第7話 無属性の可能性
~ギルドにて~
・サリーヌ
「さあ、吐けお前は何をした?
隠そうとしても無駄だ!
俺達はちゃんと目撃したんだからな!」
・ライオット
「事情聴取みたいだ、、、
サリーヌさん怖いよ、。」
ライ兄が震えてる。
分かるよ、今のサリーヌさん怖いもん。
・サリーヌ
「さぁ、はけぇ〜!」
・ミミ
「あのさぁ〜、いきなり帰ってきてライオット君を虐め始めて、、、何してるの?」
・ドンク
「これには深い訳があってだな、、。」
・ミミ
「ライオット君が可哀想だよ?
何したか知らないけど、ライオット君の話も聞かないとさぁ、一方的に詰め寄ってちゃ何も解決しないんじゃない?」
ミミさんが凄い真面目な事言ってる。
お陰でサリーヌさんが落ち着きを取り戻した。
・サリーヌ
「そうね、、、どうかしてたわ。
ありがとう、ミミ。」
・ミミ
「どう致しまして!
んで、何があったのかな?」
・サリーヌ
「ライオットちゃんがね、何かをしたの。
何かはわからないわ。
だから今からそれを聴きだすのよ。」
サリーヌさんとドンクさんミミさん、後俺に囲まれて小さくなっていたライ兄。
何かごめんよ、ライ兄、、、
でも、俺も聴きたい。
・ライオット
「わかった言うよ、言うから囲まないで!」
そして、、、
ライオット先生による
簡易式遠隔魔法陣の説明会が始まった。
サリーヌさんの指示で生徒は4人となり、
この場所に居るのはサリーヌ、ドンク、ミミ、俺だけである。
・ライオット
「はい、では授業を始めます。
質問等は、その都度受け付けますので、
挙手でお願います。」
ライ兄が変なキャラになった、、、
やっぱりライ兄は面白いな。
・ライオット
「今回、ハンダと対決して感じた事は、正面から行っても勝てないと言う事でした。
そんな訳で、トラップを使用して倒す事にした。
どんなトラップか、分かる人は居るかね?」
サリーヌさんとドンクさんが手をあげる。
2人ともノリノリじゃないか!
・ライオット
「はい、ではドンク君」
・ドンク
「ハンダの靴を爆破して魔法陣の上で転ばせ、魔法陣自体を爆破させることにより昏倒させた。」
・ライオット
「うむ、正解だ。
素晴らしい解答ですね。」
サリーヌさんが妙に悔しがっている。
てか、楽しんでるよね?
・ライオット
「靴爆破では魔力を少しだけ爆発させて、爆風を後ろに飛ばした事による転倒を狙いました。
では、問題の簡易式遠隔魔法陣について、、、
最初は普通に地面に魔力を流してみた。
すると魔力が地面に吸い込まれて行ったんだ。
不思議だった、、、
もしも重力で引かれて沈んでいくのなら、自然界で空中に魔力が漂っているのはおかしい。
仮に、魔力に重力が掛かるのならば、全て吸い込まれてその辺の魔力も無くなっていてもおかしくないと思いました。
ならば何故地面だけ吸い込まれるのか、、
俺は仮定したんだ。
この星が、魔力を吸い取っているのでは?とね」
ビシッ
・ライオット
「はい、ミミさん。」
・ミミ
「えっとぉ、重力って何?
後、星って何かな?」
・ライオット
「はい、いい質問ですね。
まず星についてご説明します。
星とは、今私達が立っているこの大地の事です。
大地の総称を星と呼びました。
夜空に光る物体があるのはわかりますね?
あれと同じ物で、光る物体側から見ればここも同じ様に見えている筈です。
次に、重力です。
重力とは、我々を星の中心に向かって引っ張っている力の事です。
良いですか?
ここに石があります。
これを離すと、下に落ちますよね?
これは、石と言う物体を星の重力が引っ張ているから下に落ちている様に見える訳です。」
・ミミ
「ふぬぬぬぬぬ、難しい、、、
つまり、、、、凄いって事ですね!」
・ライオット
「、、、、、、その通りです。」
ライ兄、、、今、説明諦めたでしょ?
でも確かに難しい、、、
ライ兄は何処でそんな知識を身に付けたんだ?
