第27話 オルドラ城へ
~戦闘終了後~
ベルガルとニュートの対決。
それは想像を絶するものだった。
・セント
「なんだ?どうなった?」
絶賛混乱中のセント・カーティス。
自慢の庭が消し飛んでいる。
その戦いの終わり方も壮絶だった。
トップギアに入った二人。
お互いの必殺技を繰り出す始末。
そんな攻防を見て我慢できなくなった人物。
・ナナ
「私も混ぜろぉぉぉぉ!」
拳聖の乱入で戦いは終わる。
ニュートとベルガルの技を地面に受け流す。
そして拳聖の拳が深く突き刺さった。
・「し、、、しょう、、、。」
・ベルガル
「なに、、、もの、、、。」
拳聖の一撃で沈む二人。
・ナナ
「あ~スッキリした!」
テカテカしている拳聖。
庭が爆発して放心状態のセント。
・キロス
「ニュー兄、すげぇな。
でもナナさんが一番すごかった。」
・クラス
「回復しなくちゃ、キロス手伝って。」
姉弟は走っていく。
・リム
「ナナ様、あの技を使いましたね?」
・ナナ
「う、、、だって仕方ないじゃないか。」
リムに怒られるナナ。
何ともカオスな時間である。
そして1時間後、事態が落ち着いく。
・ナナ
「えっと、ゾートだっけ?
ちょっと良いか?」
師匠がベルガルを連れて行った。
弟子に勧誘とかしそうだな。
・リム
「ニュート様、お強くなられたんですね。」
ナナの一撃を食らってあの程度のダメージ。
リムは心から感心していた。
・クラス
「軽くと、、、、言ってませんでした?」
クラスさんがお怒りです。
俺は事情を説明した。
手を抜くと師匠に殺されると。
事実なので師匠を盾にしても良いですよね?
・キロス
「ゾートも凄いけどニュー兄も凄かった。
やっぱり自慢の兄ちゃんだ!」
キロスが喜んでくれた。
頑張った甲斐があったよ。
・セント
「私の庭が、、、」
・セーラ
「良いではありませんか。
腕の立つ用心棒が欲しい。
いつもそう言ってらしたの知ってますよ?
庭はまた造ればいい。
そうでしょう?あなた。」
セーラさんに慰められてるセントさん。
何か、すみませんです。
しかし師匠は遅いな。
何の話してるのかな?
俺は遠くに居る師匠を見る。
なにやらベルガルと話していた。
本当に勧誘してるのかな?
・ナナ
「ゾートと言ったな。
ニュートとあそこまで戦えるとは驚いた。
最近はあたしの他に相手がいなかったからな。
礼を言うぞ。」
・ベルガル
「ニュートは強い。
相手が良かったお陰で私も存分に力を出せた。
お主が鍛えたのだな?
礼を言うのはこちらの方だ。」
ベルガルはナナに頭を下げる。
心からの気持ちだった。
・ナナ
「んで、魔族のお前が何故ここに居る?
何が目的だ?」
バレた。
・ベルガル
「何故、、、、そう思われる?」
・ナナ
「あたしに隠し通せると思うなよ?
あんたからは魔族特有の『気』が感じ取れる。
あたしの娘も気付くだろうね。
んで、目的は?」
流石は拳聖と言った所だろう。
・ベルガル
「そうか、其方には解ってしまうか。
ならば全てを話そう。
我の名はベルガル・ゾート。
クラス様の盾なり!」
胸を張って言い切るベルガル。
ナナは何も言えない。
・ベルガル
「クラス様にはこの命を救って頂いた。
魔族にも分け隔てなく振るう癒しの力。
そしてその優しさ。
我はこの宝を護りたい。」
ベルガルは偽りなく答える。
・ナナ
「どうやら本気みたいだね。」
・ベルガル
「うむ、偽りはない。」
ナナは考える。
これ程の実力を持つ魔族。
それを王国の懐に入れて置いて良いものか。
・ナナ
「まあ良いか、ひとつ聞かせてくれ。
ニュートはお前から見てどの程度だ?」
王国の事は置いといて、、、
弟子の事の方が気になるナナ。
やはり戦った相手から感想を聞きたいのだ。
・ベルガル
「まだ未熟なれど秘めたる力は我以上。
導き手に恵まれれば更に上を目指せよう。
並みの魔族程度なら遅れを取りますまい。」
想像以上の評価だった。
・ナナ
「そうか、、、」
・ベルガル
「貴方が付いているのなら安心だ。
ニュートを導いてほしい。
我は奴と戦う事に生きがいを感じた。」
・ナナ
「そうか。」
ナナは見切っている。
ベルガルはまだ本気ではなかった。
どこか遠慮している部分がある。
・ナナ
「参考になった、ありがとよ。
悪かったな、戦いに水を差して。
出来たらまたあいつと戦ってくれ。
良い修行になりそうだ。」
・ベルガル
「是非に!」
二人の話は終わった。
ナナはベルガルを信じようと思ったのだ。
彼の戦う拳に悪意は無かった。
乱入の際に感じ取った事だ。
ナナは戦う事で相手の本質を見抜く。
どうしても必要な乱入だったのだ。
・「あ、師匠が帰って来た。
師匠!先程はビックリしましたよ。」
俺は師匠に話しかける。
・ナナ
「わりいな、つい。
それでお前から見てあいつはどうだ?」
ベルガルの事を言ってるのだろう。
師匠には感じた事を言わなきゃな。
・「完全に俺の負けでしょう。
ベルガルは手を抜いている。
何処か迷いのある拳でした。」
ナナは感心した。
弟子は思った以上に成長している。
・ナナ
「そうか、良いライバルが出来たな。」
・「はい、負けない様に頑張ります。」
ナナはこの瞬間、喜びを感じる。
良い弟子を持った。
・ナナ
「あたしは城で仕事がある。
セントに話しておくから2・3日ここに居ろ。
あとここに居る時は毎日ゾートと戦え。
良い修行になる。」
師匠が言うのであれば従うまでだ。
実際ベルガルと戦うのは勉強になる。
クラスは怒るかな?
