第5話 戦う事より大事な事
巨大な影との死闘をハリス達に任せたクラスとニュートは、2人で戦場から離れる為に歩いていた、、
すると、離れた所に馬車や兵士達が居た。
その中にはキロスの姿も、、、
・キロス
「ねぇちゃん、ねぇちゃん!」
クラスの姿を見たキロスは走り出した、。
・キロス
「ねぇちゃん、、、
良かった、、
本当に良かった、、、」
泣きながらクラスに抱き着くキロス。
兵士も数人近寄ってくる。
・クラス
「キロス、ありがとう。
貴方のお陰で助かりました。
よく、頑張ったわね」
クラスはキロスを労う。
2人はしっかりと生きている事を実感する。
・???
「君が、ニュート君かな?」
知らないおじさんに声をかけられた。
・「はい、、そうです。
貴方は?」
・セント・カーティス
「私の名はセント・カーティス。
クラス・カーティスの父だ。
オルドラ王国防犯対策部に所属している。
キロスから話は聞いた。
どうやら、娘も守ってくれたようだな。
心から礼を言う。
ありがとう」
オルドラ王国防犯対策部、、、確か軍人だ。
しかも、カーティスって、、貴族じゃなったか?
五貴族、五聖、、、後なんだっけ?
とりあえず有名な人だ、、、
・「キロス君が頑張ってくれたお陰です。
後はクラス自身も、凄い頑張ってくれました。
俺1人では何も出来ませんでした。
お礼を言いたいのは俺の方です。
ありがとうございました。」
一瞬驚く素振りを見せたセントだが、直ぐに元の紳士に戻る。
・セント
「ふむ、冒険者と聞いていたからどんな奴かと思っていたが、礼儀正しい素晴らしい人物だったな。
これは驚いた。」
・クラス
「お父様、
ニュート様が私達を助けて下さいました。
私は、お礼がしたいです。」
・キロス
「ニュート兄ちゃんは、ねぇちゃんを守るって約束を破らなかったぞ!
俺からもお礼がしたい。」
2人に詰め寄られるセント。
余りの圧の強さに驚きを隠せない。
・セント
「2人とも、とにかく落ち着きなさい。
ふむ、、、
ニュート君、、、どうかな?
君さえ良ければ一度、我が家に来ては貰えないだろうか?」
クラスとキロスはニュートを見詰める。
何か、凄い期待の目で見られてるが、、、
これ行った方が良いのかな?
・ハリス
「坊や、折角なんだ行って来い。
色々と経験するのも冒険者として成長するチャンスだぞ?」
いつの間にかハリスさんが戻って来ていた。
もう魔物を倒したのかな?
・「ハリスさん、、、
わかりました。
セントさん、こちらからもお願いします。
是非、お邪魔させて下さい。」
ニュートは頭を下げる。
・セント
「うむ、時期等はまた追って知らせよう。
ハリス殿、そちらはもう終わりましたかな?」
・ハリス
「ああ、しっかり倒して来たぜ。
しかし、相手が岩石王だったのには驚いた。
ミミちゃんが居なかったらヤバかったかもな。」
・セント
「が、岩石王だと?
ノートリアスではないか。
本当に岩石王だったのか?」
・ハリス
「まあ、信じられないのは分かる。
俺も未だに信じられん。
こんな街の近くに沸くなんて聞いたことない。
かなり魔素が乱れて来てるのかもな。」
ニュートは話に入れないが、、、
とりあえず凄い敵だったらしい。
・セント
「ノートリアス相手に、、、
あの岩石王を相手に、1人でクラスとキロスを助けてくれたのか、、、
何と、、何とお礼を言えば、、、
本当にありがとうニュート君。」
なんだか少し恥ずかしい。
褒められると照れちゃうよね、、
しかし、そんなに恐ろしい敵だったんだ、、
確かに、硬いし、増殖するし、頭良いし、、
うん、、、、厄介な奴かも。
・サリーヌ
「ニュートちゃーん!
もう、びっくりしちゃった、、、
よく無事だったわね」
・ドンク
「ニュート、良くぞ無事だった!
逃げに徹した戦い方をしたんだな?