・サリーヌ
「それで?星が魔力を吸い込む筈なのに貴方は地面に魔力を残すことができた、、何故?」
・ライオット
「はい。私は考えました。
魔力を留めようとすると吸い込まれる。
だったら留めるのではなく常に動かし続けていれば吸われないのではないかと。」
・サリーヌ
「成る程ね、、、
いいわ、続けて。」
・ライオット
「最初は円を描き、その溝に魔力を流す事によって循環する様にしたんです。
しかしダメだった、魔力自体が消費されていくから直ぐに消えてしまった。
次に考えたのは魔法石を使う事。
魔法石を核として円で結び循環させてみた。
すると、魔法石を通る度に消費された魔力が回復して先程よりは長く保っていられたが、やはり時間と共に消えてしまう。」
・ドンク
「魔力は常に消費されていく物だからな。
体内の魔力さえ消費と回復を繰り返しながら一定量を保っているんだ。」
サリーヌさん、ドンクさん、ライ兄、3人の世界になってきた。
ミミさんは眠そうにしている、、、
これはチャンスなんだ。
強くなれるチャンス!
難しくてもいい聞き逃すな、後で考えればいい。
・ライオット
「だから、視点を変えて見たんだよ。」
・「視点を?」
・ライオット
「そうだ、、、良いかニュート。
開かない扉を前にした時、お前ならどうする?」
・「え、、、えっと、、打ち破る?」
・ライオット
「それも正解の一つだな。
だが、壊す前にやれる事は他にもあるだろう?
鍵を探す、誰かに聞く、押してみる、引いてみる、横にスライドさせてみる、そして打ち破る。
正解は一つではないんだ。
打ち破ると扉が壊れてしまうだろ?
だからそれは最終手段だ。
こんな言葉がある。
『押してダメなら引いてみろ』
つまり、見方を変えて他の方法を探せば正解にたどり着くかも知れない。
そう言う可能性の話だ。」
・「見方を変える、、、成る程。」
・ライオット
「魔力を吸い込む事は封じた、ならば次は魔力の消費を抑えれば良い。
では、何故魔力は消費されていくのか、
魔力が大気中を移動する際、抵抗があり削られているんじゃないか?
俺はそう考えた。
だから、魔法石を粉にして溝に埋めてみたんだ。
魔法石は魔力を貯める事が出来たから、何となく使ってみたってのが真実なんだけどね。
とりあえず、やれる事をやってみたんだ。
魔法石の粉で円を書いていく感じかな?
そうしたら抵抗が無くなったよ。
そして円の1箇所に魔法石を埋める事により、魔力消費をしない流れを作り出したんだ。
そうなれば後は簡単、魔法陣を砂で隠して見えなくさせて、敵を誘導した時に魔力を爆発させれば、簡易式遠隔魔法陣の完成ってわけ。」
ほへぇ〜、、あの戦いの中でそんな事してたんだ
ライ兄って発明家か何かなのかな?
・サリーヌ
「そうか、だから落書きしては消して、を繰り返していたのね?
でもマーダーは心配じゃなかったの?」
・ライオット
「そうだった、皆さん。
マーダーじゃなくてマルチって呼んであげて。
彼女は今まで自分を隠して生きてきた。
特訓で自信を取り戻してね、本当の自分で生きたいと願ったんだ。
だから、明日から彼女の事はマルチで。
ちなみにマルチの心配はしなかったよ。
タスラー如き、マルチには触れる事すら出来ないと思っていたからね。
彼女、すっごい強いから、、、」
・サリーヌ
「マルチ、、、ね。
わかったわ。
ライオットちゃん、貴方は何処までも私の想像を超えていくのね。」
・ライオット
「そんな事ないですよ。
結局俺が1番弱いんだし、、、」
今まで真剣に何かを考えていたドンクさんが、
ライ兄を見詰めて話し出した。
・ドンク
「ライオット、、、明日、時間のある時で良い。
ニュートの特訓をお願いしたい、頼む。」
・「師匠?」
・ドンク
「俺たちでは常識が邪魔をしてな、、
どうしてもわからねぇ。
どうやったら無属性の人間を強く出来るのか、、
コイツは強くなる、その素質がある。
だが、教える奴がいねぇ。
頼む、ライオット。」
・「師匠!
俺は師匠のお陰で強くなってるよ!」
・ドンク
「わかってる。
お前は強くなっている。
だが、違うだろ?
