第7話
「ここはどこだ?」
辺りには誰もいなかった。右を見ても左を見ても、灰色の荒野が無限に広がっているだけだ。どれだけ移動しても、周囲に広がる景色には全く変化が無い。
出口を求めて走り始めてから、どれほどの時間が経過しただろう。数時間? それとも数十時間? 不思議なことに、どれだけ走っても体力に限界はやってこなかった。だから俺は、がむしゃらに足を動かし続ける。しかし、それも永久には続かない。肉体的には問題なくとも、俺の精神を支える柱がジワリジワリと削られてゆく。そしてある地点で突然、それはポキリと音を立てて折れた。
俺はその場に大の字で寝転がる。空は一面、分厚くてどす黒い雲で覆われていた。救いを求めて右手を伸ばすけれど、状況は何も変わらない。蜘蛛の糸の一本すら降りてこない。
「どうしたらここから出られるんだよ……」
無音の世界で、ポツリとつぶやいた俺の声だけが反響して響き渡る。返事をする者は誰一人いなかった。たまらず俺は大声で叫ぶ。
「どうしたら良いんだよ!!」
その瞬間、俺は腹部に強い衝撃を受けて跳ね上がった。
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