第5話

 冒険者カードを手に俺は冒険者ギルドを出てきた。

 これで俺は異世界で肩書きを手に入れた。

 夜中、小腹が減ってコンビニに買い物に行く途中、警察に呼び止められて職務質問されても、堂々と冒険者カードを見せれば問題はないだろう。

 異世界に夜中開いているコンビニがあるか、警察がいるかは別問題だとして。

 だいぶ暗くなってきた。

 よく考えたら買った昼飯もまだ食っていない。

 今日はここまでにして日本に戻ろう。

 俺は小屋に戻った。

 そこには俺が買ったカップ麺を食べているリズの姿があった。

 俺「テメー、コラ!何俺の昼飯食ってるんだよ!。」

 リズ「もうこんな時間ですし『もしかしたらもう、昼飯食べないのかなー?』って。」

 俺「もう昼飯としては食わなくても、晩飯としては食うつもりだったんだよ!。

 ったく!もう腹も減ったし日本に帰る!。」


 俺はゲートをくぐり、日本に帰ってきた。

 異世界でも夕方だったが、日本でも夕方だった。 

 どうやら時間は同じように流れているようだ。

 ただ一つ違う事といえば、異世界では快晴だった天気も戻って来たら小雨が降っていた。

 日本全土で小雨が降っていた訳ではないし、異世界全土で晴天だった訳でもないだろうし、一度だけで『互いの天気に関連はない』とは言い切れる訳ではないが。

 

 因みに夜は意地でラーメンを食べた。

 もうカップ麺を食べるつもりで麺の口になってたし・・・あんのクソ女神、本当にシャレならん。

 

 外した・・・。

 何回『家系ラーメン』外れを食べれば、俺は懲りるんだろう?。

 『家系ラーメン』って80%外れるってわかってるのに、「今回は当たるかも知れない」って食べちゃうよね。

 ・・・で毎回外れる。

 今回こんな思いをするのはあのクソ女神のせいだ。


 ある程度腹が一杯になり、落ち着いた。

 

 部屋に帰り今日、冒険者ギルドでもらった『冒険者カード』を見る。

 WAONカードと同じサイズのカードで、そこには俺のステータスが書いてある。


『白銀蒼天』

レベル1

ジョブ:無職(ニート)

武器:なし

防具:なし

兜:なし

手:なし

靴:なし

アクセサリー:スマホ


力:3

防御力:2

素早さ:4

かっこよさ:0

かしこさ:2

美しさ:4

魔力:2

HP:14/14

MP:8/8


 しかしまあひでーステータスだ。

 かっこよさと美しさ足しても4か。

 見た目も最低なら「かしこさ」も2か。

 生きてる価値あるんだろうか?。

 努力で少しはステータスましになるんだろうか?。

 ・・・努力してみようか。

 努力もしないで世を儚んで自ら命を絶つのはどうかって思うし。

 「アイツバカだったし、顔も不味かったけど、全く努力もしなかったよな」って葬式で言われるのも最低だと思うし。


 『つうこんのいちげき』一発食らったら・・・どうなっちゃうんだろ?

 あんまり考えたくないな。

 明日こっちで装備揃えておこう。

 しかしこっちで武器屋とか、防具屋ってあったっけ?。

 秋葉原に確か、武器屋あったよね?。

 しかし装備はスマホだけか。

 ある意味無敵じゃねーか!。


 日本では学生だけれども異世界では無職だ。

 それはわかる。

 ただニートって何よ?。

  

 しかし本当に見れば見るほど酷いステータスだ。

 どう変わるかはわからないけど、今日から体を鍛えてみよう。


 腹筋:40回

 背筋:40回

 腕立て伏せ:20回

 スクワット:40回

 ランニング:5キロ


 『何だよ、このぬるいメニューは!?』ってしょうがねーだろ。

 今まで入院して鈍りきってたんだぞ?。

 今日からやるし、出来るようならもっとハードにしてくから見てろって。


 俺はトレーニングウェアに着替えてランニングに出掛けた。


 因みに『白銀蒼天』は『しろがねスカイ』と読む。

 『スカイ』と呼んでくれ。

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