お前の目指す冒険者はもっと先にある筈だ。
もっと、もっと強くなる筈だ。
可能性があるならしがみ付け。
どんなに小さな可能性でも掴み取れ。
無属性だからと言う言葉を突き破って欲しい。」
・「師匠、、、
ライ兄、俺からもお願いします。
何でも良い、俺を強くして下さい。」
ドンク師匠と俺がライ兄に頭を下げる。
・サリーヌ
「私からもお願いするわ。
この子ね、1人でノートリアスと対峙したのよ。
逃げに徹した事で事なきを得たわ。
でも、悔しかったはずよ。
私達が助けに来た時も、この子は真っ先に戦線を離脱したわ。
状況判断力は凄いわ。
でも、悔しくないはずないじゃない。
この子は男なの、だから戦わせてあげて。
この子を強くしてあげて、ライオットちゃん。」
サリーヌさんも頭を下げてくれた。
何故か眠たそうなミミさんも頭を下げてくれる。
・ライオット
「わかりました。
俺に何処まで出来るかわかりませんが、やるだけやって見ましょう。」
師匠と、サリーヌさんが喜んでくれる。
俺は幸せ物だな。
こんなに素敵な人達に囲まれて、、
絶対に、強くなってみせる。
胸を躍らせ、明日を迎える。
~次の日~
・「おはようライ兄!」
・ライオット
「おはよ〜、いやはや、凄い事になったね。
そうだ、冒険者になれたんだな。
おめでとう、ニュート!」
・「まだ正式にはなってないよ。
今はドンク師匠の元で修行中だ。
俺はまだ強くないから。」
・ライオット
「へぇ〜、、、聞いても良い?
レベルいくつ?」
・「えっと、確か最後に見たのは、岩小僧でレベル上げした時だったから10だった筈だよ?」
・ライオット
「お〜、凄いじゃないか!
聞いたお礼に俺のレベルも教えるよ。
今は13だ、もうすぐ追い越されちゃうな。」
・「ライ兄すげぇ!
やっぱりライ兄は強いんだな。
そう言えばノートリアスから逃げた後からは見てないから、あれからどうなってるか見てみるよ!」
ステータス
レベル18
筋力 138 +56
知力 75
俊敏性 156 +84
体術レベル 17 補正レベル3 筋力 6 俊敏性 9
龍鱗の小手 筋力+50 俊敏性 +75
あ、、、ライ兄を抜いてた、、、
どうしよう、言わなきゃ、、、
・「あの、、ライ兄、、
俺、レベル18になってた。」
固まるライオット。
・ライオット
「そ、、、そっか、、、
ニュートさんは18か、、、
そうかそうか、、、」
・「なんか、すみません。」
・ライオット
「気にする事はない!
気にする事は無いよ〜。
ニュートさんは頑張ったんだ。
気にする事ないよ〜」
あぁ、ごめんよライ兄、、、
後、ニュートさんって言うのやめて。
・クラス
「ニュート様ぁ〜!
おはようございます。
本日は一緒に依頼をしませんか?」
・キロス
「ニュート兄ちゃん、一緒にやろう?
俺、ニュート兄ちゃんみたいになりたいんだ!」
ギルドにクラスとキロスが現れた。
・「2人とも、ごめんよ。
今日はライ兄に稽古をつけてもらうんだ。」
・クラス
「そう、、、でしたの、、。
それなら無理は言えませんね。」
・キロス
「うぅ、そっか。
なら仕方ないよな。」
明らかに意気消沈する2人。
ごめんよ、これだけは譲れない。
・ライオット
「んじゃ、2人も来るか?」
・クラス
「良いんですの?」
・キロス
「良いのか?」
・ライオット
「あぁ、見たところニュートのパーティーの人だろう?
だったら一緒に強くなれば良い。」
・クラス
「ありがとうございます。」
・キロス
「ありがとう!知らない兄ちゃん」
あ、ライ兄のテンションが少し下がった。
キロス、お願いだからライ兄を攻撃しないで。
・ライオット
「、、、、、よし、、、じゃあ、行こう。」
ライ兄のやる気が、、、
でもライ兄の事だからしっかりやってくれる。
俺も気合入れなきゃな。
ライに居には夕方から用事があるって言ってたし、短い時間でどれだけ強くなれるかは俺次第だ。
4人は近くの森の奥に歩いていく。
近くの森と行っても少し入り込めばもう迷路の様な場所だ。
しかも魔物も結構強く、手練れの冒険者でも1人では入らない。
そんな場所なのにライ兄はスタスタ歩いて行く。
・クラス
「あの、、、ライオット様。
大丈夫でしようか?」
・ライオット
「ん?大丈夫だよ。
ニュートさんがいるしね。」
ライ兄、、、言葉にトゲがあるよ。
・キロス
「大丈夫だ姉ちゃん。
ニュート兄ちゃんが守ってくれるからよ」
キロス、ライ兄を頼ってあげて、、、
・ライオット
「この辺で良いかな。」
ライ兄は少し開けた場所で立ち止まる。
周りに魔物の気配が感じられない。
ライ兄は気付いているのか?