その後は庭の片付けを行った。
ベルガルはセントに謝罪した。
しかしセントは「気にするな」と一言。
そして「娘の護衛を頼む」とお願いしていた。
庭の片付けで一日が過ぎていく。
明日は何しようかな~。
~数日後~
今日は城に呼ばれた。
先の戦闘で街の被害は皆無だった。
しかし兵編成の再考に時間が掛かっていたらしい。
そして目途が立ち勲章の授与が行われる。この日、あの戦いの関係で城に呼ばれた人達は以下の通りだ。
・ライル騎士団長
・司令官バルドロスト
・北区の冒険者ギルド長ショウダン
・拳聖と剣聖
・ニュート
そして他にもう一人、、、
・セント
「ライオット君も来るらしいぞ?」
その一言で俺は参加を決めた。
ライ兄に謝りたいんだ。
色々と勝手に名前を使ったしね。
・クラス
「お城ですか、どんな所でしょう。」
・「クラスも行くかい?」
・クラス
「行きたい、行っても良いかな?」
お城に憧れを持っていたらしい。
・「師匠も居るし良いんじゃないかな?」
俺の提案にクラスが弾ける笑顔になる。
結構軽く考えてるニュート。
貧民街出身の彼にはそう言う常識はない。
「ダメなら帰ればいい」
そう考えているのだ。
・セント
「クラスも行くか、なら手を回しておこう。
ベルガル君、君も付いて行ってくれ。
変な虫がつかぬよう頼む。」
・ベルガル
「かしこまりました。」
今までゾートと呼ばれていたベルガル。
周りが混乱するのでベルガルに統一して貰った。
ちなみにキロスは既に学院寮に戻っている。
・クラス
「お父様、ありがとうございます。」
クラスは城に行けると解ってウキウキだ。
そしてその日の午後。
俺達は城に向かう事となった。
・ベルガル
「まさかこの様な形で人間の城に入るとは。
人生何が起きるか解らぬものだ。」
そう言えばベルガルが一番驚いていたな。
~オルドラ城・控室~
準備が整うまで城の一室で待機。
現在、俺達は3人で待っている。
俺達を案内してくれた兵士さんに聞くと、隣にはギルドの関係者が居ると教えてくれた。
・「ライオットと言う冒険者は居ますか?」
俺はライ兄に謝りたい。
だから居場所が知りたいのだ。
・兵士
「申し訳ございません。」
どうやら知らないようだ。
どうしたものかな、、、
・クラス
「私もライオット先生に会いたいです。
お礼もしなきゃいけませんし。」
クラスもライ兄に強くして貰ったからね。
・ベルガル
「ニュートとクラス様の恩人か。
われ、、、私も興味があります。」
只今ベルガルは必死にキャラ作り中だ。
貴族の使用人として最低限の礼儀を勉強中。
とても戦闘狂とは思えない勤勉っぷりで驚いた。
暫く待っているとナナ師匠が現れた。
・ナナ
「お、嬢ちゃんにゾートまでも来たのか?」
・ベルガル
「ベルガルとお呼びください。
今はそれで統一しようと思っています。」
ベルガルは礼儀正しく振舞う。
・ナナ
「立派なもんだな。
嬢ちゃんへの思いがあふれ出ている様だ。」
・ベルガル
「勉強中だからな。」
ベルガルは胸を張る。
頑張ってる事を褒められると嬉しいよね。
・ナナ
「もうすぐライオットが来るらしいぞ。
何故だか逮捕、連行するとか言ってた。
そいつ何かやらかしたのか?
ニュートは何か聞いてるか?」
師匠は俺とライ兄の関係を知っている。
親しい俺なら知っているかもと思ったんだろう。
詳しく聞きに来たのかな?
・「俺もその事は知りません。
師匠に聞くまでは逮捕とか知りませんでしたし。
ライ兄は何かしたんでしょうか?」
・クラス
「ライオット先生、、、」
一体何があたんだろう?
ライ兄大丈夫かな?
・兵士
「大変申し訳ありません。
勲章授与式はもう暫く後になりそうです。
先に罪人の処罰を行う事になりました。
今しばらくお待ちください。」
兵士が報告にやって来た。
・ナナ
「罪人ね、、、そいつ何やったんだ?
ミミちゃんとの約束どうしようかな。」
・クラス
「罪人、、、、」
ベルガルだけはいつも通りだ。
俺は堪らず部屋から出る。
ライ兄を探しに行くんだ。
ライ兄は悪い事なんてしない。
きっと何かの間違いだ。
そうだよね?
俺は城の中を探索する事にした。
全てのドアを開けてでも探してやる。
たとえ牢屋に居たとしても。
そう意気込んで探索を開始した。
その時、使用人の方に聞いたらすぐに教えてくれた。
しかも客人として同行してきたとか、、、
話が全然違うぞ?
一体何がどうなっているのだろう?
ライ兄の事は相変わらず解らない事だらけだ。
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