良い判断だ、やはりお前は凄い奴だ!」
サリーヌさんとドンクさんが来てくれた
ドンクさんは俺の頭を撫でてくれる、
正直に嬉しい。
・ミミ
「ぶぅ、、、トドメ取られた!
アタシがズバッと行く筈だったのに」
ぶぅたれたミミさんが戻ってきた。
どうやら皆で素材を集めていたみたいだ。
暫く考え込んでいたハリスが語り出した。
・ハリス
「ノートリアス相手に1人で、、、か。
坊や、、、いや、ニュート。
戦利品だ、受け取れ」
ハリスが何かを投げてニュートに渡す。
ニュートはキャッチする。
これは、、、魔法石?
大きい、、、凄い力を感じる。
・ハリス
「ノートリアスの魔法石、、魔導の核だな。
中々お目にかかれないレアもんだぜ?」
・「良いの?
こんな大事な物を貰っちゃって、、」
・ハリス
「1番の功績を立てた奴が1番美味しい所を貰う。
俺達のパーティーの鉄則だ。
誰も文句いわねぇよ。」
ニュートは周りを見渡す。
サリーヌ、ドンク、ミミが頷いている。
ありがとう、皆さん、、、
でも、1番の功績は俺じゃないよ。
・「、、、キロス
これはお前が貰うべき物だ。」
・キロス
「えっ?」
周りのみんなも驚く。
ニュートは続ける。
・「今回、この勝利を呼び込んだのはキロスの頑張りがあったからだと俺は思うんだ。
キロスが居なかったら、、、
キロスが俺の頼みを聞いてくれなかったら、、
キロスが必死に走ってくれていなかったら、、
俺は確実に死んでいた。
だから、、、キロス。
お前に受け取って欲しい。」
ニュートはキロスに魔法石を差し出す。
キロスは魔法石を見詰める、、、
・セント
「ニュート君、、、、」
・クラス
「ニュート様、、、」
・キロス
「、、、、俺は、ただ、ねぇちゃんを助けたくて、
俺は弱いから、、、
俺に出来ることは助けを呼ぶ事しか出来なかったから。」
・「良いか、キロス。
パーティーには役割がある。
役割を守る事で勝ちを掴めるんだ。
どんな役目でも大事な事だ。
自分のできる事をやる。
簡単そうで難しい事なんだぞ?
誰でもカッコよく戦いたいだろう?
その中でサポートに徹する事がどれ程大事か、
お前はそれを示したじゃないか、、
キロスのお陰で誰も死ぬ事なく、勝てたんだ。
キロス、、、お前がアイツを倒したんだよ。」
キロスの目に涙が溢れる。
元々火属性で生まれて来て、貴族である事に誇りを持ち、プライドが高く、見栄を張ってきた。
だが、、、
ニュートはキロス少年の考え方を根本的に覆した。
勝つ為に、戦う事より大事な事、、、
キロスの心に深く突き刺さる。
この日より、キロスは大きく成長して行く。
・キロス
「この魔法石に掛けて、、、、
俺は誰かを守れる男になる。」
少年が、、、漢に変わった瞬間だった。
・セント
「ニュート君、、、ありがとう。
君には感謝しかない。
2人からだけでは無い。
私からもお願いする。
是非、我が家で御礼をさせてくれ。」
五貴族の1当主が冒険者に頭を下げた。
この国では有り得ない光景があった。
そして、一行はオルドラ王国に帰って行く。
その日の夜、、、
ハリス、ドンク、ミミ、サリーヌの4人もカーティス家に呼ばれ、パーティーが開かれた。
ドンクとミミは食事を漁りまくり、
ハリスは上品に振る舞い、貴婦人に囲まれ、
サリーヌはイケメンを探して会場をウロウロしている。
ニュートはキロスとクラスに囲まれて笑い合う。
・???
「ニュート様ですね?」
ニュートが振り返る、、、
綺麗な女性が此方に近づいて来る。
・セーラ
「セーラ・カーティスと申します。
クラスとキロスの母でございます。
お話は当主セント・カーティスより聞きました。
この度は、2人を助けていただきありがとうございました。」
深く頭を下げる。
・「あ、頭あげて下さい。
俺はそんな大それた事など、、、
みんなのお陰ですし、、」
・セーラ
「ふふ、クラスの言う通りですね。
謙虚な方、、、、合格ね。」
合格?何の事だ?
