというし、何だか悔しいじゃないか。逢って一言言ってやるんだ!」
もの凄い勢いでお酒を飲むハリスさん。
・クラス
「セリスさんの事が好きだったんですね。」
・ハリス
「ずっと好きだったのさ!なのにポッと出てきたライオット君に全部持って行かれてしまった、俺は認めてないんだから!」
お酒に飲まれながら話すハリスさん。
完全に我を失ってるね?
・ベルガル
「酒は飲んでも飲まれるな。」
ボソッと呟くベルガル。
ベルガルもお酒で失敗したことある感じ?
・クラス
「ライオット先生は規格外ですからね。」
・ハリス
「そうなんだよ、彼って何かと異常だよ。」
褒めているのか貶しているのか解らないが、とりあえずお酒は怖いという事だけ覚えておこう。
ハリスさんの凄まじい飲みっぷりを見ながら談笑は続いた、気付けば夜になっていたのでその日は宿を取って就寝する事にした。
ステータス
レベル 55
筋力 624 +256 計880
知力 365 +120 計485
敏捷 647 +201 計848
特技
闘魔術(魔力量によって能力値が増加する)
体術93 補正LV18 筋36 敏54
鍛冶37 補正LV7 筋70
魔装68 補正LV13 知130
龍鱗の籠手 筋 +150 敏 +150
~次の日~
・???
「何でだ!」
今日は朝から騒がしかった。
何かあったのかな?
俺は宿の外に出る。
既にベルガルとクラスが外に居た。
・クラス
「あ、おはようニュート。」
・「おはよう、何かあったの?」
俺はクラスに尋ねてみた。
・ベルガル
「何やら入り口で揉めているみたいだな。」
ベルガルの方が状況に詳しいらしい。
・ベルガル
「どうやらこのダンジョンに入りたいが門番が入れないと追い返そうとしているらしい。」
この距離の会話が聞こえるの?
何とも恐ろしい能力です。
・クラス
「私達も行ってみます?何か兵士さんたちの力になれるかもしれませんし。」
確かに話し合いがこじれた時の為に行った方が良いかな?どんな冒険者なのか解らない以上、最悪を想定して行動した方が良さそうだ。
・「ハリスさんは?」
・ベルガル
「寝ておる、恐らく昨晩の酒のせいだろう。」
凄い飲んでたからな。
セリスさんの事が悔しかったんだろう。
ライ兄も罪なお人だな。
・「僕たちだけでも行こう。」
俺達は村の入口へと向かった。
近づくにつれて何となく聞き覚えのある声が聞こえる。あれ?この声ってあの人じゃない?
・セリス
「こう言う時だけ情報が早いな!」
やっぱりセリスさんだ。
てことは、、、
・ライオット
「困ったな、兵士さんに迷惑掛かっちゃうから無理に入る訳には行かないし。」
ライ兄だ!
俺は急いで駆けつけるのであった。
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