やはり、ライ兄は凄いな。
・ライオット
「では、始めよう。
まずは自分の属性を教えてくれ。
そこから考える。」
・「無属性です。」
・クラス
「治療特化です。」
・キロス
「火属性だ。てか、兄ちゃん。
あんた強いのか?
ニュート兄ちゃんは強いぞ!
そんなニュート兄ちゃんに教える程強いのか?」
・クラス
「こら、キロス辞めなさい。
ライオット様、申し訳ありません。」
・ライオット
「そうだな、キロス君の言いたい事はわかる。
俺はニュートより弱いだろう、レベルも13だしな。
だがな、ニュートに負けるとは思えない。」
・「ライ兄?」
・キロス
「なんだと!レベル13って言えば、姉ちゃんよりも低いじゃないか、そんな奴に教わって強くなれるもんか」
・クラス
「キロス!良い加減にしなさい。
ライオット様、本当に申し訳ありません。」
・ライオット
「気にする必要は無いよ。
確かにそうだ、俺はこの中で1番弱いだろう。
だけどね、1番強くもあるよ。
それは知識と経験の差だ。
試しに俺と戦うかい?
俺はここから動かないで居てあげるよ。」
・キロス
「言ったな!
ニュート兄ちゃん、こんな奴すぐに倒して一緒にレベル上げ行こうよ。」
・ライオット
「丁度良い、ニュートも迷っているんだろ?
纏めてかかって来い。
其方のお嬢さんはどうする?」
・クラス
「わ、私は治療特化なので、、、
戦闘は、、、」
・ライオット
「成る程、、、
よし、俺をここから動かせたら君たちの勝ちだ。
いつでもかかって来い。」
・キロス
「ニュート兄ちゃん、やろう」
・「ライ兄?どうして、、、」
・ライオット
「ニュート、強くなりたいんだろ?
お前の覚悟を見せてくれ、全力で来い。
手を抜いたら俺は帰る。」
一瞬、、、寒気がした。
レベルは俺の方が上、、、
俺はサボっていた訳じゃない、
数値も俺の方が上の筈だ、、
なのに、ライ兄のあの余裕はなんだ?
・ライオット
「どうしたニュート、怖いか?
無理なら辞めても良い」
・キロス
「ニュート兄ちゃんが怖がるか!
岩石王に比べたらお前なんて雑魚だ。
行くぞニュート兄ちゃん。」
・「わかった。
ライ兄、行くよ!」
2人は覚悟を決めた。
全力で行くしかない!
キロスは火の球を作り上げて投げる
しかし、ライオットに当たる瞬間に掻き消された
・キロス
「なっ、、オイラの炎が、、」
・「キロス、気を緩めるな。
ドンドン行け!」
・キロス
「はい!」
・「ライ兄、見せて貰うよ!」
俺はライ兄の、間合いに入る。
しかし、何故か体が止まらずそのまま木に激突する。
・キロス
「ニュート兄ちゃん、何してるんだ!
ドンドン行くよ」
・「わかってる!
ライ兄?一体何をした、、、、
くそ、次こそ!」
俺はライ兄の懐に踏み込む、
しかし、また体が流れてしまい倒れ込む。
・「まただ、何が起こってる?
自分の体じゃないみたいだ。」
ライ兄を見ると、その場から動かずに、キロスの炎を掻き消している。
まてよ、、、どうやって?
・「何が起きて、、、
いや、魔力が蠢いている、、、?」
・ライオット
「気付いたか?ニュート。
無属性の魔力ってのは感知しにくい性質でな。
薄く展開させて足元を細工してやると、相手は上手く止まらなかったり、投げられたりするんだよ。
そして、こうやって濃密にしないとバレないんだ。」
ライ兄の周りの気配が一気に濃くなる。
なんだ、、、怖い、、、
・ライオット
「少し早いが終わりにしよう。
時間が限られてるしね。
じゃあ、行くぞ。」
ライ兄がそう言った瞬間、凄まじい衝撃で俺は吹き飛ばされてしまった。
そして、意識を失った。
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