・「あの、、、合格って?」
・セーラ
「ふふふ、内緒です。
では、私は挨拶回りがありますのでこれで、
ニュート様、ゆっくりと楽しんでくださいね。
、、、、クラス、頑張るのですよ?」
セーラさんが去って行った。
何だったんだろう?
クラスを見ると、顔が赤い、、
キロスはニヤニヤしてるし、、
謎だ、、、
・キロス
「ニュート兄ちゃんが兄ちゃんか、、
良いね、理想の兄ちゃんかも」
・クラス
「こら、キロス、何てこと言うの。
まだ早いです。」
2人が楽しそうに戯れあっている。
・セント
「ニュート君、、、
私はまだ、認めてはいないからな」
プルプルしながら一言だけ残して去って行く。
いつの間に後ろにいたんだろう?
楽しい家族だな、、、
家族か、、、おっかぁ元気かな、、
イト、上手くやってるか?
ニュートは家族のことを思い出す。
まだ数日しか経ってないけど、、、
楽しい夜が深けていく、、、
そして話はある人物の決闘へと進む
~ある人物の決闘日~
今日はライ兄の決闘の日だ。
本来なら軍しか入れなかったんだが、昨夜セントさんに話をしたら特別にギルド員数名を入れてくれることになった。
ありがとう、セントさん。
・サリス
「と言うわけで、私達も観られる事となりました。
しかし、通常の業務も有りますので数名を私が決めておきました。
サリーヌ、ドンク、以上2名がギルド員として観戦しに行きます。
後は私と、セリス、そして決闘する2人です。
別枠として、ニュート君がカーティス一家と観戦することになりました。
報告は以上です。」
・ミミ
「サリスゥ、アタシも観たいしぃ〜」
・サリス
「ダメです、受付が空けちゃダメでしょ?」
・ミミ
「むぅぅ、、、観たいのにぃ〜」
・サリス
「お土産にボア丼買ってきてあげるから」
・ミミ
「本当?高級な奴?約束だよ!」
戦いは強いが食べ物にすこぶる弱いミミだった。
・サリーヌ
「で、決闘は日没からで良いのよね?」
・サリス
「今回の決闘は正午からになります。
私はギルド代表者として今から先に闘技場に行きますので後の事は宜しくね。」
サリスは早朝から出掛けて行った。
それからは通常通りのギルド営業が始まり、、
数時間も経つとギルドに馬車が止まる。
・キロス
「ニュート兄ちゃん!迎えにきたぞぉ〜、、
あれ?兄ちゃんは?」
・サリーヌ
「奥の部屋でドンクと何やら話してるわよ。」
・キロス
「ん〜、待ってた方が良い?」
・サリーヌ
「あら、可愛い子。
物分かりがいいのね。
そうね、もう少し待てるかしら?」
・キロス
「わかった、少し待つように言ってくる。
ありがとう、魔物のおじちゃん」
・サリーヌ
「誰が魔物だコラ!」
・キロス
「うひゃー!」
キロスはササッと戻って行く、、、
サリーヌはそれを笑顔で見送る。
なんだかんだで優しのだ。
・サリーヌ
「さてと、ニュートちゃん呼んでこようかしら」
サリーヌはドンクの工房部屋に向かった。
工房内ではドンクとニュートが話をしている。
・ドンク
「ニュート、良いか?
火属性が使えないから銅鉱は溶かせねえ、
ならどうすればいいか、、
それはな、魔力の流れを見るんだ。」
・「魔力の流れ?」
・ドンク
「そうだ、この世の全ての物には魔力が流れている。
そこに他の魔力が入ろうとすると、拒否反応が起こるんだ。」
・「拒絶反応?」
・ドンク
「そうだ、、
良いか、物質によって拒絶反応の強さが違う。
例えば銅鉱なら、必要のない鉱石の部分と銅の部分では魔力の入り方、流れ方が違うんだ。
違いを見極めて必要な銅だけを加工すれば良い。
僅かな差だが、判るようになるまで加工しろ。」
・「難しそうだね。
拒絶反応か、、、」
・ドンク
「そうだな、例えば、、、
要らない鉱石部分が俺で、銅をお前とする。
そして魔力がサリーヌとしよう。
サリーヌが背後から忍び寄って来たとして、
俺ならいつもの事だから余り驚かん。
だが、お前ならどうだ?」
・サリーヌ
「アタシが何って?」
・「ぅぁぁぁぁぁ!」
・サリーヌ
「何よ、何もしてないじゃない!
