第11話

 服を買って帰ってきた。

 鍵を開けて部屋に入る。

 当たり前のように女神がカップ麺を食べている。

 この買い置きが俺の全ての食い物だが、早くも二つカップ麺が食べられた事で、明日の朝飯の買い置きを除いて、食べる物もないし、金もない。

 俺「テメー、俺に何か言う事があるんじゃねーか?。」

 リズ「ごちそうさま?。」

 俺「俺を飢えさせるのが目的か?。」

 リズ「今日は伝えたい事があってきました。

 無職のレベルの上限は『50』です。

 ゴブリン退治をこなせば、レベルは上限に達するでしょう。」

 俺「これ以上は強くなれないのかよ?。」

 リズ「いいえ、転職すれば良いのです。

 貴方は私に一目置かれた存在、つまり・・・。」

 俺「『カップ麺を盗み食いされる人』に転職出来る!?。」

 リズ「転職出来ません。

 というか、転職する前に既に盗み食いされてるじゃないですか。」

 俺「盗み食いしてるのアンタだけどな。」

 リズ「とにかく、レベルが上限に達するとほとんどパラメーターが上がらなくなります。

 モンクにジョブチェンジしましょう!。」

 俺「なぁ、モンクになるしかないの?。

 モンクになるために、ほぼ素手じゃん。

 メリケンサックつけてるだけじゃん。

 バッタ殴り殺すのはまだ良かったんだよ。

 人型のモンスター、ほぼ人間みたいなモンスター、ゴブリンを殴り殺す・・・って正直震えが止まらないんだよ・・・。」

 リズ「私は『聖教会』の女神です。

 私が転職させられる職業は『モンク』か『クレリック』になります。

 正直、クレリックはサポート向けなんで、ソロの冒険者には向きません。

 また、貴方は魔力もMPも低い。

 総合的に判断しても、貴方は先ず『モンク』を目指すべきです。」

 俺「わかったよ!。

 泣き言は言わないよ!。

 言わないから・・・買い置きの食料食うのは勘弁してくれ。

 飢え死にしちまう。

 それより、『モンク』に転職する時の手続きを教えてくれよ。」

 リズ「わかりました。

 まず、今の職業のレベルをMAXまで上げて下さい。

 貴方だったら『無職レベル:50』まで上げて下さい。

 そうしたら『聖教会』まで来て下さい。

そうすれば『モンク』にクラスチェンジ出来ます。

 ・・・どうでも良いですが、晩御飯カップ麺ですか?。

 もう少し栄養に気を使った方が良いと思いますよ?。」 

 俺「それは『オメーが言うな』のツッコミ待ちか?。」


 夜のトレーニング時間になった。

 自転車を漕いだ感覚、スタミナがかなりついている。

 重いギアも難なく漕げたんで、脚力もついたと考えるべきだ。

 退院したばかりだから・・・という事で走る距離は5キロにしていたが、これならもっと走っても問題無さそうだ。

 何キロ走ろうかな?。

 50キロくらいにしようか?。

 わかってる。

 オーバーワークだ。

 でも絶対に「基本無料」のゲームと同じで、この異世界のシステムは必ずどこかで行き詰まる。

 そこで必要なのは『努力による自力』と『工夫でシステムの穴を突くという応用力』だ。

 女神は俺を利用しようとしている。

 だが、俺は逆に女神を利用してやろうとしている。

 

 結局

 腹筋:400回

 背筋:400回

 スクワット400回

 腕立てふせ200回

 ランニング50キロ

・・・という、昨晩×10というメニューになった。

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