失礼しちゃうわ!」
・ドンク
「それが、、拒否反応だ。」
・「わ、わかった気がするよ、、師匠、、」
・サリーヌ
「何の話ししてるのよ、、、
ニュートちゃん、表にお迎えが来てるわ。
早く行ってあげなさい。」
・「もうそんな時間?
わかった、ありがとうサリーヌさん。
師匠、また後で教えてね」
ニュートは部屋を出て行く。
・サリーヌ
「ニュートちゃん、どんどん大きくなるわね。
将来が楽しみだわ。」
・ドンク
「まあな、アイツは凄い可能性を秘めてやがる。
ひょっとしたら、ライオットを抜くかもな。」
・サリーヌ
「ゾクゾクしちゃうわね。
ライオットちゃんにニュートちゃん、、、
あぁ、堪らないわ、、、」
・ドンク
「さて、俺達もそろそろ行くか?
兄弟子ライオットの戦いを観に、、、」
2人も部屋を出て行った。
向かうは軍の闘技場、、
一方で、ギルドの前に出てきたニュート、、
・キロス
「あ、ニュート兄ちゃん!
早く行こう〜、楽しみだなぁ」
・クラス
「ニュート様、おはようございます。」
・「おはようクラス。
今日の格好も素敵だね。
良く似合ってるよ、、
キロスも元気だね、遅くなってごめんよ。
早速向かおうか。」
顔の赤くなったクラス、、
ニュートが馬車に乗り込むと、ゆっくり進みだす
ガタガタ、
ガタガタ、
・キロス
「兄ちゃん!
今日の決闘するライオットって人は兄ちゃんの憧れの人なんだろ?
やっぱり強えのか?」
・「ライ兄は強いと言うよりも凄く優しい人だよ。
俺に冒険者を目指すきっかけをくれた人だ、、
あの時は、まだお互いに冒険者じゃなかったけどな。
今はどうなんだろう?」
・キロス
「へぇ、、早く見てみたい!
やっぱり凄いんだろうなぁ」
・クラス
「ニュート様、そのライオットさんは最近冒険者になられたそうですよ。
今朝、調べさせてみました。
今日まで特訓をなさっているとか、、、」
・「そうなんだ、、
ライ兄はもう冒険者か、、
俺はまだ正式な冒険者じゃ無いからなぁ。
先越されちゃったか、、」
どこか嬉しそうなニュート。
クラスはそれを見て微笑む、、、
・召使い
「キロス坊ちゃま、クラス様。
もうじき闘技場に到着致します。」
馬車は軍の門を抜けて進んで行く。
暫くすると馬車が止まった。
・キロス
「おっ、着いたかな。」
キロスが飛び降りる。
・「キロスは元気だね。」
・クラス
「今日は特別ですよ。
朝からあんな感じです、ニュート様と一緒に居られるのが余程嬉しいのでしょう。
さあ、私達も闘技場へ参りましょう。」
クラスと一緒に馬車を降りる。
すると、
・セント
「おはよう、ニュート君。
今日はニュート君お勧めの冒険者が来ると聞いているよ。
朝からキロスが何度も言うからね、、、
ライオット君だったね、覚えてしまった。」
ライ兄、、、
知らない所で有名になってるや。
でも、俺もキロスの事、何も言えないかな。
俺自身、すっげぇ楽しみだ。
・「おはようございます、セントさん。
招待してくれて、ありがとうございます。
今日は俺も楽しみです。」
・セント
「さあ、行こうか。
ちゃんと最前列を取ってあるからね。」
俺はカーティス一家と一緒に席に向かう。
ちなみに、セーラさんは戦いには興味がないので買い物に行っているらしい。
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